第2話 仮面の隣人
第一話を読んでいただき、ありがとうございます。
第二話では、
新田蓮の「普段の顔」と、
彼を取り巻く仲間たちの日常が描かれます。
戦わない時間。
守るための時間。
そんな“静かな日常”の裏にあるものを、
少しずつ感じてもらえたら嬉しいです。
引き続き、お楽しみください。
朝は、いつも静かだ。
高い天井。
淡い照明。
重たいカーテン。
高校生には不釣り合いな部屋で、新田蓮は天井を見つめていた。
(……眠い)
昨夜の任務が、まだ頭に残っている。
港。
白煙。
倒れた男。
睡眠時間は三時間。
足りるわけがない。
「……起きてますよね?」
控えめなノック。
ドアが開く。
「おはようございます、蓮様」
メイド服の少女。
椿玲奈。
同級生で、同居人で、補佐役。
そして――共犯者。
「……おはよう」
「今日、現代文あります」
「……最悪」
椿は小さく笑う。
「ネクタイ、曲がってます」
「頼む」
「最初から言ってください」
慣れた手つきで直される。
何度目だろう。
ダイニングでは、御堂院恒一が新聞を読んでいた。
「無理はするなよ、蓮」
意味深な声。
「……はい」
東都第一高校。
二年B組。
窓際、後ろから二番目。
死角が少なく、逃げやすい席。
癖だ。
「れーん!」
振り向くと、篠宮澪。
幼馴染。
唯一、昔の自分を知る存在。
「おはよ!」
「……おはよう」
「元気ないね」
「いつもだ」
「開き直るな!」
後ろでは田村が騒ぎ、
前では中村が噂話。
中央では山本が寝ている。
窓側の席には神崎莉子。
一瞬、こちらを見る。
(……観察してるな)
チャイムが鳴る。
担任の桐生修一が入ってくる。
穏やかな教師。
だが、隙がない。
視線が一瞬、交わる。
無言の確認。
昼休み。
屋上。
「最近さ」
澪が言う。
「ちょっと遠くない?」
言葉に詰まる。
「……気のせいだ」
「そっか」
納得していない顔。
そこへ椿が弁当を差し出す。
「忘れてます」
「助かる」
「同居してるんだよね?」
澪の直球。
「事情がある」
「あります」
椿が被せる。
やめろ。
放課後。
夕焼けの帰り道。
騒ぐクラスメイト。
(……守れてる)
まだ何も起きていない。
それだけでいい。
夜。
自室。
スマホが震える。
《FADER》
【待機】
短い通知。
昼は高校生。
夜は幽霊。
この日常は、いつまで続く。
窓の外、街は平和だった。
だからこそ――
壊れたとき、戻らない。
幽霊は今日も、普通の少年を演じる。
第一話を読んでいただき、ありがとうございます。
第二話では、
新田蓮の「普段の顔」と、
彼を取り巻く仲間たちの日常が描かれます。
戦わない時間。
守るための時間。
そんな“静かな日常”の裏にあるものを、
少しずつ感じてもらえたら嬉しいです。
引き続き、お楽しみください。




