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絶対絶命ってもしかしてこれ?

ソフィアさんと占いの話をしていると、いきなり足元に転移陣。

ルーナの出現と同時にアモンの切羽詰った念話が入る。

”そいつを殺せ!”、”速く!”

誰と戦ってる!?

おれはソフィアさんにルーナを押し付け駆け出した。

”レイチェルにげろ!!”

なんだと?繋がっていたレイチェルの存在が、消えた!?

”今の内に俺を殺せ!速く!!”

何が起きてる!??

”何をしている!!俺の首を落とせ!!!”

ドリスも消えた!!!!!

”何が起きてる?”

俺の念話に返事が返ってこない。

残った妹はパニックで話にならない。

俺はアイテムに登録した場所にしか、転移できない。

簡単な魔法だと言うのにくそっ!


宿の裏庭で俺が見たのは座り込んで泣きじゃくる三人の妹と、血だまりの中に腕が一本。

華奢な手に握られているのは紐のついた短剣、アモンの双流星。

切り口はドリスの水刃、ファリアの火球の痕も付いている。

アモンと戦ったのか?

「何があった?」

「ごめんなさい、ごめんなさい・・」

何か知っているのはアリスか、しかたない。

おれはアリスを引き寄せて目を覗き込み、心の同調を押し広げていった。

やりたくはないんだけど、許せアリス。

アリスが見た出来事が逆回転で俺に伝わってくる。

アモンとの戦闘シーン、何か呪文を唱える女、分からん。

俺はもっと深く見ようとした。

”やめろアイン!必要ない。”

”アモンどこだ?どうした?”

”ナンバーズがハルを起動した。俺の部屋に2冊の本とメモがある、それを見てくれ、本は図書室にもあるかもしれん。新しい技を2回使った、あと3日は動くことも出来ないはずだ。その間に俺を殺してくれ、たのむ。”

それが限界なのか、アモンの意識は落ちてしまった。


"おいアイン、ソフィアさんやおばさんたちにもリンクしてもらえ、いやしてもらわねば危険だ。”

一時間ほど後まだ図書室をひっくり返しているとき、アモンが呼びかけてきた。

”大丈夫か?アモン。”

”それなかなか面白い冗談だな、ははは、とか言ったりして。”

”おまえなぁ。”

”すまん、ところで本は?”

”あったが理解できん。”

”おまえなぁ、とにかくリンクした状態でミラにでも読ませろソフィアさんやおばさんたちにはわかるはずだ。”

”わかった。”

ファリアを基点として念話のリンクを構築しなおし、瞬時に情報は共有化され、必要な知識は自分達の記憶として分配される。情報整理の中心となったゴウエンさんはきわめて事務的に残った俺達の心を遠慮なくスキャンした。

”こんなときこそクリスとシェリーがいてほしいんだけどね、とにかくできるだけ近くまで転移して後は飛んでいきます。”


*********************************************************


意識が戻ったとき、洞窟の中を思わせる土の壁の小部屋に転がされていた。

左目もつぶれたか。

一応治療はされているみたいだ。

とりあえず、念話はアインと繋がったまま、一通りの連絡をとる。

「おい、気が付いた見たいだぞ。」

この声は風呂であった爺さんか。

「そうみたいね、ハル経ちなさい。」

俺の手足が痙攣して、勝手に口が動いた。

「魔力の過放出により手足を動かすことが出来ません。」

「じゃぁ質問するから答えなさい。」

「はい。」

この状態で俺はうそがつけないし、質問に答えないことも出来ない。が、できることもある。

出来るだけ情報量を少なく、相手が誤解しやすいような言い回しで・・

俺は何とかアインたちの強さを認識させ、俺の最強魔法が、3日に一回しか撃てないことにより襲撃計画を立てた。最初は俺が完全に動けるようになる六日後、それから三日ごとに確実にひとりずつ。

なんとか時間は稼いだ。

リンクを通して俺の傍らに立つゴウエンさんの殺気がとっても怖い。

レイチェルを死なせてしまったお詫びを言ったんだが、あなたはただ道具として使われただけですので気にしなくても良いですよと、にこやかに言われてしまった。

とにかく楽に殺してくださいと頼んでおいた。

俺だって、怖いものはあるさ。


とにかく今の俺に出来ること、耳を澄ませ、できるだけのものを見た。

ファリアにつけられた火傷がポーションで直らない。

鏡はないが男前がかなり上がったみたいだ。

つまらんことを考えていたらアインにあきれられた。

レイチェルとドリスは、俺は誰にも悟られないように、心の奥で考えた。

どっちにしても、まだしたいことがいっぱいあったなぁ。





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