ひ、額に手が!頭がぁ
「神山さん大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。心配かけちゃってごめんね」
目的地のショッピングモールに到着すると、土曜日ということもあり施設の中は、とても混雑しており、すれ違うのも大変でそれでいてとても暑い。いくつかの店に入り海沙が服などを購入したあと、頭が痛いと言うのでカフェに入り昼休憩していた。
「神山さんって人が結構いるところ苦手?」
「そうなんだ。まさかここまで混んでると思わなかったよ。川中君は?」
「まぁ。俺も人が多いのは、好きじゃないな」
「これだけ混んでるならあまり長居しない方がいいね」
「他にどこか行くの?」
「ここの向かいに水族館があるの!行かない?」
「水族館。いいけどそこも混んでないかな?」
「少なくてもここより混んでないと思うけど……止めとく?」
「いや、今日は、デートだから神山さんが行きたいところ行くよ」
デートということにビクンっと体が反応してしまう。すると、急に顔が熱くなってしまう。
「大丈夫神山さん?」
海沙のちょっとした変化を見逃さなかった優孝が、徐に海沙の額に手を添える。
「なななななななっ!」
口がパクパクして止まらなくなり、すぐそこに優孝の顔があると目を逸らさずにいられなくなる。
「ちょっと熱い?もしかして熱?」
「そそそそそそんなことない!ほ、ほらここ凄く暑いじゃない?そのせいだよ!」
慌てて弁解する海沙。その時の否定する手の動きが高速すぎて、残像を生みだしていくつもの手があるように見えた。
「頭痛治った?」
「す、少し痛いかなぁ~」
「ちょっと待ってて」
優孝がポケットからスマホを取り出して、通話を始めた。
「もしもし。カルネ?頭痛薬持ってる?」
駐車場で待機しているカルネに連絡を取り、頭痛薬を持ってくるように指示を出す。
10分後。メイド服の姿で現れたカルネ。
「お待たせしました」
「あ、ありがとうございます」
「カルネ。俺たちこの後、向かいにある水族館行くんだけど。近いから歩いて行くよ」
「分かりました。それでは、近くの駐車場で待機しておりますので、何かありましたら連絡してください」
深くお辞儀をしてその場を後にするカルネの姿を、誰もが視線を向ける。なんたってショッピングモールにメイド服を着た美人が現れたのだ。あの美人は、本物のメイド?それともコスプレ?誰もがそう思った。
「もう少ししたら行こうか神山さん」
「うん」