お子様Sはお食事中
妹達を迎えに来たアインとドラゴンバレーに行って見て驚いた。
竜族が全員女性体になっている。
全て、竜帝の嫁さんとその娘たち。
アインの親父さんどんだけがんばったんだ?
男として正直うらやましい、いまちょいと改造されてしまってるけどな。
普段ここには居ない竜帝を除いて、たった一人の男であるアモンは男友達が欲しかったらしい。
俺達はすぐ仲良くなった。
ここへ来る土産に塔にあった衣装を全部持って来たらすごく喜ばれた。
ヘンタイ爺のゼムが弟子に着せて自慢するために集めたものだけに、質はいい。
お返しに、【男物】の服を一式作ってもらえることになった。
出来上がるまで時間がかかりそうだから、どっかで食事をして来なさい。
そんな軽い気分で、トーアの町へお昼を食べに転移した。
まさかそれがあんな長旅になるとは思わなかった。
竜って根本的に時間感覚が違うんだった。
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俺達お子様Sはトーアの町の食堂でお食事中。
お子様Sっとは、俺アインと、アリス、ドリス、ファリア、ミラ、レイチェル、そしてアモン・ディモン。
アモンがドラゴンバレイまで遊びに来たんだが、その着ているぼろ上着を見て、母さん竜たちが血相を変えた。
こんな美少年にボロを着せておいていいはずがない。
わけのわからん糸や皮など、取り出して、音速を超えて動き出した母さんたちに、「じゃま、外で遊んできなさい。」といわれて転移門を潜ってここに来た。
トーアはブリュンワルトの東方、東璧海に面した港町。
この町の赤海ザリガニのスープにつけた麺がとってもおいしいらしい。
行列にならんで待つこと1時間、ワクワクドキドキ。
これでまずけりゃ、この町は無かったことになるかも。
う、うまい!
店のメニューを片っ端からたのんで、やがてそれがデザートに入ったころ、ミラがとてとてとてと抜け出して、きつい表情の女の人と差し向かいで座っていた少女のもつ椀を指差した。
「それ臭い。あの人が、何か入れた。」