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プロローグ

 別にヒーローになりたかった訳じゃない。ただ少し……ほんの少し、いい事をしようとしただけだ。

 それは例えば、授業の5分前に席に着くとか、泣いてる子がいたらハンカチを渡すとか、困ってる人がいたら話を聞くとか――――ある程度の“当たり前”に自分から1歩踏み出せる“正しさ”。その程度。

 善行とは、日頃の小さな行いの積み重ねからだと両親から教わった。“爾に出ずるものは爾に反る”――――善悪に関わらず、自分のやった行いの報いは必ず自分に戻ってくる……幸運も不運も自分が招く、というもの。だからこそ良い事をしなさい、と……。

 綺麗事にも聞こえるが、そんな事も時には大事な事だと、大好きな本からも教わった。

 本は色んな事を教えてくれる。それをどう受け入れるかは育ってきた中での感性や教えで変わってくるが、それでも色んな事を教わって学んできたと思う。そしてそれらは、色んな疑問を自分に与えてくれる。

 そういえば、最近読んだ本に異世界転生するお話がある。ファンタジーや恋愛、ミステリー。人としてや魔物として転生するものなど色々あるけど、内容よりも先にスタートで気になる事が1つあった。


 何故、転生する時にトラック死なのだろうか?


 不運な事故、というやつでもトラック事故は多い。着眼すると「トラック運転手……安全運転頼むぜ……」とか無駄な所に思考が飛ぶが、最もな理由としては死亡率の高さだろう。

 字面からして、死ぬ。

 これが例えば『乗用車が突っ込んで来ました』だとしよう。すると、なんだか跳ねられるだけで存外、生きてそうな気がする。実際にぶつかった事は無いし、もし本当に跳ねられたらかなりの重症。そして、結構な確率で死ぬだろう。

 けれど“生存確率が高い”という点がやはりネックなのだろう。「生きてるんじゃないの?」と思わせてしまったら物語は始まらない。ミステリーもファンタジーも、ある程度の不可解な出来事と確固たる不運の重なりによって起きるもの。何がどうして、こうして、そうしてこうなったが必要なのだ。


――――だからきっと……これはその始まりの序章(イントロダクション)


 だって――――乗用車が突っ込んで来たと思ったら見事なドリフト描いて俺を避けて、感動したと思ったら、その後ろを走ってたトラックが目の前に来たんだぜ?



 そうでも思わないと――――損な事だろ。



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