華怜どこに
「……さま。ゆた……さま。優孝様!」
「カルネ。ミーヤ。俺は……っ痛!」
目を覚ますとカルネとミーヤが覗き込むように見ていて、起き上がると首筋に痛みが走った。辺りを見渡すと華怜は、いなかった。水の入ったペットボトルを優孝に渡すミーヤ。二口飲んだ。
「無理しないでください」
「突然後ろから誰かが俺の首筋に何か電気を流したみたいで」
いつの間に用意していたのか冷えたタオルを折りたたみ首筋に当てるミーヤ。
「それは、恐らくスタンガンみたいな物ですね」
「てか、2人は、どうしてここにいるって分ったんだ?」
カルネは、機械を取りだしこれで居場所をつきとめたのだと言い、発信機を無断で取り付けていたのを謝罪した。
「それで分かったのか。……それを付けてくれてありがとうな」
「お、怒らないのですか?」
「何故?俺の事を想ってしてくれたんだろ?いいさ。ただし、今度する時は、ちゃんと言うこといいね?」
「はい!優孝様!」
「それで、華怜の居場所は?」
「今はですね」
身体に縛り付けられている感覚に気がつき目が覚める。どこだか分からない部屋に椅子に体を縛られて、タオルで口をふさがれ完全に身動きが取れないでいた華怜。
「お、起きたね。華怜」
薄暗い部屋の奥から現れた男。
「俺のこと覚えてるかな?去年、君が1年の時に告白したんだけど」
ストーカーの正体は、華怜に告白しフラれた男だった。
「はぁ~。やっぱり可愛いなぁ。いい香りもする」
華怜の頬や腕、首筋をなめ回すかのように触り、耳元で鼻息を上げる。華怜は、恐怖で涙目になり鳥肌で全身に寒気を感じる。
「泣かないで華怜。俺が傍にいるから」
華怜が流した涙を指で拭い、そのまま自分の口に運び堪能している。
「華怜の涙美味しいなぁ~。あはははははははは」
――優孝。優孝。お願い。助けてください。私は……私は、こんな男に。




