出会い
妹達の意識が次々落ちていく。
上位竜である妹達の意識を刈り取るなんてすごい人がいるもんだ。
俺は意識の底で妹達とつながっている。
特に強く結ばれているアリスが意識の落ちる前の映像を送ってきた。
最後の映像はへそ。
そんな事よりも、彼の胸には不死王ゼムの紋章が刻んであった。
たぶんゼムの弟子。
ここの転移門は、祖父と親交のあったゼムの塔へも続いている。
入り込んだ妹達がいたずらをしておしおきされたのだろう。
門は本当に危険なところには繋がっていないはず。
妹達は純粋な竜なので15才だが見た目も精神年齢も4才ほど。
それが並みのドラゴン以上のパワーで暴れまわる。
とくに暴れん坊5人の監視役を押し付けられている俺はいつも胃が痛い。
妹達の中でアリスだけは俺と同じくらいの精神年齢に達しているはずなんだがすることは同じ。
困ったもんだ。
俺はアイン、15才だが見た目は人の6才程度、魔法は親達に封印されて使えない。
困ったもんだ。
とにかく妹達を引き取りに行かないと。
転移門を潜ると、建物の内部に出た。
かなり派手に壊れている。あちゃ~。
すぐに警報が鳴り響き、リビングデッドの相手を壊さないように、剣で受け流していると彼が来た。
見た目は7才程度、あてにはならない。
「おい、かってに俺の家に入り込みやがって何のようだ?」
「妹達が遊んでいる間にここへ跳ぶ転移門を見つけたんです。もしかして、いたずらしてないでしょうか?」
ほぅ。
「お子様達ならオイタしたんで、叱り付けたさ。上で寝てるから連れて帰れ。」
「ありがとうございます。」
それがおれと、アモン・ディモンとの出会いだった。
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おれの中にあった人工知能ハルはデータバンクとしての機能だけが残った。
彼女たちが入ってきた転移門はゼムの友人だった竜帝の住処と繋がっていた。
おそらく、子供たちがいたずら心で入ってきたんだろう。
竜の子供達にとって、入り口にいたゴーレムたちはちょうどいい遊び相手だったんだろう。
とにかく竜に混じって、ひとりだけいたエルフの女の子が俺を解放してくれた。
おいしいケーキでも作ってあげようか。
もっとも、ふつうソウルクラッシュなんて掛けられたら廃人か死人かどちらかになっちゃうんだけどね。
しばらく待っていると、予想通りにお迎えが来た。
兄らしい、ただハーフエルフなのが気になるけど、よそさまの家庭の事情にはあまり踏み込まないでおこう。