1位vs2位
優孝と華怜の破局話が収まらない今日この日。色々なところで何故別れたのかと聞かれ続けた優孝。ようやく昼の時間になり鞄から弁当を取り出すと。
「川中君」
クラスメイトの神山 海沙が恥ずかしそうに声をかけてきた。
「神山さん何?」
海沙とは、1年の時から同じクラスで時々話をする仲。だけど、優孝からは、あまり声をかけない。茶髪のショートヘアで部活は、吹奏楽部でフルートを担当している。実家は、2駅先でケーキ屋さん。地元だととても有名らしい。
「一緒にご飯食べてもいい?」
「いいよ」
「本当?待ってて椅子持ってくる」
今日の弁当は、ミーヤが作ったらしく得意の唐揚げが詰められていた。というか唐揚げしかない。カルネとミーヤは、どっちも料理はうまいがレパートリーの数は、カルネの方が多い。
「川中君は、唐揚げが好きなの?」
「まぁ、好きな方だけど」
優孝の机にお互いの弁当を広げて昼食を始める。
「でも、これだとバランスが悪いよ?自分で作ってるの?」
「メイドが一日交代で作ってるんだ」
「メ、メイドさんがいるの?」
「うん。今は、2人家にいるよ」
「へぇ~。凄いね。本物のメイドさんとか見たことないから見てみたいな」
「優孝!いますか!?」
突如大声で教室に入って来たのは、華怜だった。優孝を見つけるなりやって来た。
「今朝の掲示板のことでお聞きしたいことがあります。あれは、優孝がやったのですか?」
「華怜。あれを見てたのか」
「どうなんですか?答えてください」
華怜の態度は、明らかに怒っていた。自然だと自分では思ってるのかもしれないが、感情が噴き出ている。優孝が弁解しようとした時だった。
「あれは、私がやったんだ」
隣で自分の机で寝ていた夏織が起きて立ち上がった。
「そうですか。鹿野さんの仕業でしたか」
掲示板の首謀者が夏織と分かると華怜は、さらに不機嫌になり始めた。学年成績1位と2位生徒同士が睨み合う。この騒動にクラス内はもちろん、廊下を歩いていた生徒たちも興味津々で覗き込む。優孝のと一緒だった海砂は、挙動不審でどうしようと慌ててる。
「何故あのようなことをしたのですか?」
「2人が別れたことをみんなに知らしたかっただけだよ。それか会長さんが優孝の言葉を受け入れたらやらなかったかもね]
「なっ!」
「優孝は、別れたと思ってるけど会長さんは、違うんでしょ?それってどうなの?嫌な女」
「わ、私は……」
言葉が詰まってしまった華怜に。
「そこまでだ」
2人の間に優孝が割って入った。