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いよいよ、本格的なギフト持ちに出会うかな?


「ねえっ、さっきの加速もギフトなの?」


 高梨が目を丸くして俺に訊いた。


「あ-、そういうことになるかな……あんまり俺にとっちゃ、ギフトって気もしないけど」


 だいたい、加速はギフトってほどでも。


「それがなにか?」

「普通、ギフトって、一人一つが精一杯で、二つなんてあんまり聞いたことないんだけど?」

「俺、今初めて加速を使ったけど、他にギフトなんか使ったか?」

「非常識なタフさも、一種のギフトでしょうにっ」


 ……なに怒ってんだかな、この仕送りの子は。


「いや、あれは別に。生まれつき俺はあんな感じだし」


 言いかけたところで、由美がこちらへ走ってきた。


「丈さまっ」

「ご苦労! なにか問題は?」

「最深部の鉄道では、また新たな敵が現れ、仕留めましたが……そいつに白状させたところでは、下っ端を率いるオフィサー(士官)なる者が一人いるとか」 

「ああ、オフィサーの話は前にちらっと聞いたな。ボーダーの中間管理職みたいな立場?」


 俺は無線で藤原を呼び出し、由美の情報をそのまま伝えた。


「――というわけで、今のところ、オフィサーって奴には出会ってない気がするんで、こっちから探しに行ってぶっちめようと思うけど?」

『了解だ、ぜひとも頼む。下っ端のボーダーでも逃げ出せば十分にやっかいなのに、オフィサーは噛みついただけで部下を増やすらしい。……彼らの生態については、わからないことが多いけどね。おそらく手強いはずだから、気を付けたまえ』

「いやぁ、膝が震えるねー」


 棒読み口調で答え、俺は無線を切った。





「あのっ、霧崎さんっ」


 ここで最初に俺に説明してくれたポーンの子が、また手を上げた。


「自衛隊のギフト持ち士官がボーダーに人質に取られているという話でしたけど、ルークの古暮さんが警官に撃たれた直後に、その人質士官のそばにいた味方が、いきなり発砲したんです。今、騒ぎが収まってから改めて見ると、なぜか問題の士官が見当たりません」

「おー、それは鋭い指摘だな」


 ぐるりと周囲を見て、俺は少し考えた。


「途中でいきなり味方が敵にすり替わっていたというのは、もしかしたらその短時間で問題の士官に汚染されたかもしれない。……つまり、元々その士官こそが話題のオフィサーであり、全ての元凶だった可能性がある。最初からオフィサーとして中心にいたのに、自分は被害者を装っていたと」 


 考えをまとめるように独白した後 俺はポーンの子に尋ねた。


「名前は?」

「わ、私ですか? 安藤清香です」


 俺がナイトのせいか、ボブカットの彼女は、びしっと敬礼なぞしてくれた。


「よし、安藤さん。君を代理のまとめ役に任命するから、ここで別名あるまで、待機していてくれ。ただし、今ここにいるメンバー以外の味方が来たら、武装解除して俺が戻るまで待っててくれ。もちろん、非戦闘員も同じだ。なにせ、今から現れる新手は、誰であれ敵である可能性を捨てきれないからさ……できるかな?」

「や、やってみます」


 緊張したように頷く彼女の肩を叩き、俺は藤原に連絡を入れて、この処置を伝えた。


「つーわけで、俺はハンティングに出るんで、ここのことは安藤さんに連絡いれてほしい」

『わかった。せっかくの人数を使えないのは困るが……同士討ちされるよりマシだね……正しい処置だろう』


 ため息交じりに藤原が答えた。


「次から、敵に脳内スキャンの装置を簡単に壊されないようにしないとな。俺は別に判別つくんで、いいけど」

 イヤミのように言った後、俺は無線を切った。




 由美とリーナ、それに不安そうに俺を見る高梨に頷いてやる。


「よし、行動開始。……オフィサーを狩りにいこう」

「そ、そんな簡単にっ」


 高梨が呆れて言ったが、リーナと由美は張り切っていた。


「足を引っ張らないように、がんばります!」

「丈さまのためにっ」


「いや、俺のためにじゃなくて、作戦だって」


 俺はこつんと由美の頭を小突いた後、高梨に一応、声をかけた。


「なんなら、残っても――」

「ついていくわよ、もちろん!」


 気分を害したように、高梨が首を振る。

 弾みで、変形ポニーテールのしっぽ部分も、ふわっと舞った。


「わかった。でも、俺が合図したら、くれぐれも従ってくれよ……いつどこからオフィサーが飛び出すかわからんからな」


 俺はあえて脅しをかけ、自分はあくまで足取りも軽く出発した。

 地下は半分ショッピングセンターになってるが、慎重に全ての通路を通れば、そのうち見つかるはずだ。


 いよいよ、本格的なギフト持ちに出会うかな?


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