オオカミと嘘つき少女
昔むかし、羊を沢山飼っている村に少女がいました。
少年は村中の羊を一人で任されて、雨の日も風の日も休むことなく羊の世話に明け暮れていました。
ある日いつものように羊を連れて散歩に出掛けると、隣の山に小型の狼の群れを見かけます。村人に話すと、ここは狼の出る土地じゃない、と言って取り合ってくれません。
他の村人たちも、一人でどうにかしろ、俺達は忙しい、と昼寝を邪魔されて機嫌を悪くさせます。
毎日訴えて三日も経つ頃には嘘つき呼ばわりされるようになりましたが、少女は言葉を重ねました。
その翌日の昼前、いつものように村人たちがうたた寝をしていると、少女が山中で見た狼の群れが村にあらわれ、村中の羊が襲われだしました。
少女は追い払おうと杖を振り回しますが、足を噛まれて動けなくなってしまいます。
村人達は狼を恐れて、少女が助けを呼ぶのも無視して近寄ろうももしません。
やがて昼下がり、村にいた全ての羊が息絶えて狼が去ると、ようやく村人達は少女の前に集まります。
羊をすべてやられたのはお前のせいだと、自分達の行動を省みることなく少女を殴る蹴るの暴行を繰り返しました。
夕暮れと共にやって来たのは、人の身丈を大きく超えたオオカミでした。
少女を暴行する村人たちをオオカミが蹴散らすと、無事な村人たちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行きます。
その場に残った少女はオオカミに連れられて、安らかなる地で過ごすことになりました。
おしまい。
これはイソップ寓話『嘘をつく子供』をモデルとした作品です。
現代では『オオカミ少年』という題で有名な話ですが、これは狼に襲われるのが少年だと改悪されたものです。
元々の話では狼に食べられるのは羊の群れとなっており、嘘をついてはいけないということではなく、大人に対する教訓にこそ意味があると思っています。それは子供にきちんと教える (放置するな) ということと、狼 (災害や病に限らずあらゆる脅威) の存在を警戒し対策を怠たるなという事です。
これは今現在でも色褪せることなく通用する考えなので、もう一度日の目を見ることを願いここに記します。




