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終末の歌姫  作者: 間宮冬弥
2/5

翠色の結晶

みなさん。こんにちは、そしてこんばんは。

作者の代弁者の紫乃宮綺羅々でぇ~す!


毎度だけど、ここはまえがきだから本編を読みたいひとは

下にスクロールさせてね。


終末の歌姫の第二話の完成でっす!


いや~第一話から四日のスパンで第二話。う~ん早い!

やばいくらいに早いよねっ!


さて、いきなりですが間宮冬弥さくしゃは先日PS4で配信された

マシ〇アスフォー〇ンというゲームをプレイしています。


これ面白い! と大絶賛しています。でもねぇ~見てて何回も

ゲームオーバーになってるんだよねぇ~それこそ9回しかないコンティニューを

使い果たすほどに。

でも、本人が面白がってるからいいよねっ! あはは!


それでは、第二話をお楽しみください。ではっ!

「……」

 それでも、それでもわたしは声を上げない。


「頑なですね。あ、ところで食事はどうしてるんですか? こんな所でちゃんと食べられてますか?」

 女の子はわたしのすぐ近くの距離まで詰め寄り、上目使いで心配そうにのぞき込む。


「う〜ん……顔色がすこし悪いですね? 栄養の採れてない食事ばかりじゃないですか? いつもは何を食べているんですか? あ、そうだ。これをどうぞ。ここにくる途中にラディアトームで買ってきたんです。おいしいですよ?」


 そういい女の子は肩掛けカバンの中に入っていた紙袋から、手のひらより少し大きいくらいの大きさの楕円形の物をふたつ取り出した。


 それは紙のようなものに包まれて、かすかに香ばしい匂いがするようだった。


「これは、『ハンバーガー』と言ってわたしの世界……じゃなくて、ラディアトームの勇者が考案した食べ物なんですよ。美味しいから食べてみてください」


 女の子は笑顔で『はんばーがー』という名の食べ物をひとつわたしに差し出す。


「遠慮なくどうぞ」


 差し出された食べ物を恐る恐る手に取り、観察するように横から見たり上から見たり裏返したりして、舐めるように見渡す。


「これは焼いた肉をバンズっていうパンで挟んだだけですが、色々と種類があるんですよ。チーズを挟んだりとか、揚げた白身魚の肉を挟んだりとか。肉を二枚挟んだりとかもありますね。あ、鶏肉を挟んだのもあるか。それと目玉焼きと肉を挟んだものはすごくおいしいですよ。今度一緒に食べましょう。できたてならもっとおいしいですから」


 女の子はこの『はんばーがー』という食べ物の説明でもしているのだろうか。この食べ物の種類を楽しそうに話し出した。


 女の子の話など聞かずにわたしはこの『はんばーがー』とかいう食べ物をじっと見ていた。いい匂いのするこの暖かい食べ物はわたしの食欲を掻き立てる。ここでは食べたことのない食べ物。どんな味がするのだろう……


「遠慮しないで食べてください」

「……」

「大丈夫です。毒とかは入れてないですよ?」

「……」

 そう。毒薬。それがこの食べ物に仕込まれているかもしれない。でも……もしそうなら魔王はなんでわたしを殺しにくるんだろう? さっきはわたしを殺しに来たと思ったけど……よくよく考えてみたら、わたしを殺す理由が見あたらない。


「信用されてないのかなぁ……少しショックです」

 そう言って女の子は『じゃあ交換しましょう』といい自分の持っていた『はんばーがー』を差し出す。


「……」

 わたしは手に持っていた『はんばーがー』を女の子に渡す。


「はい、こっちをどうぞ。こっちはチーズも挟まってるチーズバーガーですよ」

 女の子の持っていた食べ物を受け取り、さっきと同じように眺める。


「これで毒なんて入れていないって信用してくれました」

 見ると。女の子は慣れた手つきで包み紙をバナナを剥くように紙をはぎとり、中から現れた『はんばーがー』という食べ物をひとくち食べた。


「う〜ん、少し冷めちゃったな。火封石をもうひとつ入れてもらえばよかったかなぁ」

「……」

「マムトの味じゃないけど、これは本当においしい。勇者はやっぱりモグバーガー派なのかなぁ? なんとなく味が似てるなぁ」

 口をむしゃくしゃと動かし、とてもおいしそうに食べる。その姿を見てわたしの中で『食べたい』という衝動が『食べるな』という警戒より上回る。


「もう、はしたないですねぇ〜 食べるときはおしゃべり厳禁ですよぉ〜 ひとり言なんてもってのほかですぅ〜」

「いいじゃない。おしゃべりしながら食べた方がおいしいし」

「そうですかぁ〜 ひとり言ですよぉ〜」

「イヤイヤ違うから。マイラに話しかけてるんだよ」

「なら、先に私の名前を言ってから喋ってくださいよぉ〜」

 楽しそうにひとつの『ハンバーガー』を食べる魔王と精霊。


「見てるだけじゃお腹は膨れませんよ?」

 ふいに女の子がわたしへと声をかける。


「おいしいですから。食べてみてください。気に入ると思います」

 とてもかわいい笑顔で女の子はわたしに微笑む。微笑む口元にはなにやら赤いものが付着していた。血……ではなさそうだけど……


「あ、魔王さまぁ、頬にケチャップが付いてますよぉ?」

「えっ? あ、ホントだ」

「もう、だらしないですねぇ〜 私が食べているのでさっさと拭いてください」

「……残しておいてよ。私のなんだから」

「残しますよ。それにそもそも、私がこれ全部食べられるワケないじゃないですかぁ〜ひとくち、ふたくちだけですぅ〜」

「……」

 なんだろう。この魔王と精霊を見ていると、とても和やかな気分になる。


 そんな和やかな気分がそうさせたのか、わたしは『はんばーがー』の包みが紙を慣れない手つきでめくり上げて、出てきたはんばーがーを見つめる。


 二枚のパンに挟まれた肉から立ちこめる香ばしい匂いが食欲を刺激してやまない。


「……」

 唇を近づけ、口を開ける。


「……」

 意を決してわたしは『はんばーがー』を口に入れ、歯を立ててひとくち食べた。


「おいしい……」

 それは、今まで食べたことのない食感と味。そして口の中で広がる肉汁とパンがマッチして見事な味に仕上げている。


 自然と顔がほころぶ。感動すら覚える。

 なんだろう? これは……なんかすごくいい感じだ……


 『はんばーがー』これを作った勇者は天才だと思った。


「おいしいですか?」

「おいしい……っ!」

 しまった……つられて答えて……!


「それはよかったです」

 でも、女の子は何事もなかったように動いている。


「……」

 動いて……『はんばーがー』を食べている……どうしてなの?


「どうして……」

「どうして? どうしてというのは? どういう事です?」

「なんで……死なないの?」

「死にませんよ。まぁう〜ん、そうですね……それはわたしが『魔王』だからです。かね?」

 恥ずかしそうにそう言うと、魔王と自称する女の子は後頭部さすり照れをごまかしているようだった。


 でも、この女の子が魔王だと言うこと。それは知っている……知っているけど……それだけじゃない、と思う。私の声で死なない理由が。


「魔……王だから……死、なないの?」

「そうです」

「他には……」

「……そうですね……他の外的要因があるとすれば……」

 魔王と名乗る女の子は胸を押さえ、口を開き言葉の後を紡ぐ。


「わたしには『闇の加護』って呼ばれる見えないバリヤーみたいなものが張られているからですかね?」

「ば、りやぁ?」

 聞き慣れない単語にわたしは思わず聞き返す。


 それでも、この女の子は死なない。わたしの声を聞いても死なない。本当に魔王なのかもしれない。


「あ、そうですね、わかりやすく言えば……えっと……見えない盾が私の周りを囲んでいる……みたいなものかな? うまく言えないけどそんな感じです」

「……」

 黙る。言葉が見つからない。浮かばない。何も思いつかない。精霊。魔王。闇の加護。これで十分なのかもしれない。わたしの声を聞いて死なない理由は。

 でも、わたしの声を聞いて死なない事が一番の理由かもしれない。このひとは……正真正銘の本当の魔王だ。ということが。


「歌姫さん。今日ここに来たのは理由があります」

 改まってわたしの目を直視し、魔王は少し思い口調で切り出した。


「……」

 と、思ったのだけど、女の子はいきなり残ったハンバーガーを全部口にかき込んで飲み込む。


「ん〜〜〜! ごほっ、ごほっ!」

「も〜一度にそんなに口に入れるからですぉ〜 ちょっと待っててくださいね」

 精霊は女の子のカバンに入り込み中で動き回っているのか、カバンが凹凸(おうとつ)を繰り返す。


「ありましたよ。はい、お水です」」

「ご、ご、ごめ……んっ!」

 精霊は小さい水筒を探していたのだろう。

 カバンから両手で重そうに取り出し女の子に渡し、急いで封をあけて水を喉に流し込んだ。



「なんでいきなり全食いしたんですか?」

「真剣な話をするのに食べながらだと失礼かなって思って」

「真面目ですねホントに!」

「んっ、ふぅ〜〜〜〜〜〜……すいません。お見苦しい所をお見せしまって」

 深く息を吐いて、口の中にほうばっていたハンバーガーを全て流し込んだのだろう、落ち着きを取り戻した魔王は改めてわたしの方に視線を向ける。


「……」

「歌姫さん。突然ですけど、わたしの城に……魔王城に来ませんか?」

「えっ!? 魔王……えっ?!」

 突然、そんなことを言われて、言葉に詰まってしまった。


「私にはあなたが必要なんです。お願いです。わたしと一緒に来てください!」

「えっ……と」

 目の前の魔王は深々と頭をさげて……わたしに『懇願』をしている……


「魔王さまぁ! いけませんよぉ! あなたが(こうべ)を垂れるなんて!」

「いいのっ! 言ったでしょ。上も下もないって……お願いマイラ……わかって」

「まったく……わかりました。口出しはしません……」

「ありがとう」

 黒い羽根の精霊は頭を下げた魔王を見たくないのかそっぽを向いている。


「お願いです。私と一緒にいきましょう」

「と、とりあえず……えっと、顔をあげてください」

「じゃあ……!」

 顔を上げた魔王は嬉々として顔を上げた。


「あの、理由はなんですか? なんでわたしが『必要』なんですか?」

 わたしは問う。魔王に問う。


「切実に必要なんです……私の『願い』を誰にも邪魔させないため……わたしにはあなたのレオンレイク国を滅ぼした悪名が必要なんです。あなたの『殺戮の歌姫』という異名と名声が」

「知ってるんだ……」

「はい、失礼を承知でアルストリア平原とレオンレイクで見せてもらいました。あなたの悪行を」

「見た……の?」

「はい、地脈(レイライン)を通して見る『過去視』という特殊な魔法で」

 すごいな……魔王は過去をみれるんだ……


「どうして……あなた魔王なんでしょ? わたしなんて……」

「いいえっ! 私にはあなたが必要なんです」

「わたしに邪魔者を殺せ……ってこと」

 また……わたしは歌姫(へいき)として歌を歌うのかな……


「違います。むしろ逆です。ひとを殺さないためです……」

「えっ……」

 予想外の答えに驚く。ひとを殺さない? 魔王が?


「もし、あなたの悪名が私の元にくれば『魔王はあの殺戮の歌姫を味方につけた』となります。そしてそれは絶大な『抑止力』になります。そうなれば私に挑む者も激減し、私は行動しやすくなります。それに……」

「……それに……?」

「誰も殺したくない……だから……私は……」

「……殺したくない?……」

「はい。そうです……あなたもそうですよね? 無理矢理に……その、やらされたんですよね?」

「……どうしてそう思うの?」

「だって……泣いてたじゃないですか? アルストリア平原でも……レオンレイクでも……あなたは泣いていた。歌詞を歌い上げる度にあなたの瞳から血に混じった涙が流れてたから……」


「……」

 誰も殺したくない……そう、わたしだって誰も……


 皮肉だ。一番ひとを殺すかもしれない魔王(ひと)にわたしは知られた。


 でも……こんな魔王がいるんだ……こんなやさしい思いを持った魔王が……


「願いってなに?」

「えっ?」

 逆に質問を投げかける。


「始めに言ったでしょ? 私の『願い』を邪魔されないためって」

「それは……」

「言いたくないの?」

 魔王は口ごもる。口を一文字に塞ぎ視線を落とし言うか言わないか考えているみたいだった。


「……私の願いは『世界をひとりにさせる』させることです」

「は?」

 世界をひとりに……させる?


「やっぱり意味がわかりませんよね? えっと……わかりやすくっていっていいのかわからないけど……」

 そう前置きした魔王はその後の言葉を探しながら話し出した。


「この世界はひとりの『勇者』とひとりの『魔王』で成り立っています。勇者が死んでも次の勇者が無差別にひとり選ばれ継承され、同じく『魔王』も死ぬと次の魔王がひとり無差別に選ばれ継承される。世界を越えてでも確実に誰かが魔王と勇者に選定されてその能力(ちから)を継承させられる」

 確かにそう。勇者と魔王。この世界には常にこのふたつの『強大な力』がある。


「歌姫さんは考えたことありますか? どうして常にこのふたりが存在しつづける事を? 一瞬でも思ったことがありますか? もし、勇者と魔王が永遠に居なくなればこの世界がどうなるかを?」

 それは……そんな事思いも付かなかった……


「思いつきませんよね? だってそれがこの世界では『当たり前』となっているんですから」

「まって、でも……世界をひとりにさせるって……」

 もしかして……わたしの想像が正しければ……魔王の願いって……


「そうです。たぶんあなたが思っている事が正解です。私は……この世界から『勇者』と『魔王』を……『継承システム』を消して、『世界をひとり』にさせます。永遠に。そうしないと……この世界と人々は勇者と魔王に依存しつづける事になるから……先に進めないから。それが叶えたい私の願い」

「それが……願い……なの?」

 もし、それが本当に願うことなら……そう言うなら、目の前にいる魔王は……自分すらも……『消す』の……?


「だから、私にはあなたの存在が必要なんです。お願いです。悪いようにはしません。だから……」

「……でも……彼が」

 わたしは後ろを振り返る。『彼』が待っている空が見えるあの場所を


「彼? 彼と言うには……もしかしてさっきあなたの隣にあったモノですか?」

「物? 物ってなに? 魔王はひとを物扱いするの? あの憎たらしくて最低な将軍と同じね」

 ココロがザワつく……なにこれ、目の前の魔王がなんか、イライラいてる……


「いいえ。私はひとを物扱いなんてしません。ですが……アレすでにひとではありませんよ」


「……! な、なに言ってるの? 彼は……わたしの歌を綺麗だって……もっと聞いていたいって……! だから!」

「歌姫さんも気づいていますよね? あなたが気づかないとおかしいんです? だって……この森は……」

「……言わないで!」

 膝から力が抜け、膝が土に接触しおしりも土に付く。


 顔を両手で塞ぎ、目を閉じ視界を完全に遮断した。


 聞きたくない。認めたくない。信じたくない。



 絶対にイヤだ!



 『すでに『あなたが殺して』いるから』



 聞こえない。聞こえない! 違う! わたしは……違う! 彼は……まだ……しゃべらないだけで……!



 いないなんて……違う!



「……これを」

 静かな声だけが聞こえる。


「受け取ってください」


 受け取って……?

 魔王はわたしに何かを差し出したのだろうか?


「これは、あなたの『声の効果を無効化』する特殊魔法をペンダントにしたものです」

 声を無効化……


「レオンレイクはすごいですね。あなたの為だけにこの魔法を作り上げた。ペンダントに篭められた魔法はそのレオンレイクの技術をさらに発展・進化させたものです……ですけど、すいません。あなたの声を完全無効化させる事はできません」


 震える手で、わたしは魔王から差し出された『ペンダント』を手にする。


 そのペンダントにはめられた石はまるで落ちる涙のような形をしていて……綺麗な翠色の光を放つ。


 不思議な感じの翠。それは不純物がない高純度の……透き通る透明な水晶のようだった。


「……」

 綺麗すぎて言葉がでなかった……目を奪われるこの水晶にわたしは視線と心が持って行かれていた。


「完全に無効化はできませんが、このペンダントを首から下げていれば、あなたの声を聞いてひとは死ぬことはありません。このペンダントを肌身離さずに持っていれば、あなたは『ひと』として普通の生活ができます。普通にしゃべれます」

「ひと……わたしが……? しゃべれる……?」

 魔王のその言葉でわたしは違和感を覚える。


 『殺戮の歌姫』と言われて、迫害、隔離、忌み嫌われて、罵られて……兵器として保管されていたわたしが……ひととして……生活を送れる……?


「いらない……」

「えっ……?」

 魔王の戸惑う顔が浮かぶ……それはそうだ。わたしがひとと同じ生活を送る? できないよ……


「できるわけないでしょ……わたしは……わたしは、殺戮の歌姫なの! 見たでしょ? 数千、数万の命を……わたしは一瞬で奪ってきた! そんなわたしがどの顔をさげてひとと同じ生活ができるの! ねぇ!」

「レオンレイクの滅亡に関してはあなたのせいじゃない」

「そうだけど! ……でも、結果的にわたしが殺した事は変わらない」

「それでも、あなたのせいじゃありません」

 何、いやな感じが、感情が溢れて……止まらない……


「うるさい! 無理なの! 普通なんてわたしには無理!」

「無理じゃないです。できますよ」

「なんで!」

 溢れ出すものを押さえることができない……口から……言葉が溢れてくる……


「私はあなた以上に……もしかしたら大勢のひとを殺してしまうかもしれない……人々があなたの事を忘れるくらいに大量に。そうなればみんなは私を憎み、そして世界中から恨まれて……憎まれて、嫌われて、そんな事をして、私は悪行の限り尽くすんです。これから」

「へっ……」

 何言ってるの……わたし以上に……って言った……の?


「だから、あなたはすべて魔王(わたし)のせいにすればいいんです。殺戮の歌姫に仕立て上げられたのも魔王のせい。ひとを殺したのも魔王のせい。そして、仲間になったのも魔王のせい……嫌々だった、脅迫されたってそう言えばいいんです」

「なんで……」

「時間はかかるかもしれないけど……あなたは『ひと』に戻れます。だからその一歩として、魔王(わたし)を利用してください。私もあなたを利用しますから」


 なんで、そんな、そんなやさしい顔でそんなひどい言うの……? どうしてそんな穏やかな顔ができるの……?


「そして、この世界に魔王と勇者がいなくなったら、歌の呪縛に捕らわれず自由に生きてください。それまであなたの悲しみはすべて私が背負います。いづれ私はいなくなりますけど……私がいなくなるその日まで、すべて背負います」


「どうして……わたしなんかを……そこまで」

「言いましたよね? 私にはあなたが必要なんです。利用させてください。あなたの殺戮の歌姫の悪名と名声を」


「わたしは……わたしは……」

 ペンダントを両手で包み胸の前で握る。


 それはまるで神に祈りを捧げているような格好。胸で十字を切り、目をつ瞑り祈りを捧げている行為そのもののよう。


 でも、わたしの目の前にいるのは神なんかじゃない。王と名が付く魔人だ。ましてはわたしは祈りなんて捧げてはいない。それでも、それでもわたしは思ってしまう。このひとは……目の前にいる魔王は……わたしの呪いから救う希望じゃないのかと。口が裂けても言えないこの思いを胸に抱き、闇を纏う王をわたしは神々しく、切望の眼差し見上げてしまう。


「いっしょに……いきましょう。魔王(わたし)が消滅するまで」


 差し出された手を……わたしは握ることはできなかった……


第三話に続く。

こんばんは、間宮冬弥です。

まずは、最後まで読んで頂きましてありがとうございます。


第三話ですがだいたい仕上がってるので来週あたりには投稿できそうです。

自分でも恐ろしいくらい早いペースで出来上がってるのでびっくりしています。


でも、面白いかは別ですけど…


では、短いですがこれで失礼します。次回、第三話で会いましょう。

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