ポチおの新作と木霊する叫び!
めえはポチおを読んだが手ぶらではなく収納カバンを持ってきているのを見て訊く。
「そういえば、ポチお。お前は他に何の用で来たんだ?」
「あぁ、めえさんに新しいデバイス作ったからついでにテストしてほしくてね。」
ゴソゴソと収納カバンからデバイスを三つほど出していく。そのどれもが黒い棒状の形をしており、この世界のデザインとは全然違うものであった。
そして三人が作った精霊を宿した魔道具と違い、魔力が溢れておらず、その辺に置いていたら「黒くて変な棒」くらいにしか見えなかった。
「あ!アタシも見学したいです!リコちゃんはどうする?」
「あ、私はもう少しレン君と一緒にいたいのでここにいます。」
「ふむ、リコ、なにかあればそこの通信用魔道具で連絡をくれ。」
そういうとリコは頷いた。それを確認して、出ていった。リコは静かになった保健室を見渡して、再びベッドに寝転がった。意識が戻ったとはいえ、少し疲れを感じていた。横には健やかに寝息を立てているレンがおり、心臓がドクンと強く脈打つ。恐る恐る、レンの顔に近づき、口づけをする。レンの腕にしがみつくようにリコは眠りについた。
――ありがとう、レンくん。
サクラ達は競技場に向かうと何やら泣き声が響いており、サクラは思わずめえの後ろに隠れた。
「めえさん、じゃじゃさん埋めたまんまだわ。」
「む、あまりの事で忘れていた。ポチお、引っこ抜いてやれ。」
「ほーい」
ポチおはカレンを引き抜くと、シャカシャカとめえの前に正座して、泣いていた。その顔は涙と砂と泥で美人な顔が台無しになっていた。
「めえざま〜!埋めたまま忘れるなんて酷いですよ〜!うち、暗くて狭いところ嫌いなの知ってるでしょ〜!うわーん!!」
サクラは戦闘時とのギャップに驚いていた。
サクラには戦闘狂のように見えて、割と恐怖の存在だったが、普段の姿はこんなに幼い感じであるのが迷わせていた。
そしてサクラは重大なことに気がつく。
「先生、カレン様は【暗闇】や【狭小】でフィールドを変えれば簡単に勝てるの?」
「まあ、全て上手く行くわけではないが、概ね正しい。カレンは閉所、暗所恐怖症だからそこを突いていれば楽に勝てた可能性はある。真っ向から立ち向かってあそこまでやれたのはお前達とポチおだけだ。」
「そうだったんだ……。」
近衛師団の騎士団長であるカレンの意外な弱点を知り、そのような方法で勝つのは遠慮したいとサクラは思い、自分も戦闘を楽しんでいる節があると自覚するのであった。
ポチおは競技場の地面にデバイスを並べていく。
めえは一つ持ち上げ、魔力を込める。すると、魔力が鎌状に形を作り、実体化する。
それをカレンに向ける。
「カレン。剣を抜け。生徒の仇は私が討つ!」
「あ、めえ……様!」
カレンは剣を抜くものの、プルプルと震えており、目は涙を浮かべていた。
そして、競技場にカレンの悲痛な叫びが日が暮れるまで続いたのであった。
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