戦慄:第5話
どん! 銀色の刃が振り落とされた。 ガッガッ・・・ 何かが転がった。
雄太はその瞬間、顔を逸らした。その光景を見るのが怖かった。
これは夢だと思いながらゆっくりと振り返った。
そこにはキツの頭が・・・
雄太は余りの恐怖で声が出なかった。気分が悪くなり立ちすくんでしまった。
女の子を見ると,笑みを浮かべていたがまた無表情な顔に戻った。
そして
「もうい〜か〜い?」
雄太は体全体が身震いしたが、なんとか力を振り絞って立ち上がり
その場から逃げ出そうとした。
見つかったら殺される。とにかく逃げなければ。
本能がそう言っていた。
縁側の反対側に木の通路があった。気配を気づかれないように足音を忍ばせ歩き出す。
きしむ音がしないようすり足で動く。床の間を出て右を向くと玄関らしき物が見えた。
静かに向かう。雄太の心の中は心臓がバクバク言っている。
冷や汗をかきながら玄関につき、これで逃げ出せると安心した。
しかし、開けようとしてもビクともしない。
「う、うそだろ・・・」
くそっ。どうすりゃいいんだ・・・
今きた通路を振り向くと左右に通路がある。雄太は右に行こうとした。
すると
「もうい〜か〜い?」
冷や汗が額を垂れるのを感じた。
右を見渡すと階段らしき物が奥のほうに見えた。
2階に逃げれば大丈夫か・・・
気づかれないようゆっくりと進む。
左側には部屋が数部屋あった。中を見ると写真らしきものが数枚見えた。
どれも白黒。亡くなった人だろうか?
男の写真の中に1枚だけ少女らしき写真がかけてある。
雄太は気になりじっくり見てみた。そこにはおかっぱの女の子が写っていた。
うん?何か見覚えがあるな。
その時後ろに気配を感じた。
あの不気味な声が聞こえてきた
「見〜つけた〜」