王族の仲間入り!
王城に到着すると、その隣にある小さな木造の家に入る。めえは部屋をずんずん進み、奥の部屋の扉を開けるとヴォルフとふくがいた。なぜか情事に及んでいたようで、部屋の時が止まる。
「勤務時間中なのですが……。二人とも何をされているのですか?」
「あ、えーっと、これはだな。す、スキンシップというものだ!」
「……。ん?あそこにおるのはリコじゃの?レンもおる。」
めえはハッとして本来の目的に戻る。
「ふく様、こちらをご覧ください。リコの診察結果です。」
ふくは先ほどの魔道具から出てきていた細長い紙を見て目を見開いた。急いで立ち上がり、リコのもとに行こうとするとめえに制止させられる。
「まずは二人とも服を着てください。」
二人はしぶしぶ服を着ることにした。レンは王、女王をこんなにコントロールしているめえに感心していた。王族の付き人の中でもめえはいつでも二人に謁見できる程の力を持っている。ヴォルフはズボンだけ穿き、ふくも襦袢だけ着ていた。
「まさか、野狐から昇華して妖狐になるとはの……!」
「わ、私が……妖狐ですか!?」
ふくがそう告げると、リコは信じられないといった表情で狼狽える。
「そうじゃ。妖狐も元を正せば野狐になるからの。妖狐になる可能性はあるんじゃ。まあ千年間一度もそういうことは見たことがなかったのじゃが。」
「てことは今日からお前は王族の仲間入りだな。」
レンはリコが妖狐になったと聞いて驚き、リコは王族の仲間入りと聞いて焦っていた。一歩前に出て、リコが声を大きくして訴えた。
「わ、私は王族なんてできません!ずっと、普通の生活をしていたいです……。」
「じゃがの、尻尾はまだしも顔の文様は誤魔化せんのじゃ。それは王族の証でな、隠すことができないのじゃ。」
「なぁふく。それで言ったら、犬猫のペアとうちの息子も嫁さんのうさ子も王族だよな?アイツらも月一王城に来てもらう約束もしてるんだし、犬猫ペアみたいに自由にさせるのがいいんじゃないか?」
ヴォルフがそう言うと、ムッとした表情をしていたが、反論はしなかった。
「……ぼるふは甘いのぅ。……ではお前たちは一応町での生活を許すが、必ず月に一度は登城することを義務付ける。また、お前たちの公務はポチおとにゃんのように魔法技術士としての仕事と、定期的な国内外の魔獣と魔物退治の任務を言い渡す。ぼるふはこれでいいか?」
ヴォルフはそう聴かれると親指を立てて了承する。ふくは頬杖をついてため息をつく。
「も、申し訳ありません……わがままを言って。」
「いいんじゃよ。お前たちは昨日まで子供じゃったからの。じゃが、公務の件はしっかりとこなしておくれ。それにしてもお前たちは一晩で一体いくつ重ねたのじゃ?」
「早く公務に戻ってください。レン、リコ。正式なものは後日送るので、魔道具屋の経営は続けてもらっても構わない。もし、公務に関してわからなければ、また私に聞いてもいい。私は王族の付き人だからな。」
レンはめえが忙しい理由が分かった気がした。王族の付き人は基本的に一人につく。めえ以外の付き人は恐らくそうしているはずで、彼女だけが王・女王・他の王族の付き人を並行で行い、その中で宮廷魔術院での魔法研究、学園では保健室での活動を行う。彼女の徹底管理されたスケジュールで動いていたということになるので、そういった分野があるとすれば間違いなく天才である。
レンとリコはめえの肩に掴まり、【転移】を発動しようとすると、ふくが止めに入った。
「それはあと一度で壊れるじゃろう。わしが送ろう。家の場所を頭に思い浮かべてくれんか?」
リコは家の場所を思い浮かべると世界が回った。そして家の前についていた。
「目が回るかと思った……!」
「わしのは【転移】じゃないからの。それじゃ、わしは城へ戻る。お前たちの健闘を祈るぞ。じゃあの。」
ふくはあっという間に姿をくらました。しばらく二人は立ち竦んでしまっていた。
「私、王族になってしまったのですね。しかも野狐族ではなく妖狐に昇華して。」
「そうだね。でも、リコはリコだよ。オレはどんな姿になってもリコのこと愛しているよ!」
そういうとレンは太陽のようにニコッと笑った。こうして、レンとリコは王族として、魔道具屋の店主として、今日から大人の仲間入りをし、スタートを切った。
二人は寝室の布団の上に座り、見つめ合っていた。
「この先どんなことがあっても、オレはリコのことをずっと守っていくよ。」
「私もレン君のことしっかり支えていきます。」
「オレたち……似たもん同士だもんね。」
「そうですね、あなたと学園で出会えて本当に良かった……。」
「オレも、リコに出会えて人生がガラッと変われた気がするよ。」
「これからも、ずっと一緒にいてくださいね?」
「もちろん。嫌だといってもリコのこと離さないからね。」
「レン君……。」
「リコさん……。」
『大好き、愛してるよ。』
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