その後
年越しを控えたクリスマス、デパートは多くの人で活気に満ちている。
ふと見ると、ある親子が会話している。
「ねぇねぇお母さん。このデパートってさ、昔は何が建ってたの?」
幼い子供が無邪気に母親に質問していた。
「私のお婆ちゃんからね、聞いた話だと、大きいお家があったみたいよ。」
母親が答えた。
「大きいお家?」
「うん。そうよ。大金持ちが住んでたみたいなの。」
「ふ〜ん。」
子供は不思議な顔を浮かべている。
「なんでもね、昔住んでた家の人が惨殺されたみたいなの。」
「ざんさつ?」
母親はしまった、といった表情をした。
「う〜ん。何でもないよ。女の子を一人残してみんな消えてしまったの。」
無理に言い直した。
「消えちゃったの?」
純粋に子供は聞いてくる。
「そうよ。悪い事をしたら、閻魔さまに地獄へ連れかてかれるのよ。弘毅君も
悪いことしないようにね。分かった?」
「は〜い。」
笑いながら、雄太は親子の会話に耳を傾けていた。
人から見たら、一人で笑っている雄太は不気味かもしれない。
それはさておき。
「惨殺か・・・」
もしかしてあの女の子は。
頭の中では、そんな馬鹿な、やっぱりあの子は、という考えが葛藤していた。
あの子は両親達が殺されたのを真似して、ギロチンなんかを・・・
夢か、現実か。
しかしあれは夢ではないと断言できる。
なぜなら。
女の子の感触がはっきりと残っていたから。
あの家で。
またどこからか聞こえてくるかもしれない。
「もうい〜か〜い?」