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精霊魔法の入った魔道具!

 掃除が終わり、レンは報告書を仕上げる作業に入る。レンは書類の製作が得意であり、調査隊としてリーダーに抜擢された頃から自分の仕事だからと言って一人で仕上げていた。

 リコはレンの作っていた杖を改良するために素材から見直していた。サクラは【幻揺】の魔道具を眺めていた。今回の調査でこの魔道具は威力がないことに悩んでいた。

 対人戦では威力はあるものの、少しフィジカルの強い種族の戦士や魔獣や竜には全く歯が立たなかったので、防衛任務や調査隊選抜のことを考えると威力が欲しくなっていた。


「ねえねえ、レン君は【幻揺】の魔道具の威力を上げるにはどうしたらいいと思う?」


 レンは「うーん」と顎に手を当てて、考えているとリコが来て、


「私の精霊の力を借りてみるのはどうでしょうか?」


 二人は目を合わせてきょとんとしたが、レンはあることを思い出す。


「【召喚】って確か魔道具と相性が悪いんじゃなかったっけ?」


「はい、そこでレン君の力を貸してもらいたいのです。」


 レンは頭に「?」を浮かべていたが、リコはレンをそっちのけでシルフを呼び、具現化した。


「レン君、シルフと交渉してください。」


「え……!?いきなり!?あ、あの……コンニチハ。」

 

——なんでカタコトの挨拶なのよ?で?ご主人様に君と話をしてほしいって言われたんだけど、何か用?


「え、えぇっと。君たちの魔法は魔道具に封印することはできないかな?」


——ご主人様のやっていたようなことなら無理だわ。ご主人様の魔法は私たちとタマシイで繋がっているからね。


「ということは、抜け道があるってこと?」


——抜け道って……。あなたを介した魔法なら可能だってことよ?あなたの魔法は特異すぎて理解できないけど、ご主人様の魔法を無理やり変更するなんて普通じゃないから!


「じゃあ、【重撃】で手を加えさえすれば、魔道具に封印できるってことかな?」


——そういうことよ。うまくいかなくても文句は言わないでよ。あと、今ご主人様の持っている石みたいに、紋章を分けて複数で一つに仕上げなさい。


 そういうとシルフは風になり消えていった。魔法が切れたことが分かり、レンの元へと行く。


「終わりましたか?」


「うん、聞いての通りリコさんは直接作ることができなくて、オレの【重撃】で書き加えたものなら可能だってさ。」


 そういうとサクラが申し訳なさそうな顔で尋ねる。


「ゴメン。レン君は精霊と話をしているとき、聞いたことのない言葉でしゃべっていたからもう少し詳しく教えてくれないかな?」


 レンはそれを聞き驚いていると、リコの方に向くと、首を横に振ってリコにもわかっていなかったという事実が判明した。

 レンは精霊と話したことを一から話すと、サクラは「なるほど……」といい、リコは「そんな方法で……」といって感心していた。

 【重撃】は他の魔法に練りこんだ状態であれば魔道具に封印できる。これは以前【結合】の魔法がルナティクスに組み込まれていた事例を【召喚】で再現するものである。

 厳密には【召喚】を練りこむのではなく精霊の扱う精霊魔法に【重撃】を練りこませ、リコの権限から外し、誰でも使用できる状態にするというものである。

 早速、サクラは魔道具の元になる素材を集めて、成型を始める。リコは組み合わせる魔法との相性を考えつつレンのルナティクスを細かく配置して魔道具へとセットした。レンは深呼吸をしてルナティクスにシルフの魔法【風刃】と【幻惑】、【斬撃】、おまけで火の紋章を複合させてルナティクスに結合していく。できた魔法の根幹の部分をサクラに渡し、サクラは魔道具の動力部分と結合を始める。

 長剣のような長さの魔道具が出来上がった。その魔道具からは今まで見たことのないような光が漏れていた。サクラは恐る恐るそれを持ちあげると、膨大な魔力が部室を満たした。リコは一気に表情が険しくなり、サクラからそれを取り上げた。その勢いで魔道具は床に転がり、魔力が解除される。


「大丈夫ですか!?」


「う、うん……。威力が凄すぎて制御できるか心配になっちゃった……。」


「とりあえず、収納カバンに入れて、競技場に向かおうか?」


 レンは収納カバンを取り出し、魔力を遮断する布で魔道具をくるみ、カバンに収納しようとしたが、入らなかった。


「え、内蔵されている魔力だけで容量限界なのか……!?」


「慎重に運んでいきましょう。私は保健室の先生に競技場の許可を取ってきます。事故が起きる可能性があるので……。」


 リコは走って部室を出ていった。レンはサクラと共に慎重にゆっくりと競技場に向かっていた。



 リコは走って保健室に行くとめえがいた。


「先生!競技場の使用許可をください!」


 突然扉が開かれて、競技場を貸してほしいと言われ、何が何だかわからず、呆然していると。入り口から死角になっているところから、カレンが現れた。その姿を見て思わずリコは身構えた。


「急に競技場を貸してほしいなんて一体どういうことだ?」


「は、はい。魔道具を作ったのですが、部室棟が壊れてしまうくらいの出力が出そうで……。」


「へぇ、めえ様。またこの子たちに稽古つけてもいいかな?」


 カレンが笑いながら言うと、めえは今までに見たことないような冷酷な目をしていた。


「また生徒を傷つけてみろ。そのときは私が貴様を埋めてやる。……それでもいいかな?リコ。私も向かうので先に準備をしていてくれ。」


「は、はい。大丈夫です!それではカレン様今日はよろしくお願いいたします。」


 リコはカレンにお辞儀をして保健室から出ていった。


「い、痛い痛い痛い痛い!めえ様!おしりをつねらないで!」


「肝に銘じておくことだな。」


「ふぇい……。」


 カレンは涙目になりながら返事をし、競技場へと向かった。

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