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父親が再婚したことによって姉萌えな俺に新しくお姉ちゃんが出来るといわれ期待していたのに我が家にやってきたのは太極拳の達人オー・ネイ・チャン先生だった話

作者: スモスキー

 「もう何がどうなってんだよ!意味わかんねぇよ!お姉ちゃん来ると思って期待していたのにやってきたのが太極拳の達人オー・ネイ・チャン先生というおじさんだったっていうのも全く意味わかんないけど、一番意味わかんねぇのは親父が連れてくる前に再婚するって言って連れてきたのがそのおっさんだってことだよ!そこが今一番怖いよ!何親父は俺の知らないところではどういう親父なの!果たしてこれからも親父って呼んでいいの?」

 『フトシ、部屋から出てリビングへ降りてきなさい。オー・ネイ・チャン先生にしっかり挨拶もしないで!失礼だろ!』 

 「うわ!今一番怖い人が下から話しかけてくる!もうやだよ!玄関先でいきなり無言で握手求められて渋々握手したら急に投げてくる人にはもう挨拶とかしたくねぇよ!俺家の玄関で大の字になったのなんて初めてだよ!酔っ払ってもないのに!」

 『すいませんオー・ネイ・チャン先生、息子は思春期で皆に心を閉ざしがちなもので』

 「五月蝿いよ!因みに今一番心を閉ざしているのはあんたにだよ!あれなんかカタコトな日本語が聞こえる。オー・ネイ・チャン先生日本語は喋れるのか…」

 『イイデスヨー。キット、ムスコサンモ、イズレハ、鶴が羽を広げる(バイフーリャンツー)のよう、キットココロヒライテクレマス』

 『あっはっは。流石先生上手いですね!そして次は大きなお碗を抱えていくと!』

 「何その会話!俺の知らない親父だよ!絶対太極拳用語的なやつだよ!え…、太極拳用語だよな?そのゲイ用語じゃないよな…、一回ぐぐろう…、うん大丈夫、太極拳の言葉だった。まぁこの状況は全然大丈夫じゃないけど」

 『おい、フトシ!先生がお前のために特別に本物の24式太極拳を見せてくださるそうだぞ!ネットにはアップされない本物のやつだぞ!父さん羨ましいなぁ!早くしないと始まっちゃうぞ!』

 「だから怖いよ!それで俺がリビングに下りてくると思っているのも怖いし、さっきから親父の声が未だかってないくらいオクターブ高いのも怖いよ!まさか親父がネコ?いやどちらにしろ嫌だけどもさ!まだタチのほうが救いが…」

 『おい、フトシがこないからはじま…』

 「何親父急に静まりかえるから怖いんだけど…」

ガチャン!

「何か割れた音!心配だから様子を見に行かなきゃ!」



 「意味わかんねぇ。本当にここは現実なのか?異世界じゃないのか?その証拠にリビング行ったらオー・ネイ・チャン先生が我が家の家具を壊しながらよくわかんない踊りを踊っていて、親父が泣きながらそれを見ていたんだ。絶対異世界だろこれ?確かに俺は異世界に行きたいって時折思っていたけど行きたかった異世界は無敵の力を持ってモテモテになるやつだからね!断じて、親父の涙が家具を壊された悲しさからくるものじゃなく、歓喜から来ているこの世界ではないからね!」

 ガチャン!

 「なに?2セット目?もう好きにしてくれ。もう絶対見に行かないし止めないから。というか、止められないことわかったから。なぜならさっき家具を壊す踊り止めようと後ろから羽交い絞めにしたら急に俺の身体がひっくり返って地面に叩きつけられたからな!まさかの今日2回目!しかもどっちもめっちゃ痛い!やつにはお姉ちゃんにあるべき優しさが皆無だよ!オー・ネイ・チャン先生には!」

 『すごいオー・ネイ・チャン先生流石です!』

 「親父のことももう諦めよう。もう無理だ。なぜならさっき俺が投げられた時、駆け寄ってきてくれて心配してくれたのかと思いきやドヤ顔で『陽にして陰、陰にして陽、表裏一体これが太極拳の真髄だ!』とか言ってきたからな。あれで完全に愛想が尽きたぜ。俺はこの家を出る。そして可哀想な少年を演じ、お姉さんっぽい女子大生の家に転がり込んで見せるさ。さよなら親父、そしてオー・ネイ・チャン先生。あぁ、本当今日は人生最悪の日だ…」

 ピンポ~ン♪

 『こんにちは~、え、何この惨状は!』

 「この麗しい声はオクターブの高くなった親父じゃない!完璧に女性の声だ!」

 『あぁ君か。実はお義父さんに太極拳を見せていただけてな』

 『お父さん!もうところ構わず太極拳をする癖は止めてっていつも言っているでしょ!』

 『スマナイ、ムスメ』

 『まぁまぁ、そのお陰で君と僕は出会うことが出来たんだから』

 『もう、あなたったら。あら、あなたの息子のフトシ君は?』

 『それがあいつ思春期だから心に壁を作っていてな。部屋から出てこないんだよ』

 『そうなの、それじゃ、フトシ君のために来年から大学生になる私の娘はこの家じゃなく別のところで暮らしてもらったほうがいいかも知れないわね。あの子、弟が出来るって喜んでいたけれど』

 バン!

 『トビラガヒラクオト、ソウカ。鶴が羽を広げた(バイフーリャンツー)カ』

 「父さん!オー・ネイ・チャン先生!俺はアンタたちを信じていたよ!本当今日は最高の日だ!今ならわかる陽にして陰、陰にして陽、それが太極拳ってね!」

 

 

 表裏一体手のひら返し、タイトル出落ちエンド!


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