不死王の塔
ドラゴン食べちゃったの次世代です。
アモンについては不死王の弟子の続きになります。
わたし、アリスは声を出さずに「お兄ちゃん、お兄ちゃん・・助けて。」と叫び続けていた。
せまい通路の途中でビクッと身を縮める。ミラの気配が消えた。
もう3人目、レイチェルの気配のする方に行こうとするけど、リビングメイルやガーゴイルが邪魔をする。
今日はお父さん達が留守なので、私たちだけで転移門を潜った。
行き先はいつも行く水晶の洞窟とかじゃなくて、不死王の塔。
お兄ちゃんは反対したけど、それより行きたい気持ちが強かった。
それと魔法が全く使えないお兄ちゃんの言うことなんてどうでもいいやと軽く見る気持ちも有った。
お兄ちゃんにちょっとした用事を頼んで、出て行った隙に5人で転移門を潜った。
わたしアリスはドリス、レイチェル、ミラ、ファリアはいつも一緒に行動している。
わたし達まだ見た目は4才だけどお父さんは竜帝、5人そろえば誰にも負ける気がしなかった。
ところが、ありえないことが起こった。
上機嫌でゴーレムをつぶしながら階層を登って行ったとき、最初にレイチェルのサポートをしていた水のドリスがやられてわたし達はばらばらになった。
さっきと道が違うと不思議に思っていたらゴーレムが壁に変身するところを見た。
頭の中に描いたマップは全く役に立たない。
ファリアの絶望をわたしは感じた。
ファリアの火球を押さえ込めるですって?
相手はわたし達より少し大きい6才くらいの男の子
その隙にゴーレムたちから、あぁ。
わたし達姉妹は心の底で繋がっていて僅かながらも連絡が取り合える。
ミラが消えたときは驚愕の感情しか流れ込んでこなかった。
レイチェルのあせりも伝わってくる。
わたしはガーゴイルを一匹ずつ倒すしかない。
レイチェルの雷球が彼を捉えた。
わたしもレイチェルに同調して魔力を雷球に乗せた。
膨れ上がる雷球ジリジリと押される彼。
勝ったと思った瞬間にレイチェルの意識が切れた。
お兄ちゃん助けて。
わたしの魔力が少なくなっていくのと反対にガーゴイルは増え、リビングメイルまで出てきてわたしを取り囲んだ。
金髪碧眼の男の子が無表情で近づいてくる。
彼が何か言いかけたとき、ソウルクラッシュ、まともに入った。
抵抗できなければ魂が吹き飛ぶ一か八かの魔法がまともに入った。
え?にやっと笑った彼に驚いたとたん、おなかに衝撃が走った。
意識が消える直前、破れた服を着ている彼のおなかを見て、おへそあるんだ、とつまらないことを思った。
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俺、アモンを支配していた人工知能ハルがソウルクラッシュで吹っ飛んだ。
おれ自身に全く影響は無い。
俺は涙を流して震えていた。
自由だ、自由になれたんだ。
俺はもともと自由に生きる人族修羅、それが不死王ゼムに拉致されて改造を受け、弟子兼メイドにされていた。
しかも、ゼムが突然死んだので主のいない囚われたお人形。
死ぬことさえ出来なかった。
それが、俺を束縛していた人工知能ハルが塔へ侵入してきた女の子の魔法でふっとんだ。
はははははは、俺は自由だ。
アリス:肩までの柔らかいウェーブのかかった金髪 碧い瞳 15才 しっかり者
ドリス:腰までのストレートの黒髪 黒い瞳 15才 優しい
ファリア:ワンカールボブの赤い髪 柘榴の瞳 15才 気が強い
ミラ:ラフなミディの緑の髪 エメラルドの瞳 15才 ちょっといいかげん
レイチェル:フェアリーカールの白い髪 灰色の瞳 15才 がんばりや
以上4名は妖精族で、見た目は4才