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 あれ? どうしてこうなった……?


 現在、私の家のダイニングテーブルの椅子に座っているんだけど目の前にはお母さん、その横になっちゃん、そして私の隣には……。


 「本当に僕までご一緒してもいいですか? ご迷惑じゃないですか?」

 「いいのよ~、一人も二人もそんなに違いは無いもの、お父さん今日遅いし一緒に夕飯食べてくれたら私も悠莉も嬉しいわ」

 「ありがとうございます、僕も嬉しいです」


 ニコニコとお母さんに笑かけた後、私にキラキラスマイルを向ける葵くん。

 ま、眩しいやめてーー! いや、やっぱ止めないで! どっちだよ私よ!!

 ちょっとパニクってるよね! いやいやでもパニクりますよね!! 彼氏ーーと言うか、好きな人が家に来てご飯とか……!!

 葵くんが帰りに私を家まで送ってくれて、葵くんに気づいたお母さんが夕飯に誘って今に至るんだけど。


 なにこれえええ、リア充! 私リア充なの?!


 気持ち的には、葵くん来てくれてありがとうーー!! って叫びたいけど、不審人物になりそうなので、グッと堪えますとも!!


 落ち着けーー、ひっひっふーー! あれ、これ何か違う!?


 「さとさん、相変わらず綺麗ですね」

 「あらあら~なっちゃん上手になったわね♪」


 なっちゃんとお母さんの会話を聞いて、小さい声で「さとさん?」と呟いた葵くんに耳打ちする。


 「お母さんね、山里千里(やまさとちさと)っていうの、さとさと~ってなっちゃんのお母さんに呼ばれてるんだ」

 「だから、さとさんなんだね」

 「うん」


 説明してるうちに落ち着いてきたよね、よしよし。

 そう思いながら、コップに口を付ける。喉を通る水が冷たくて美味しい。緊張して気付かなかったけど、思ったより喉が渇いていたみたいだ。


 うん、落ち着いてきた! もう大丈夫!!


 「もしよかったらでいいのですが僕も、さとさんって呼んでもいいですか?」

 「いいわよ~、何ならお母さんでもいいわよ?」


 ぶっふぉ!!


 お母さんの言葉に動揺して口に含んだ水を吹き出してしまった。


 全然大丈夫じゃないいいい!!

 ちょっと待ってちょっと待っておかーーさーーん!!


 「悠莉、汚いじゃないの! めっ!」

 「おかっおおおかっお母さん、何言っちゃってるの!?」

 「そうですね、いつか呼ばせていただきたいです」

 「あっあっあおいくーーん!!」

 「何かな?」

 「っ……」


 あざとい笑顔で首かしげてる葵くんが可愛すぎて何も言えなくなってしまった。

 顔が熱すぎる。家に来てくれたシチュエーションだけでも私的に御馳走様だったのに、お母さんとのやり取りで脳内にリンゴーン♪ って鐘が鳴ったよね。

 ……これも演技なのかな? でも最近の葵くんの言葉を振り返ると好意持ってくれてそうなんだけど、ハッキリ言われてないから分からない。

 ヒロインのフラグが確実に折れたら、私の気持ちを伝えてみようかな……? 両思いだったら嬉しいし、片想いでも友達として仲良くして欲しい。


 「悠莉?」


 私が固まって、そのまま考え事していたからか葵くんが私の頭を撫でながら声かけた。


 「あらあら、からかい過ぎちゃったかしら?」

 「……ほんとだよ! お母さん、やり過ぎ!!」

 「ごめんね?」


 ニコニコしながら手を合わせて謝るお母さんは、全然反省しているのを感じない。

 寧ろ、私がちょっと嬉しそうなのを分かってる顔だ。


 「僕もごめんね?」


 葵くんも申し訳なさそうに謝っているけれど、どこか嬉しそうな感じがする。


 ……何か気があってませんかね?! この二人!!


 ふと、テーブルを見つめて考えてるなっちゃんが目に入る。眉間に皺が寄って機嫌が悪そうだ。

 あっ?! そう言えば、ご飯おあずけ状態だよね?! ごめんねなっちゃんんんん!!


 「もういいよ! じゃ、食べよう! なっちゃんもお腹すいたよね?」

 「あ、あぁ……」

 「あらごめんなさいねーー? じゃ、いただいましょうか」


 お母さんが胸の前で手を合わせると、私も葵くんもなっちゃんも同じ様に合わせる。


 「では、いただきます♪」

 「「「いただきます」」」


 皆で声を合わせると、箸を取り各々ご飯やおかずを口に運ぶ。


 美味しい。いつもより美味しく感じる不思議。

 いや、不思議じゃないよね。葵くんがいるから美味しいんだろうな……!


 浮かれていると、相変わらず眉間に皺を寄せてるなっちゃんが目に入る。

 そういえば、急にご飯に来るなんて久しぶりだよね……、もしかして何かあったのかな? 後で聞いてみよう。


 その後もお母さんと葵くんに、からかわれながら楽しく夕飯を終えた。


 「葵くん、来てくれてありがとう」

 「ふふ、変な悠莉。夕飯御馳走になってるこっちが普通お礼言うのに。こちらこそ、ありがとう」

 「葵くんが来てくれて楽しかったよ!」

 「僕も楽しかったなぁ」


 談笑していると、いきなりどこからかクラシックが聞こえてくる。これどこかで聴いた事あるような……?

 葵くんは携帯を取り出すと、そのまま出る。


 葵くんの着信メロディか! これ、誰かが口ずさんでた様な気がするんだけど誰だったっけ……?


 葵くんは電話の相手と話してから、お母さんに代わってまた葵くんに代わって携帯をスボンのポケットにしまう。


 「迎えを寄越すって、何か急用があるみたいだ」

 「えっそうなの?! 無理矢理誘ってごめんね」

 「いや、狙って来たのはこっちだから」

 「えっそうなの?!」


 びっくりしてる私の耳元に口を寄せると


 「そうだよ悠莉の……、彼女の幼馴染みが行くって言うし、俺も行きたくなるでしょ?」


 そう言ってウインクする葵くんに心をズキュンと撃ち抜かれながらも「そうですね」って頑張って応えた私偉いいいい。

 この人はどんだけドキドキさせるのか!! 心ではちっさい私が「もぉー!」って言いながら床を叩いて悶えています。


 そんな時インターフォンが鳴った。


 「あ、来たかな?」

 「えっ早いね?!」

 「そんなに遠くないからね」


 玄関に向かうと、お母さんが黒髪で眼鏡な紳士なお兄さんと会話している。

 私達に気付くと、彼はこちらに向かって一礼した。綺麗な動作で一瞬見惚れてしまった。

 動作も綺麗なんだけど、この人すごいかっこいい!!

 もしかしてこの人!! そう思って横にいる葵くんを見ると、私の言いたい事が通じたのか目が合うと頷く。

 

 「うちの、有能な執事で隠しキャラだよ。俺をクリアすると攻略可能になる」


 私にしか聞こえない様な小さな声で囁いた。


 やっぱり! 攻略対象者の人達はかっこいいし、何かこの人? って思う不思議な雰囲気がある。失礼ながら見つめてたら、にこっと微笑んでくれた。

 ……照れる。余裕のある大人な雰囲気のお兄さんにドキっとしたら、隣にいる葵くんに顔を挟むように両手で向きを変えられる。


 「ん?」

 「悠莉、他の男ばっかり見ないで俺を見て?」


 葵くんんんんん!!!!


 至近距離のキラキラ笑顔で言われて私は撃沈しました。

 キュン死ってあるんだね! ふっと気が遠くなった時に体が浮いて、一瞬天使が見えたような気がしたけど、その天使に人差し指で頭を押されて現実に戻って来たよ!!


 「返事は?」

 「ふぁい!」


 真っ赤になりながら、変な返事をしてしまった。そんな私を見て葵くんは満足そうに微笑む。


 「じゃ、また明日ね? さとさんありがとうございました」

 「うん、また明日……」

 「いえいえ、また来てね~」

 「はい、ありがとうございます。では失礼しますね」


 外まで見送りはいいよって言われたけど、見送りたいから一緒に外に出ると高そうな車がうちの前に止まっていた。

 執事さんがドアを開けて葵くんが軽く手を握って車に乗るをのを見ると急に寂しくなる。

 車が動き出して車が見えなくなるまで手を振り続けた。……うん、やっぱり寂しい。


 ぴよぴよぴよ♪


 わたしのメールの着信音が鳴った。もしかして葵くんかな?!


 メールボックスに開くと葵くんからのメールで、喜んで文章を読もうとしたら、


 「……なあ、ゆうに話があるんだけど、いい?」


 振り返ると、なっちゃんが真剣な顔で私を見ていた。


 「う、うんいいよ」


 何だかいつもと雰囲気が違うなっちゃんに動揺しながら、応える。


 「じゃ、ちょっとそこの公園まで歩こうか。帰りは勿論送ってくし」

 「あ、うん」


 なっちゃんは小さく頷くと歩き出す。その隣にならんで歩くと歩幅を合わせてくれる。

 なっちゃんは昔っから優しいなぁ……、なんてぼんやり思いながら歩いて行く。


 なっちゃんが悩んでるなら力になりたいな





  

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