保健室の先生はお母さんみたいなヒトだった!
随分歩き、日が明るくなり始めた頃。レンたちには見覚えのある光景が見えてきた。調査の出発日に見た朝日に照らされた学園である。三人は立ち止まり、その光景を見てサクラは涙を流し、レンとリコは手を繋いだ。
「帰ってきたね……。」
「はい……。これで旅は終わりなのですね……。」
「大変だったね……。ぐすっ……。みんなで帰ってこられてよかったよぉ……。」
サクラは号泣して、二人で慰めていたのであった。
サクラが落ち着くと、再び歩き出し、学園の門をくぐる。久しぶりの学園の景色を見て、深呼吸をする。
懐かしいにおいでレンは帰ってきたことを実感する。まだ学園の生徒が来るような時間ではないので、とても静かであった。魔法技術部の扉を開けると、部室の魔道具などには埃がかぶっていた。
「まずは、掃除からだね。」
「なんだか、入部の日を思い出します。」
「そんなこともあったなぁ。」
「なに?のろけ話?」
「い、いや。そういうわけじゃないんだけどなぁ。」
レンたちは使われていない部室の掃除を始め、少し時間が経つと、部室の扉が開かれた。
誰も来ないはずの扉が開かれたことで警戒して扉を見つめる。訪問してきたのは、めえであった。
「先生!?どうしてここに?」
「どうしても、こうしてもない。私は学園の見回りをしているから、普段ついていない部室に明かりがついていたら気になるに決まっているであろう。」
「先生。ただいま戻りました。」
「無事に帰還しました。」
「あ、えと……。報告書は仕上げて持っていきます。」
レンたちがそういうと、いつも冷たい表情をしている印象であるめえの顔が優しい顔に変わり、レンたちをまとめて抱きしめた。リコとサクラと違い、めえからもいい香りがした。
「よく戻ってきた……。心配したぞ……。」
レンたちはめえに抱きしめられて、彼女の心配していた気持ちが伝わり、緊張がほぐれたのか三人とも涙を流していた。
「そういえば、新入部員は入ってきたっていう情報はないですか?」
レンは埃だらけの部室を見てめえに疑問をぶつける。めえは、腕を組んで難しい顔をしていた。
「一応入りたいという者は前年に比べて多いのだが、誰も彼もお前たちの姿を見たいというヒトばかりでな。卒業試験でお前たちが帰ってこないことで、辞退したものが多く、入部を諦めたらしい。よって今年も三人程度の部員でいつものように卒業間近まで部室は使わない者ばかりだ。」
めえがそう告げると三人は少し残念な感情に包まれてしまった。あれだけ頑張ったパフォーマンスでも、ヒトを留めることはできないという事実にかなり落ち込んだ。
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