調査隊の昔話!
レンが結局、目を覚ましたのは三日後であった。その間はリコがずっと飲まず食わずでレンの傍にいたため、めえは非常に困った顔をしていた。
目を覚ますとリコは人目を気にせず、急に抱きしめてきたためレンは慌てていたが、リコが目を覚ましたことに安心してレンも抱きしめ返す。二人は互いの首元のにおいを嗅ぎ、息がだんだん荒くなる。
「ゴホン。情事に及ぶのであれば保健室では止めていただきたい。」
めえにそう言われバッと二人は離れた。その場にサクラも立っていたため、彼女は鼻を抑えて凝視していた。
「まあ……。お前たちの気持ちもわからないわけではないが……。サクラはいつから来ていたのだ?」
「ふ、二人が抱きしめあっていたあたりからです。」
サクラは鼻の心配がなくなったのか手を下げて、レンに分厚い紙を渡す。サクラはもじもじしながら、レンに上目遣いで見る。
「レン君、キミが眠っている間に報告書をまとめていたんだけどこれでも大丈夫かな?レン君の報告書を見ていたら、かなり詳細に書いてたからこんな量になったんだけど……。キミはすごく丁寧に書いてあるからマネをするの大変だったんだよ?」
レンはサクラの報告書に目を通すと、その内容は完璧であり、レンは提出期限が迫っていることもあり安心してホッと息をつく。
「サクラさん、ありがとう。完璧な報告書だよ!今、考えている魔道具ができたらプレゼントさせてもらうね。」
そういわれサクラは照れたようにニカーっと笑った。レンからの報酬を伝えられるとルンルンで鼻歌を歌いながら腰を横にフリフリと振っていた。そんなサクラを見ためえは面白かったのか、口に手を当てて笑う。
「お前たちは、本当にチームワークが良いといっていいか、お互いが助け合って成立している良いパーティだな。」
「先生が調査隊にいたときはどんな小隊だったんですか?」
「そうだな、悪く言えばデコボコ。良く言えば最強ペアの集まりだったな。とにかく統率がなかなか取れずに苦労したよ。」
めえは懐かしそうにそう語る。
「もう少し詳しく教えてほしいな……!」
サクラにそう言われると、めえは少しうれしそうな顔をして口を開く。
「まず、私はレンの担任のサムとパートナーで主に後衛職。ポチおとにゃんは魔道具を駆使した変わり者で主に調査対象の分析。じゃじゃと『くろんぼ』と呼ばれる暗殺職のパートナーの前衛、たまと『ルゥ』と呼ばれる前衛と後衛をサポートする中衛。そして魔法の罠に対して強く、希少な魔法を持つガブとうさ子で構成された十人の小隊だ。」
レンたちはその調査隊のメンバーと役割を聞いて、どこにデコボコ要素があるのか想像がつかなかった。疑問に思っていると、突然めえは「ははは!」と笑う。
「バランスがいいと思ったんだろう?これがな、みんなバラバラに動くんだよ。真っ先にじゃじゃは突っ込むし、たまは詠唱失敗してほとんど爆発するし、うさ子が突っ込んでピンチになってガブは回収しに行くし、ポチおはにゃんに魔力全部渡して倒れるし、もう滅茶苦茶だったよ。」
笑いすぎたのか涙が出ていた目をぬぐい、息を整える。
「それでもディバイドエリアまで行けたのは、それぞれのペアがしっかり機能していたからでもあるんだ。そう見るとお前たちはとてもいいパーティと言えるんだ。」
めえに褒められたレンたちは嬉しそうな表情でめえを見ていた。「詳しい話はまた今度な」と言って、めえは机に戻り、書類整理をしていた。レンたちはめえにお礼を言って保健室を後にした。
部室に戻ると報告書をまとめて三人は顔を合わせて拳を突き合わせる。
「それじゃあ、学園長室に行こうか!」
「そうですね。私たちの卒業試験はこれからですもんね。」
「よーし、ちゃちゃっと決めてやりましょうか!」
報告書を持ち、三人は学園長室へと向かった。
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