表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/41

丈さま、お怪我はっ

 これでも、「まあ、間に合えば助けてやってもいいよ?」くらいのつもりで急いだので、普通の人間では、なかなかついてこられないらしい。


 新たな力を与えたリーナはぴったりついてきたが、あいにくギフトを持つ以外は普通人の高梨は、俺がホームへジャンプした時点で、音を上げていた。




「ま、待って! 速すぎっ」


 気の強い彼女が言うのだから、本当に限界なのだろう。

 一刻を争う状況だけど、少し考え、俺は高梨に合わせることにした。


 高梨を一人にすると、今度は彼女が殺られる恐れがある。リーナをつけてもいいが、敵の手札がまだ読めないしな。


 地下一階の方から、散発的な銃声が今も聞こえていて、気になるんだが。


「こう見えて、部下思いだからなあ、俺……しょうがない」





「な、なんの話よっ」


 ようやくホームに上がった高梨が、息も絶え絶えに尋ねた。


「こっちの話だ。いいから、倒れない程度に駆け足! さっき星野教官が見せてくれた図面だと、地下一階の改札前を臨時の司令部にしてるらしい。そこまで急ぐぞ。多分、ルークもそこだから。あと二階分、上がらないと」

「わかるけど、桜坂さんはあんな場所に置いてきて、大丈夫なの? 警官隊の二の舞で仲間が死ぬのは困るわよ」

「はははっ、有り得ないね」


 俺は駆け足でエスカレーターを上がりつつ、鼻で笑った。


「火山の噴火口に放り込んだって、死ぬような奴じゃない」

「そんなタフに見えないけどっ」

「本当に手強い奴ってのは、凡人には普通そうに見えるんだな、それが」

「誰が凡人よっ」


「ストップ!」


 高梨の抗議を無視して、俺はまた手を上げた。

 エスカレーターを上がり切ったそこは、地下二階になっていて、待合室やら売店やらトイレやらがあるフロアだが……人払いをした割には、気配がする。


「現場はもう一つ上でしょ?」


 不思議そうな高梨に、俺は素っ気なく言った。


「んなことはわかってる。しかし、敵が潜んでるのに、素通りできないだろ。気付けよ、それくらい」

「ええっ!?」


 今頃驚いた高梨はともかく、リーナはさすがに遅れて気付いたらしく、俺にお伺いを立てた。


「丈さま、私が隠れ場所から追い出しましょうか?」

「そうだな……やってみてくれ」

「はいっ」


 嬉しそうに応じると、リーナはいきなり自分の元々持っていたギフト……つまり、ブリザードと私的に呼んでいる力を解放した。


 たちまちフロア内が白い吹雪で覆われ、売店やら休憩所やらが、氷結していく。

 途端に黒い影が飛び出して来たのを見つけ、俺は躊躇なく構えていた銃を撃った。




「ネズミさんのお越しだっ」


 光の尾を引いた魔導弾が敵の胴体を貫き、相手はもんどり打って倒れた。


「て、敵じゃないわよ、同じ隊員じゃないっ」


 倒れたバトルスーツの女の子を見て、高梨が騒ぐ。


「静かにっ。丈さまに誤りなどないわ!」


 早速リーナに怒られていた。


「リーナさん、どうしてそんなに人が変わっちゃったのようっ」


 喧嘩になりそうなんで、俺が助け船を出してやった。


「あいにく、あいつはもうボーダーだって。俺には気配でそれとわかる。それより、ちゃんと仕留めたか確かめるから、二人とも動くな」


「了解です!」

「それ以前に、本当に敵なのっ」





 めんどくさいので、俺はそれには答えず、銃をぶら下げたまま、ぶらぶらと近付いていく。

 そこまで言うなら、俺が自分で証明してやろうじゃないか。


 大の字になって倒れていたそいつは、確かにうちの生徒のポーンだったけど、もちろん俺は間違えてない。

 こいつは確かにボーダーだし、そろそろ――


「甘いな人間っ!」


 いきなりぐてっとなっていたそいつがかっと目を開け、しぶとく握っていた銃を俺に向け、連続発砲した。


 一発は右胸に、二発目は下腹部に命中し、今度は俺が倒れる番だった。

 敵はすぐに跳ね起き、次にリーナと高梨がいる方へ銃を向けようとしたが、あいにく俺を忘れてる。


「甘いのは、おまえじゃないか?」

「なにっ」


 落ち着いて言い返した時には、仰向けのまま、倍返しで四発発射した後である。

 ドンドンドンドンッと一続きに重い銃声が木霊し、最後に頭に命中した魔導弾のせいで、こんどこそ敵はぶっ倒れた。


「え、えええええっ」

 

 駆けつけようとした高梨が口元に手をやったので、俺は振り返って破顔した。


「な、これで納得しただろ? こいつは敵だって」

「どういうことなのっ」


 地団駄踏む高梨より先に、リーナが駆けつけてきた。


「丈さま、お怪我はっ」

「これくらいじゃ死なないよ、大丈夫大丈夫」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ