甘い香りと黒い影
今回は少し短いです
(魔王城、食堂)
目の前に置かれた三つのグラス。
それぞれに違う色のワインがなみなみと注がれおり周囲に甘い香りを漂わせている。
だが俺は未成年。酒を飲んではいけない歳だ。
「ラニラ、悪いけど俺は未成年だから酒は飲めないんだ。」
「えぇ、知っていますよ。でもここは菊池楼さんのいた世界とは別の場所。
あちらのルールを守る理由がありますか?」
彼女は俺を覗き込むように微笑む。
(だが本当にいいのだろうか。飲んでも問題は・・・)
「…大丈夫ですよ。何を心配してるんです?ここにはそれをとがめる怖い人はいませんよ。」
ラニラは菊池楼の耳元で優しく囁く。
たとえるなら幼児に言い聞かせるように・
「…そうだ。ここは元居た世界じゃないんだ。飲んでも問題じゃないよね。」
そうつぶやき菊池楼はワインが入ったグラスをゆっくりとつかみ、持ち上げ、傾け、その中身を自身の口の中に流し込む。
・・・だがその目に光はなく動きに生気は感じられない。
だが本人はそのことに気づかず、一つ目のグラスを空にし、白いワインの入ったグラスに手を伸ばす。二つ目のグラスもすぐに空になり、とうとう菊池楼は最後に黄色いワインを手に取り、中身を流し込んみ、飲み干した
「…ぐふっっツ!?!?ゴホッゴホ!?!?」
(・・・血!?)
バタ!!
(・・・だ、だめだ、意識がッ)
菊池楼は口から血を吐き、テーブルに倒れこみ意識を失った。
だがその様子をラニラはただほほえみ
「おやすみなさい」
未成年の飲酒は法律で禁止されています。
未成年のかたはくれぐれもまねしないように。