私たちは、メイド
「「行ってらっしゃいませ」」
優孝様を見送り今日もメイドの一日が始まる。
「さて、それじゃミーヤ。あなたは、3階ね」
「分かった」
私たちは、優孝様を見送った後屋敷の掃除が始まる。私は、1階と2階。ミーヤは、3階と2階。基本的に窓を拭いてそのあと廊下を掃く。お互い耳に通話が出来るように通信機をはめ込んでいる。これをしていれば何処で何をしているのかがすぐに分かるから非常に便利だ。
「よいしょ」
優孝様の両親が一時的に海外に行くことになり、それに同行するため先輩メイドを10人連れて行ってしまったため、この屋敷を2人でお掃除することがとても大変。だけど、やりがいはある。
私とミーヤを助けてくれた優孝様の祖父。重弦様が病気でお亡くなりになって2年が経った。ある日、旦那様から私とミーヤに1枚の手紙が渡された。その手紙は、重弦様からだった。
『カルネ。ミーヤ。
お前たちは、これから優孝の傍にいてやって力を貸してあげなさい。
もう、守られる側ではなく誰かを守る側に就きなさい。だから、2人で優孝を守ってくれ。頼んだぞ』
短い文章だった。だけど、これを機に優孝様の専属になると心に決めてここまでやってきた。
優孝様は、あまり人に頼ることはしないお人だから少々困ってしまう。小さいことでもいいから頼ったり、相談してくれたりしてほしい。
しかし、この前の事だった。優孝様がお付き合いしている華怜様と別れたいと言って相談してくれたのだ。私は、恋愛とかあまりよく知らないが優孝様の力になりたかった。理由を聞くと華怜様の事を思ってのことだった。私は、さすが優孝様と思った。お優しいと。たくさん悩んだんだと。だから、私も親身になって相談にのった。そのあとは、なんとかうまくいったようで良かった。
お昼。午後の仕事を始める前に私たちは、訓練をしている。何の訓練というと。対人戦闘だ。優孝様は、人に狙われやすい家柄のためどんな状況でも、襲ってきた人物を制圧できるように日々の訓練は欠かせない。今までは、先輩メイドたちが相手をしてくれていたけど今はいない。お互いが工夫して鍛えてる。
「ミーヤ。私より強くなったんじゃない?」
「……そ、そんなことないよ」
「ふぅ。よし。そろそろ。仕事を再開しよ」
「わ、分かった」