合図:第3話
なんだこれは?子供の悪戯か?
雄太が先に口を開いた。
「キツさんこれ・・・?」
「何かしら?かくれんぼって・・・?」
「まさかここでかくれんぼなんかやりませんよね?」
聞くまでもないでしょ、という顔をキツは浮かべた。うん?
下のほうを見ると日付が書いてあった。
9月13日。雄太はポケットから携帯を取り出し画面を見た。
えっと今日は?9月13日。
まさか今日?
「キ、キツさん。」
「何?」
「今日がその日ですよ。」
「だから何?」
「いやだから・・・ かくれんぼが・・・」
「あんたこんなデパートでほんとにかくれんぼなんかやると思ってるの?
やるわけないでしょ。」
雄太は今日の異様な光景に戸惑っていた。
「そ、そうすっよね。」
キツも誰もいないデパートに不気味さを感じていたが、この張り紙のことなど
気にせず帰ろうとした。
「さ、帰るよ。」
「は、はい。」
雄太はどうしても気になってしかたなかった。昼間と違い静まり返ったデパートを二人は駐輪場に向かいながら歩く。二人の足音が1階じゅうに響き渡る。
コツコツ・・・
雄太は駐輪場に出るドアを開こうとした。え?
いつもなら簡単に開くドアが開かない。
「押すんじゃなくて引くんだよ。」
キツが横で不機嫌そうな顔をしている。
「引いてますけど・・・」
「もう〜 何してるの?」
邪魔よ、とばかりにキツが開けようとする。
しかしビクともしない。
「何なのよ〜」
「ビクともしないっすね。」
蹴っても叩いてもドアは変哲も無い。
まさか閉じ込め・・・
なわけないかと雄太は思った。
突然,誰かの声がかすかに聞こえた。
二人は耳を澄ましてみる。
「もうい〜か〜い?」
だんだん声が近づいてくる。
「もうい〜か〜〜い?」
声が聞こえるほうを見るとそこには小さな子供が立っていた・・・