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愛に飢えた魔王と独占欲の強い妃   作者: 時計塔の爺
第1章
3/14

独裁の魔導書と五つの種族

更新遅れました

すいません


(魔王城、姫の寝室)

  菊池楼の体が闇にのみ込まれるのを、光輝く宝玉で、魔王城から覗き見ていたものが一人。

  現魔王城の主にして孤独の姫、ラ二ラ・ブロッサムである。

  彼女は口元に笑みを浮かべ、


  「もうすぐ会えるのね...もうすぐ出来るのね...私の夫になってくれる人に...私の家族になってくれる人に、私を理解してくれる人に、私を愛してくれる人に!!」


  彼女は手に抱えている本のとおりに行動を行った。

  この本、異世界召喚術(サモン)は、歴とした魔導書であり、その数ある魔導書の中でも「独裁級ディケルシップ」と呼ばれる世界でたった五冊の魔導書のみについている二つ名を持つ物である。


  そもそも普通の魔導書の干渉力は範囲で現すと、できてせいぜい半径50メートルの的に攻撃を放つのが関の山、

  しかし、経験や修行を積んだ仙人と呼ばれる高みまで到達すると、山一つを消し飛ばすことができる、要は術者のレベルに応じると言うことである。

  だがこの「独裁級ディケルシップ」と呼ばれ、恐れられている魔導書は、発動してしまえば最後、この世界の均衡を根本から破壊すると言い伝えられており、長い間五つの種族の王が所持、管理、封印を行っていた。

  独裁級(ディケルシップ)はそれぞれ性質が違い、光、闇、炎、森、海、の五つの属性で別れている。

  そしてそれらをそれぞれの属性をつかさどる種族に託されている。

  この世界のはるか上空に存在する天空界を支配し、光の独裁級シャイン・ディケルシップを持つ、光をつかさどる種族、天神族(てんしんぞく)


  永年日の光が届かない地中に封じられた世界、魔界を支配し、闇の独裁級ダーク・ディケルシップを持ち、闇をつかさどる種族、魔神族。


  魔界が封じ込められている大陸、バースを支配し、炎の独裁級フレーム・ディケルシップを持ち、炎をつかさどる種族、亜人族。


  踏み入れたものはいても、帰ってくるものはいないとされる迷いの森を支配し、森の独裁級ナチュラル・ディケルシップを持ち、自然をつかさどる種族、妖精族。


  荒れ狂う海の底にある都市、アトランティスを支配し、海の独裁級オーシャン・ディケルシップを持ち、海をつかさどる種族、海龍族。


  彼らがこの世界の均衡を保つ存在であり、独裁魔導書『ディケルシップ』を守る種族である。


  今ラニラが発動させているのは、闇の独裁級ダーク・ディケルシップ、異世界から召喚した戦士に、強力な力を与え、それをいのままに操ることができる。

  その力は大陸バースを二つに分け、荒れ狂う海を飲み込み、迷いの森の樹木を闇にそめ、はるか上空に存在する天空界を地に落とすと言われている。


  だが強力な力を所持した戦士は、魔導書が始めに出す試練に破れれば、精神は闇に落ち、この世界を消滅させるまで止まらない破壊の化身と成り果てるのだ。

  そこまで危険な者だと言うのにラニラの考えに揺らぎなどはなかった。


  なぜそこまで彼女はするのだろうか。

  それは彼女はいつも孤独の中で生きていたからである。


  彼女には両親も、兄弟も、友達も、親戚も、自分をしたう使用人も飯使いもいない。

  これは魔王城だけでなく、この魔界にもいないのだ。


  昔、あることが原因で魔界の住人達はラニラを残し皆この世を去ってしまった。

  それから彼女は一人で生きてきた、誰からも愛されることもなく、誰も愛すことなく、ただ孤独の中で生きていた。


  (この孤独から解放されたい)


  いつしか彼女はそう思うようになり


  (誰も私を愛してくれないのなら、私が孤独から解放されないのなら、こんな世界滅べばいい)


  だから彼女は笑っている。

  もうすぐ自分の望みが叶うと、もうすぐこの孤独から解放されると、


  (一人じゃなくなるんだ、もうあんな思いしなくてもいいんだ、いつも隣にいてくれるんだ)


  彼女の笑みはますます広がりその美貌はますます美しくなる。

  そして宝玉の写し出す画面の中で、菊池楼が完全に闇に飲み込まれると同時に、部屋の床に光輝く魔方陣が出現し、中央から頭に血を流し、気を失っている少年が、ゆっくりと闇の中から浮かんでくるかのように出現した。


  「ふふ、あははは、あはははははははははははははははははははははははははははははは♪」


  愛に飢えた少女は喜びのあまり狂ったように笑い出した。


  (嬉しい、やっと出来る家族、この孤独から解放してくれる私の旦那様♥️)


  「あらあら、頭から血を流してらっしゃいますわ!、手当てをしなければ!」


  ラニラは自分の膝に菊池楼の頭を乗せ、そっと頭を撫でた。

  すると菊池楼の体が光輝き、頭の傷がふさがり、目の下のくまも消えていった。

  これが異世界召喚成功を意味し、世界を滅ぼす魔王が誕生の第一歩であり、ラニラと菊池楼の出会いの始まりであった。


  また闇の戻った部屋に残るのは、ラニラの膝の上で気を失っている菊池楼と、菊池楼の顔を優しく撫でて微笑むラニラのみであった...

色々編集し直しました

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