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愛に飢えた魔王と独占欲の強い妃   作者: 時計塔の爺
第1章
10/14

綺麗すぎた風景

一年も放置していてすみませんでした

 

 生まれ育った家の前に立った菊池楼の顔は複雑だった。

 立ち並ぶ家々、行き交う人々、隣から吠えてくる子犬たち。そのすべてが記憶にある風景と相違ない。


「...だが綺麗すぎる。」


 家の前の道路は数年前のようにきれいに舗装されている、散歩している老人は数年前には亡くなっているし隣の家の子犬もいつのまにか姿が見えなくなっていた。

 何より実家が荒れていない。

 母さんがまだ家にいたころ、一日に何度も暴れていた母さんは家々のガラスを割り庭も荒れ放題になった。

 入院してから少しづつ片づけていたが、窓は段ボールを貼り付け、草むしりもあまり進んでいなかったため雑草が生え放題になっていたはずだ。


「これではまるで父さんがいたころのようだ。窓も割れていないし庭もよく手入れされている。

 これは、過去にでも戻されたのか?」


 あのショタが何の意図でこんな風景を俺に見せるのかが理解できなかった。


「ショタの言葉通りならこれは天邪鬼な試練ということになるのだろうが、何をどうすればいいのかがさっぱりわからん。」


 とりあえず今の自分の格好を確認する。

 もしかしたら自分も周りの風景に合わせて数年前に戻っているかもしれないからだ。


「...ふむ、てっきりあのショタみたいな恰好をさせられているかと思ったが、飛ばされる前と同じ制服姿だな...ん? なんだこれは。」


 胸ポケットに何かが入っていたため取り出してみると無色透明なビー玉のようなものが入っていた。


「なぜビー玉が? いや、ガラスではなさそうだな。これは試練とやらに関係するのかな?」


 何気なくビー玉の表面をなでると文字が浮かんできた。



 ・・・シレンカイシ ・・・プレイヤーハタダシイコウドウヲセヨ



 それだけ浮かんでビー玉は元に戻ってしまった。

 正しい行動なんて漠然としたことをいわれても俺には何をすればいいのかがわからない。


「...んん~ とりあえず家に入ってみるか。」


 じっとしていてもらちが明かないため行動することにした。

 玄関の扉を開けようとしたその時


 ガチャ


 ドアノブが回り、中から人が出てきた。

 俺は驚いて固まってしまったが出てきた人の顔を見て思わず声をあげてしまった。


「...か、母さん!!!」


次回「意地悪問題」

投稿予定日 2022年 1月14日

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