罠と罠、俺は気楽にそのときを待った
今回からアモン視点、アイン視点の順になります。
けっ、俺は左腕を振り回して、思いっきり馬鹿にした目でスーを見てやった。
「マスター、俺を強化するんじゃなかったんですか?」
俺は逆らうことは出来ないが文句ぐらいは言えるんだ。
あくまでも命令に逆らえないだけ。
逆に言えば命令に逆らわないことなら何でもできる。
俺の左にはぶっ細工な鉄のかぎ爪、ただの義手。
あれからスーは何度も俺の体にへんなものをくっつけようとして失敗していた。
どう弄ろうと、俺の体は焼け焦げたままに再生する。
俺の再生力と、ファリアの術はスーの理解を遥かに超えていたらしい。
鏡を見てないのではっきりしたことが言えないのだがおれの今の姿はオーガとゾンビの中間ぐらいじゃないかなと見当をつけている。
この爪でいっそう凶悪さが引き立ちそうだ。
スーは自分の配下として俺の不細工さが気に入らないらしい。
知ったこっちゃねぇんだけどな。
とにかく時間をかせがにゃならんから、この馬鹿を煽りたてた。
転移門さえ開ければすぐに、それからもう少し時間があれば竜王のおばさん達がやってくる。
俺は1対4でおばさんたちに勝てる気がしない。
さて、今日は簡単な消化仕事をやっつけてしまうらしい。
襲撃目標の牛車には二人しか乗っていない。
とっとと終わらせてこいだと。
俺は御者台のルーナに降りて向こうへ行ってろと命じた。
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穴を降下して最初の小部屋に入ったところでアモンからの連絡が途絶えた。
そして大爆発。
強力な防御結界を張ることが出来るドリスがいない。
迫り来る爆風で視界が閉ざされる。
ふぅ、俺は操っていた俺に似せたゴーレムとのリンクを切った。
次はたぶん真正面から来るだろう。
ルーナにソフィアさんが、ユリアちゃんにミラが化けた。
アリスはアヌの深淵にいる母さんから秘術を授かったらしい。
スーさえ出てくれば俺達の勝ちだ。
俺はアリスの秘術がどんなものかも知らずに気楽に風景に溶け込んで襲撃を待った。
シェリー母さんはアヌの深淵にいます。
だからなかなか出番がありません。
その辺は ドラゴン食べちゃった でおいおいと