サクラの怒涛の連撃!
サクラは急いで詠唱を開始する。
カレンの魔力が昂り、攻撃される前にこちらから仕掛ける必要があると判断したためである。
「『万物を滅ぼす雷よ、その刃を我が身に纏わしそして、天空より降り注ぐ槍となれ!』」
サクラが魔法を発動すると上空が暗くなり、積乱雲が発生した。
【万雷】を纏ったことにより、サクラは筋肉の反応速度が上がり、限界を超えたパフォーマンスを発揮させる事ができる。その力を使い、音速に近い速さで接近する。
剣が交わる度、電撃が、光が、斬撃が競技場の壁を破壊していく。サクラは一時的ではあるが、カレンと互角の勝負を繰り広げていた。
積乱雲から雷が漏れ始め、いよいよ落雷が起こる瞬間、サクラは力を振り絞ってカレンを上空へとかちあげた。
【万雷】がカレンに向かって放たれると直視できないほどの閃光が競技場を包む。魔法による付与が消え、息も絶え絶えになったサクラはカレンのいる上空へと視線を向けた。直撃かと思われたカレンは傷一つ付いていなかった。
サクラは驚愕していた。カレンの聖剣は雷をも斬ることができていたという事実が信じられなかった。カレンはサクラに興味を失ったのか、レンとリコの方へ向き、飛んでいた瓦礫を足場にして跳躍した。二人が狙われたことに気が付き、フォローに入ろうとする。
「うそ……でしょ。レン君!リコちゃん!今行くっ——ぐうぅっ!?」
【万雷】で無理やり限界を引き出したため、その場から動き出すことはできず、激痛で地面に倒れこむ。
「できた……!リコさん……頼んだよ……!」
レンは息が乱れ紋章が崩れそうになるが、下唇を噛み、気力で維持する。リコはレンの横に移動し、倒れないよう支え、詠唱を始めた。
「『四大元素を司る精霊の王よ。我が祈りの声を聞き入れることを願い奉る。魔剣を操りし者の動きを封じ、その者を打ち倒さん!』」
上空に巨大な紋章が出現し、光があふれる。カレンの目に光が戻り、口角を「にいぃ」上げた。
「これだよこれ!この魔法を打ち倒して最強になってやるんだ!」
☆
精霊王の魔法が発動した瞬間、カレンの目に光が戻ったことにポチおは気が付いた。
「【自動】を解いた!あの魔法に真っ向からやるつもりだ!」
ポチおがそういうと、ふくが隣に来て、質問する。
「犬っころ。お前はどう見る?」
「……ふく様には悪いですが、十中八九じゃじゃさんの勝ちだ。【自動】はあくまで自分の反応速度を超えた攻撃をしてくる奴に使う魔法だから、それを解いたら、聖剣の力を存分に使ってくるのが理由です。」
「やけに詳しいじゃねえか。」
ポチおは頭をポリポリと掻きながらヴォルフの方へ向く。
「以前、えーっと……三十年前くらいに対決したときに使い分けられて、フルボッコにされましたから。」
ポチおの回答にヴォルフはツボに入ったのか腹を抱えて大爆笑していた。ふくはあごに手を当てて考えていたが、再びポチおに質問する。
「あの二人の立場ならどう戦う?」
「魔力量が違いすぎるんでアレですが、斃すならあの紋章を【重撃】で増やして相打ちに持っていくと思う。でも、それはレンが死んでしまうから、無しにすると勝機はない……ですね。」
ふくは「そうか……」といい不機嫌そうな表情で試合を眺めた。耳は垂れ、尻尾も元気がなく下がっており、本当に残念な気持ちでいるのは確かなようだ。
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