今日、この日で
始めましての方は、初めまして。お久しぶりな方は、こんにちは。@ナイトホークです。
五作品目は、再び恋愛物です。
内容が分かりづらくならないように頑張ります。
たくさんの人が読んで下さるといいなって思ってます。 @ナイトホーク
私立霧峰学園。全国屈指の偏差値の高い学園である。毎年受験する受験生は、およそ1000人以上。そのうち合格できるのは、わずか80人程度だ。この学園に入学し優秀な成績を取れば有名な大学などに推薦で入ることが出来る。それを狙って受験生は、入試に挑むものが多い。また、スポーツにも力を入れており、あらゆるスポーツの最新の設備が整っている。
「さて、そろそろ行くか」
ここにいる2年1組。川中 優孝は、財閥の息子だ。一言で言えばお金持ちのお坊ちゃまで、学園に入学してから数日間は、家から学園までリムジンで登校するぐらいだ。学年の成績は、75位中23位。上の下といったところ。ルックスもよく入学当初は、ほぼ毎日ぐらい女子生徒から告白されていたほど。性格は、内向的で物静かな方で図書部の部長を務めている。
9月上旬。夏休みが明けてからすぐのこの日。優孝は、あることを決心して一人の女子生徒のもとへ向かっていた。
一階の渡り廊下。下校時間のこのあたりは、あまり人気がない。そこに優孝を待っていた女子生徒がいた。
「あ、来ました」
優孝と目が合い向き直る。
この女子生徒は、七条 華怜。生徒会長でテニス部の部長。学年1位の成績で優孝と同じ財閥の家柄で育ったお嬢様だ。しかし、最近は、中々安定せず右肩下がりで苦しい状態だと聞く。同じ財閥でも優孝の方が何倍も上である。そして二人は、恋人同士だ。
二人が付き合い始めたのは、一年生の6月ごろだった。お互い同じ家柄と言うことで通じ合うものがあり、意気投合し華怜の方から告白をし、付き合い始めるようになった。
「話って何でしょうか?」
基本的な話し方は、敬語で喋るが財閥のお嬢様だからか上から目線だ。
「色々と悩んで決めたんだけど……」
「ん?」
少しの静寂のあと優孝は、言った。
「俺と別れよう」
華怜は、何を言ってるのか分からないかのように頭を傾げる。
「すいません。もう一度仰って下さい」
「別れよう」
もう一度聞くと理解したらしくフフッと軽く笑いそのあと、アハハッと高笑いに変わり腹を抱えて笑いだし、自慢の金髪が左右に揺れだす。
「な、何を言ってるんですか。面白いですね」
笑いが止まらない華怜に対し、優孝は、真面目な表情を崩さない。
「冗談なんでしょ?そうですよね?」
優孝の態度にさすがに焦り始める華怜。
「華怜。お前は、テニス部の部長で6月から生徒会長もやってるんだ。俺と付き合っていたらいっそう大変になるだろう?だから、別れた方が少しは、楽になるだろ」
「なっ!わ、私なら大丈夫ですわ!部活も生徒会も!だから!」
「それで無理して倒れたりしたら困る」
華怜は、自分の身体を抱きしまるようにして腕を回し下を向く。
「嫌ですわ……嫌です。私に相応しいのは、優孝だけで。優孝に相応しいのは、私でけなのよ」
足の力が入らなくなり地面に座り込んでしまった。
「一つだけ。別に俺は、華怜が嫌いになったわけじゃないからな」
そう言って座り込んでしまった華怜の頭をポンッと手を乗せて。
「またな」
歩き出す優孝にハッと顔を上げて振り返り。
「わ、私……認めたくない。認めたくないですわ」
小さい声でそう呟いた。