金竜を祭る水上の工場
こんな辺鄙な場所にも刺客がいたのには驚かされた。
ただ、正式な結社の構成員ではなく暗示を掛けられていただけのトラップのようなものだった。
それにしてもたいした組織力だ。
俺達は、やつらを仮にナンバーズと呼んでいる。
なぜ、そんなやつらに狙われているのか、ソフィアさんもユリアちゃんもわからないらしい。
もちろんアリスが術を使って聞いたのではない。
アリスの術は、使うほうにとっても使われるほうにとっても非常に危険なんだ。
相手に無い情報を、サーチ使用とすると、相手の無意識下を含む全てを調べてしまうわけで、一人分の情報全てがアリスに流れ込んでしまうんだ。
だから聞けるのは、限定的なかならず答えの返ってくる質問だけなんだ。、当然すれ違う人が刺客かどうかなんてわからない。
せっかく来たんだからと、工場群も見学した。
工場はそれぞれが艀の上に建てられていて煙突からもうもうと煙を吐いている。
艀はそれぞれ浮かんでいるので、移動することによって自由に並び方を切り替えることが出来るので、非常に生産効率がものすごく高いらしい。
この艀たちの指令所の小さな神殿に竜王が祭ってあって驚いた。
鍛冶屋さんたちが祭っているのは、もちろん金の竜のゴーエンさん。
金の属性魔法は、金属を扱うことはもちろん電気エネルギーつまり雷なども扱う。
もちろん商売の神様も金属性なんだ。
ここで聞いたんだけど、ジェスの町では雨乞いのために、水竜王を祭るらしい。
その祭りの儀式としての結婚式、竜神官が取り仕切るらしい。
おばさんたちは誰もそんな祭りや神官のことは知らないと言っていた。
不思議なのはジェスの町やここにそれらしい神官が見当たらないと言うことだ。
どこにいるんだろう?
ジェスの人たちは誰も何も話してはくれない。
生贄とかじゃなければ良いけど。
祭りにはゴウシンさんも来てくれるみたいだ。
やっぱり気になるみたい。
雨乞いって、儀式魔法でも使うんだろうか?
僕達でも一回くらいは降らせることが出来るけど、ちょうどいいだけずっとってゴウシンさんでも無理だろうなと思う。
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おれは、あの番号をつけている暗殺者たちに、なにか心当たりがあったような気がする。
ハルに無理やり知識を詰め込まれて、その代わりに忘れてしまったことがあるみたいだ。
ただ聞いたことがあるだけなんだろうか。
それとも、やりあったことがあるんだろうか。
まさか俺がその一員だったなんてことはないよな。
俺から奪い取られたものは多い。
ゼムの奴め。
叩き殺してやれないのが残念だ。