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愛に飢えた魔王と独占欲の強い妃   作者: 時計塔の爺
第1章
4/14

出会い

  (魔王城、主無き部屋)

 

  「...暖かい 」


  気づくと俺は、ベットの中だった。

  どうやら一ノ瀬さんが倒れた俺をここに運んでくれたんだろう。

  部屋の中は夜なのか暗くカーテンの隙間から射す青白い光が部屋に射しているだけである。


  「ッンーーー!?っアぁ~~」


  俺はおもいっきり寝たまま伸びをした。

  だがそこで、俺は声をかけられた。


  「あら、気づかれましたか♥️」


  (!!!ビックリした。)


  暗くてよくわからなかったが、俺の横には女性が立っていた。

  俺は慌てて体を起こす、

 

  (この人が俺を介抱してくれたのか?)


  「たっ助けていただき、感謝します。」


  とりあえずお礼を言う。

  そういえば、俺は何で倒れたんだっけ?

  そう疑問に思う俺に女性は


  「いーえ、いいんですよ。

  それよりも暗くてもなんですし、明かりを点けましょう。」


  といって、彼女は手を


  「パンッ!」


  と軽く叩くと、部屋に明かりがついた。

  俺は、噂のインターネットに家電を繋いで、自動的に動かしてくれるというあれか、と思い、天井に視線を向ける。

  しかし、それを見たら、そうではないことに気づいた。

 

  (!!!、し...シャンデリア!?)


  そう、そこには三段形式の、逆円錐形で作られ、一本一本の蝋燭に火が点ったシャンデリアが、美しく銀色に輝いていた。


  (えっ、えっ、ここは?ここはどこなんだ?)


  そう思い、俺に話しかけてきた女性の方に視線を戻すと、


  (!!!)


  そこには長い銀色の髪をなびかせ、金色に輝いた目をもつ、肌の白い美しい女性が立っていた。


 ◆◇◆◇


  「あの~、大丈夫ですか?」


  不意に彼女から声をかけられた。

  どうやら俺は、彼女に見とれていたようだ。


  「いっいえ!、だっ大丈夫です!、はい。」


  慌てて俺は言葉を返す。

  名前も知らない美女に声をかけられるとテンパってしまう。

 

  「そうですか...よかったー♪頭から血を流してらっしゃったので心配しましたの。」


  彼女は 微笑みを俺に向けてくる。

  彼女の微笑みは、まるで桜のような美く、夜空に浮かぶ満月のようにミステリアスだった。

  俺は顔に熱が帯びてくるのを感じながら、右手で殴られた傷をさわろうと後頭部に回す。

  だがしかし、


  (!!!、傷がない!)

 

  どういうことだ、俺は確かにあのとき花瓶で頭を...


  「ツッ!!、ガァーー!!!!!!!アーーーー!!!!」


  俺が倒れる寸前の記憶がよみがえってくる。

  ...そうだ、俺は金山精神科で、そこに入院している母さんのお見舞いにいって...


  「...頭を、花瓶で割られたんだ...」


  思い出した、思い出してしまった。

  叫ぶ。

  叫ばずにはいられない。

  そうしないと俺の心が壊れてしまう気がして、それが怖くて、情けなくて、

 

  「アァーーーーー!!!!ッツ!ック!!!ガッ!!」


  どれだけ叫んだだろう、1日中叫んだ気もするし、ほんの一瞬にも感じられる。

  だが、俺はようやく落ち着きを取り戻した。

  そして、変わらず俺の横にたっている銀髪の美女の方に視線を向ける。

  彼女は俺に心配の眼差しを送っていた。


  「もう大丈夫ですか?」


  「えっ...ええ、なんとか落ち着きました。」


  とんだ醜態をさらしてしまった。


  「でっ!でも、そんな無理をなさらずに...ここは時間がたっぷりありますから、まだ休んでいた方がよろしいのではないかしら。」


  「いいえ、大丈夫です。

  そんなことより教えて下さい!あなたは誰なんですか?

  ここはどこなんですか?」


  俺は彼女からの心配の言葉を遮り、彼女に迫る。

  すると彼女は少し微笑み、俺と向き直す。


  「そういえば、自己紹介がまだでしたね。

  私の名前はラニラ、『ラニラ・ブロッサム』と申します。」


  ラニラと名乗る彼女を俺は眺めて考える。

  見た目からなんとなく思っていたけど、日本人ではないようだ。

  というかなんとなくある仮説を思い付いてしまったが、そうではないことを祈る。

 

  「えっと、ラニラさんですね。

  俺の名前は『澤部 菊池楼(さわべ きくちろう)』といいます。一体ここは、というか何で俺の頭の傷かなくなってるんですか?」


  「えーっと、そんな一気に言われてもあれなので、順番に言いますね。

  まずここはどこか、ここはあなたの生きてきた世界とは違う世界、人々はここを魔界と呼び、この場所は魔王城の一室です。」


  「はい???つまり異世界?」


  「ええ、突然ですがあなたを異世界召喚しました。あなたは今日から魔王です。これから二人で暖かい家庭をつくっていきましょうね♥️」


  「へ?」


  「うふふ♥️」


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