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愛に飢えた魔王と独占欲の強い妃   作者: 時計塔の爺
第1章
6/14

料理を召し上がれ

どうもお久しぶりです。

長い期間を開けてしまい申し訳ありません。


(魔王城、主無き部屋)


 「グゥーーーーーーーー」


 膝をついたまま俺は赤面する。

 あろうことか人前で腹をならしてしまった。


 (ああ、なんてことだ、穴があったら入りたい。)


 しかし、恥ずかしさと謎の焦りを抱く俺とは裏腹に、ラニラはなぜか興奮し


 「菊池楼さんは、お腹がすいているんですね‼‼」


 「・・・え!!!ちょっと!?うわっ」 

 

 というや否や俺の手を引っ張り立たせようとした。

 しかし俺はバランスを崩して前に倒れてしまう。

 

 (…なぜだ、上手くバランスが取れない?)


 「大丈夫ですか?支えますから肩につかまってください」


 「ああ、ありがとう」


 俺はラニラの肩につかまり部屋を出た。

 驚くほど長いらせん階段を一段一段慎重に降りていき、長い廊下を通過し大きな赤い扉の前にたどり着いた。


 「開きなさい」


 彼女がそういうと扉は音もなく開いた。

 どうゆう原理なのだろう、やはり異世界というのだから不思議なことも当然なんだろうか。

 

 そんなことを考えているとどうやら扉が完全に開いたようで二人は扉の先に入っていく。

 その部屋は食堂のようで中央には白いテーブルクロスがしわなくかけられたテ-ブル、きちんとそろえられた椅子そして自分が寝ていた部屋にあったものよりも数段大きなシャンデリア、白と黒を中心とした部屋の装飾そのすべてが気品をまとってそこに存在していた。


 「菊池楼さん、ここに座ってください」


 「ああ、ありがとうラニラ」

  

 「ぁんーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!♡♡♡(ラニラと呼んでくれた!?)」


 俺はラニラの肩から離れ、少しもたつきながらも椅子に座る。ラニラもなぜか顔を赤らめながらも向かい側に座る。

 誰かが料理を運んでくるのかと思っていると、

 

 「テーブルクロスよ食事の用意を‼」


 そう高らかに言うといきなりテーブルクロスが淡く輝き、気づくと目の前に多くの御馳走現れた。


 「さぁ、菊池楼さん、遠慮なく食べてくださいね♡」 


 (…考えても仕方ないか)

 「じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな、いただきます」


 俺は手元のスプーンとフォークを手に取り、皿に盛られた色鮮やかなサラダを口に入れる。


 「!!!、美味しい」


 このサラダに使われている野菜はどれもみずみずしく、かかっているドレッシングは野菜の風味を壊さない最適な量でありつつもサラダの水分によってぼやけることもない。


 俺は次に湯気の上がっているステーキにナイフを入れる。

 確かな手応えを残しつつも、硬すぎない塩梅。その断面は血が滴るほどのレアだが、全くといっていいほどくさみがないく、肉のうまみが口の中に広がる。

 他にも程よい甘さととろみが抜群のポタージュ、香草と蒸された魚料理を堪能した。

 

 あらかた料理を食べ終わると、またテーブルクロスが淡く輝き、気が付くと皿がなくなっており、まるで初めから何もなかったかのようにテーブルの上は食事をする前の状態にもどっていた。

 

 「菊池楼さん、食後のドリンクはいかがですか」


 いつの間にかラニラが中身が入ったグラスを三つ用意していた。


◇◆◇◆


 菊池楼が料理を堪能している間、ラニラは静かに席を立ち、一人別室に向かった。

 薄暗い部屋の中央には菊池朗をこの世界に呼び出した元凶である黒い魔導書が置かれていた。

 ラニラは魔導書を開くと目を閉じつぶやいた。


 「…なみなみつがれた酒を無理やり飲まされた娘は心臓を潰され静かに眠る。」


 すると開いたページから三つのグラスが現れた。

 グラスにはそれぞれ『赤』『白』『黄』色のワインが入っており、ほのかに甘い香りをはなっていた。


 「…ふふふ、菊池楼さん、恨まないだくださいね。これもあなたと私のためなんですよ…」


 三つのグラスを器用に持つと笑みをこぼしながら彼女は部屋を後にした。

 部屋に残された魔導書に開かれたページには金文字で『自我無き案山子エゴパペット』と書かれていた。  

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