プロローグ
読者の皆様、初めましてこんにちは。
初投稿となる花咲 匠と申します。
最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
ここはとある高校の体育館で入学式の真っ最中である。 並べられたパイプ椅子に座った生徒たちは皆、緊張と期待の入り混じった表情で壇上で挨拶などをする校長を見ている。
もっとも、あと何分かすれば退屈な顔で早く終われっと願う者ばかりになると思うが。
そんな中、既に退屈で死にそうな目をした少年が新入生達の座している席の一番後ろの一番入り口に近い席に座っている。
この少年、名を冬 深夜という。
素顔でいればかなりの美少年に見えるのだが、男の癖にやたらと長い髪が顔を隠しており周りからは目がほとんど見えていないために存在感が薄い。
それに本人も静かな性格をしている(少なくとも本人はそう思っている)ので尚のことだ。
しかし、そんな深夜の運命を変える出来事が近づいているのだが本人には知る由もない。
たまたま、入り口に近い席に座っただけであんなことになるとは……なぜ、俺はこの日に学校なんて行ったんだ……と深夜は後々、大いに嘆くことになる。
校長のお話もそろそろ終わろうかというとき、深夜は学校には不釣合いな匂いに気付いた。
常人にはわかるはずもないほどな微かな匂いだったが、幼いころより他人より五感が優れている深夜は正確になんの匂いかも判別した。
それは、なんと……火薬の匂いであった。
判別した瞬間にすぐさま匂いのもとを探り、耳を澄ませ金属と金属をあわせるような特徴的な音……つまり撃鉄を起こす音を探り、考えを巡らした。
深夜は短い思考のすえ、恐らくどっかの秘密結社が逃げ込んできたのだろうと結論を出した。
普段からそういう本ばかりを読んでいるためそんなぶっ飛んだ考えをしても、自分の考えがオカシイとは思っていない。
そんな恐ろしくヘンな結論を出したのにもかかわらず深夜はだれにも告げずにひとりで微笑していた。
一体、どんなヤツが銃をもっているんだろう。なんの銃かな?などと恐ろしい考えをしていると外から足音が聞こえてきた。
自分の聴力で聞こえ始めるということはここから50mぐらいだろうか。
幸い、自分は入り口が近いのでヤツがみえた瞬間に飛び出せばいいだろうと(無論、捕まえるため)思い、身構えておいた。
足音が近くなってきてそろそろ常人にも聞こえるのではないかと予想した途端に足音が止まった。なにかを躊躇うように止まったのではなく、唐突に止まったのだ。深夜は不審を覚えさらに耳を澄まし、次に備えた。
30秒ほどたち、やっと音が聞こえた。
しかし、聞こえてきたおとはなぜか息切れをしている。さっきまではそんな素振りは全くなかったのでいささか驚いた。
しかも、どうやら一人ではないらしい。この状況からみて二人は味方同士ではなかろう。助けにいくかどうか迷っていると、決意をさせる一言が聞こえた。
「……助けて……」
掠れていてよく聞こえなかったがソプラノの女性の声だった。
ヤロウだったら深夜は助けるかどうか相当に迷っただろうが女の子(声高からそう判断した)だったら話は別だ。
深夜は咄嗟に飛び出し、外に向かい駆けていった。
そのときに隣に座っていた中学時代の数少ない友達の一人、藤崎 太一が狼狽の声をあげたがそちらには目もくれず一目散に走った。
読んでいただきありがとうございます
プロローグいかがでしょうか?
まだまだ彼らの話は始まったばかりです。
では、また会う日まで。