爆発
念話が繋がっているなら、普段はその方向がわかり2点で方向を調べれば位置が特定できる。
だけど今は地脈の変動のために、思念がゆがんで特定できない。
あまり遠いところではないはずなんだが。
アリスが宿の軒先でそれを見上げている。
「何してるんだ?」
「アモンとお話してるの。」
「そっか。」
アモンはかなりひどい態らしいことが、あいつは隠しているけど念話で伝わってくる。
痛みを紛らわすためのおしゃべりにアリスがずっと付き合っている。
「お兄ちゃんが何でアモンとばっかりお話しするのか分かったよ。アリスももっとお話しとけばよかった。」
そんなふうにいってた。
ファリアの炎によるやけどは普通の治療では治らない。
早く助け出してやらねばならない。
もう今日で二日目まだ見当たらない。
俺は宿の裏庭に来て見た。
俺達でさえ転移できないのにどうやってここから逃げたんだ?
アモンの思念はすぐ近くから届くようにも思える。
もしかしてもしかしたら、ドン!。俺は衝撃波をいっぱつ放った。
”おぃ、今なんか聞こえた。”
間髪いれずアモンから念話が来る。
間違いない、あれは転移じゃなくて壁抜けだったんだ。
つまり、やつらはこの真下にいる。
普段の出入り口は宿しかない。
廃人になってもいい強度で宿の従業員をアリスが尋問した。
8人全員がナンバーズ。
俺、アリス、ファリア、ミラ、ソフィアの五人は従業員更衣室の前で最後の打ち合わせをした。
アモンの魔力はまだ回復していないはずだ。
ルーナ、ユリアの二人は居残り組み。
俺たちは隠し戸を開け,真っ暗な垂直な穴を飛び降りた。
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俺としたもんがとんだドジ踏んでしまったぜぃ。
俺の制御パスなんて残っているとは思わなかった。
今の格好は全部自業自得ってやつだ、はははは。
なぜか、アリスとのリンクが強くなっている。
体中がひどく痛い、俺だって痛みは普通に感じるんだ。
痛みでのたうつ俺の心にアリスがそっと寄り添ってくれている。
心で感じるアリスはやはり年頃の女の子だった。
他の妹達に仲間はずれにされないように幼くふるまっていたらしい。
無理しなくても良いのに。
自然に話をするのは初めてなんだと、おれは見た目がどうのこうの言わないぜ。
そんなこんなを話しているうちに、ここを見つけただと?
上から衝撃波が届いた。
真上にいるらしい。
突入、今!
「アモン、念話を切断しなさい。」
なんだと!
おい、おかしい!逃げろ!!
しばらく間を空けて、強烈な振動が伝わった。
「地下深くでの大爆発。何人残ってるかしらねぇ。残っていてくれたほうが楽しみがいがあるんだけど。」
スーは一通り笑った後、俺を蹴飛ばした。
「起きて付いて来なさい、強化してあげるから。」