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ダブル・バニッシュメント! ~ 勇者パーティを追放された少年テイマーと魔王軍四天王を追放された女ケンタウロス、2人揃えば最強だったので全ダンジョン制覇を狙います ~  作者: 冒人間
序章 追放され合うも他生の縁

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第3話 リィドの『ジョブ』、ステラフィアの『魔法』


「えっとですね……

 僕、確かに【テイマー】なんですけど、正式には【ハイレベルテイマー】って言うんです」


 先程の寸劇から数分後。

 この場に漂う微妙な空気に耐えかねたリィドは自身について説明を始めた。


「【ハイレベルテイマー】……?」


 いまだ馬の胴体が横倒しの状態でありつつも、何とか会話ができる程度には回復したステラフィアが疑問の声をあげる。


「通常、【テイマー】が従わせることが出来るモンスターは最大でも『中級モンスター』までに限られます。

 つまり『レベル50』台までです」


『レベル』―――それはこの世界の生物に適用される『戦闘能力』の指標。

 そしてモンスターはレベル帯に応じて階級分けがされていた。


『レベル1』から『レベル29』までが『下級モンスター』。

『レベル30』から『レベル59』までが『中級モンスター』。

『レベル60』以上が『上級モンスター』と呼称されている。


 ちなみに『冒険者』及び『冒険者パーティ』の階級を示す『冒険者ランク』は『勇者パーティ』に与えられた『EX』を除いて『E』、『D』、『C』、『B』、『A』、『S』まであり―――

『E級』、『D級』が『下級冒険者』。

『C級』、『B級』が『中級冒険者』。

『A級』、『S級』が『上級冒険者』と呼称され、それぞれのモンスターのレベル帯で通用する実力を持つことを表している。


「『上級モンスター』―――『レベル60』より先のモンスターはどれだけ『スキル』を極めた【テイマー】であっても従えることは出来ません。

【テイマー】の持つ、モンスターを従える為の『スキル』―――『従属化』は余りにも高レベルのモンスターには弾かれてしまうんです。

 ……本来であれば」

「本来であれば……?

 まさか、貴様―――!?」


 その含みのある言葉と、先程聞かされた【()()()()()テイマー】という名称。

 ステラフィアはその答えに至った。


「はい、僕は―――おそらくはこの世界で唯一の、『上級モンスター』を従えることの出来る【テイマー】なんです」

「っ………!」


『上級モンスター』を―――つまりは『上級冒険者』に匹敵する戦力を自由に操ることのできる【テイマー】。

 ステラフィアも幾度か相手にしたことのある『強者達』の姿を思い浮かべ、その『力』に戦慄すると共に―――


(やはり……流石は『勇者パーティ』のメンバーということか……!)


 と、目の前の少年に畏怖にも似た念を覚えるも―――


「って、いや待て。

 それじゃさっきの『あの(ザマ)』は一体何だったんだ……?」

「うっ………………!」


 ステラフィアの容赦ない指摘にリィドの言葉が詰まる。


「いや、あのですね……

 僕は確かに『上級モンスター』を従えることが出来るんですけど……」

「けど?」


 首を傾げるステラフィアへ、物凄く言い辛そうにリィドは口を開いた。


「正確には……『上級モンスター』()()従えることが出来ないんです……」

「………………んん?」


 ステラフィアはさらに首を傾げた。


「つまり……僕は『中級モンスター』どころか、普通の【テイマー】なら容易に従えることのできる『下級モンスター』すら『従属化』することの出来ない……本当に『上級モンスター専門』の【テイマー】、なんです……」

「………………………………」


『なんなんだその余りに使い辛い『ジョブ』は……』という言葉を飲み込んだのは、ステラフィアの情けであろうか。


「あ、いやしかし、先程の『ジャイアント・スライム』は確か『レベル60』の『上級モンスター』のはずだろう?

 だったら―――」

「それがですね……ご存知かと思いますが、『スキル』は使えば使うほどに『熟練度』が上がっていきます。

 それは基本的に自身の『スキル』が強化されるメリットしかないはずのものなのですが……」


 リィドは再び言い辛そうになる。


「僕の場合……『従属化』できるモンスターの『下限』まで増加しちゃって……

 まだ最初の頃は『レベル60』台のモンスターも従えられてたんですけど……今ではもう……」

「ホントに使い辛過ぎる『ジョブ』だな」


 今度は飲み込めなかったようだ。

 ずーーん……とまるで頭上に雨雲が立ち込めているかのような状態となったリィドを見て、ステラフィアはなんとも言えない表情をしてしまうのだった……


 しかし、同時にどこか『納得感』もあった。


 遥か高レベルのモンスターしか従えることのできない【テイマー】。

 そんなピーキーな『力』を活用出来るのは、それだけのレベルの『上級モンスター』がいる高難易度ダンジョンに挑むパーティに限られる。


 それこそ、『S級』を超える称号を与えられた規格外のパーティぐらいでなければ―――


「―――ん?

 ならば何故お前1人の姿しか見えないんだ?

 他の『勇者パーティ』の仲間はどうした?」

「っ……!」


 リィドは返答に詰まる。

 そして、「そ、それはともかく!」と強引に話を変えた。


「もしよろしければ、貴女のことについても聞きたいんですけど……

 特に……さっきの『アレ』って……」

「ぬぐっ……!」


 さっきの『アレ』、とは間違いなく彼女が『武器生成魔法』を唱えた直後の『アレ』のことであろう。

 ステラフィアは今さっきまでのリィドのように言葉に詰まり、口を閉ざそうとするも―――


 目の前の少年が自身のことを赤裸々に語った手前、自分だけ黙ったままでいるのは不公平に感じたのか―――


「……私の『武器生成魔法』については知っているか……?」


 こちらもまた言い辛そう口を開き始めた。


「あ、はい。

 なにせ【アーセナル・ギャロップ】―――『駆ける武器庫』の二つ名は『冒険者』の間でも有名ですから。

 まあ、魔法については逃げ帰って来た『冒険者』からの言伝で聞いただけですけど……確か、その名の通り様々な『武器』を創り出すことが出来るんですよね?」

「……………」


 リィドの言葉にステラフィアはすぐには答えなかった。

 そして、ほんの少し躊躇うかのような静寂の後―――彼女は再び口を開く。


「……お前、他人の『ステータス』を見ることが出来る『アイテム』は持っているか?」

「え? 『ステータス』?」


膂力(りょりょく)』、『耐久力』、『敏捷(びんしょう)力』、『集中力』、『魔力』。

 この世界に生きる者が持つ、5つの『力』の強さを表す数値―――それが『ステータス』である。


「えっと、『アイテム』は持ってませんけど、『ステータス』を参照できる『魔法』なら、僕覚えてますよ」


 というかリィドが覚えている魔法はそれだけしかないのだが、それは黙っていた。


「……私の『ステータス』を見てみろ」

「え、あ、はい……それじゃあ……《ポテンシャル・アナライズ》」


 よく分からないままにリィドは片手をステラフィアへ向け、その『魔法名』を口にした。


(『ステータス』かぁ……僕達人間は『E級冒険者』でオール『50』が平均値だけど、一般的な魔族はその3倍ぐらいの『ステータス』が生まれつき備わってるって話だっけ……

『魔王軍四天王』ともなれば、一体誰どれだけの―――)


 と、そんな考えている内に解析が終了し、リィドの脳裏に『ステータス』が浮かび上がる。


 その内容は―――


 ------------------------

 膂力 :5

 耐久力:5

 敏捷力:5

 集中力:5

 魔力 :5


 魔力量:100

 ------------------------


「弱ッッッッッッッッ!!!!!!」

「ぬぐぐッ……!」


 リィドの叫びに、ステラフィアは思いっきり歯を食いしばる。


「え、いや、嘘でしょ!!??

 全『ステータス』オール『5』って!!

『冒険者』どころか一般人以下の数値ですよコレ!!」


 あまりのことに相手への配慮も忘れて詰め寄るリィドに対し、ステラフィアがこれでもかと表情を歪ませながら口を開く。


「……原因は分からないが、私は魔族としてはあり得ない程の低『ステータス』で生まれついてしまったんだ。

 おかげで同族からは昔から散々馬鹿にされて来たよ」

「…………!」


 苦々しく呟くステラフィアを見て、リィドは落ち着きを取り戻した。


「だが、そんな欠点を帳消しにする程の『力』が私にはあった。

 それが『武器生成魔法』だ」

「『武器生成魔法』が……低『ステータス』の欠点を帳消しに……?」


 いまいち繋がりが見えてこないリィドは疑問符を浮かべる。


「あれはただ『武器』を創り出すだけの魔法じゃない。

 その真価は―――『武器』使用時に『ステータス補正』が掛かることにある」

「え……『ステータス補正』……!?」


 リィドは驚愕の声をあげる。

『四天王』ステラフィアの魔法にそんな効果があるなど、聞いたことがなかったのだ。


「例えば先程創り出した『大剣』―――《ライジングブレード》は全『ステータス』を増加させることができる。

 ざっと100倍ほどにな」

「ひゃ、100倍……!?

 つまり……オール『500』!?」


 リィドは目を見開き慄いた。

『500』という数値は『S級冒険者』における基準値である。

 しかもその数値に達しているのは一部の『ステータス』のみに留まり、全『ステータス』が『500』に達している者など、少なくともリィドの記憶には存在しなかった。


「他にも『膂力』や『敏捷力』の増加に特化したものなど、『武器』の種類に応じて様々な『ステータス』補正効果が表れる。

 それが私の魔法―――《リインフォース・アームズ》だ」

「ん、な………!」


 おそらく、人間側で知ったのは自身が初めてであろうその事実を前に、リィドはただ唖然とするばかり―――


「って、あれ?

 結局さっきの『武器生成魔法』を唱えた後の『アレ』については……?」

「ぬぐおっ……!」


 当初の話に戻され、ステラフィアは再び表情を歪める。


「……お前の『スキル』と同じ様に、私の魔法も使えば使う程に『熟練度』が上がり、その効果もどんどん強力になっていったんだが……

 それに比例して魔法発動に使う魔力量もどんどん跳ね上がっていった……」


 そこまでの説明を聞いた時点でリィドは「あ、もしかして―――」と、その原因について思い当たった。


「いつしか……それは私の持つ魔力量を超える程になってしまったんだよ……」

「……あの症状、何か見たことがあると思ってたんですけど……

『魔力憔悴(しょうすい)』だったんですね……」


 自身の魔力量の限界を超えて魔法を使ってしまった際に起きる、身体へ襲い掛かる凄まじい負荷―――それが『魔力憔悴』である。


『S級冒険者』並の『ステータス』を手に入れられるが、発動すると『魔力憔悴』で碌に動けなくなってしまう魔法―――

 その本末転倒感にリィドはそれ以上かける言葉が見つからなくなってしまうのだった……


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