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消えかかる生命の灯!

 レンの発言に二人は硬直する。レンは意識が朦朧としているのか焦点が合っていない。


「オレが……アイツの餌になってる間に……逃げて——」


 乾いた音が響き、レンの頬に痛みを与える。頬を叩いたのは、サクラであった。

 リコはサクラの行動に驚いていたが、目には涙を浮かべていた。


「ばか!!どうして……どうしてそんなことを平気で言うの!?あなたには、大事なパートナーがいるじゃない!!死んで守るんじゃなくて、生きてこれからも守ってあげなさいよ!!」


「私は……レン君が死ぬのは許しません……!死ぬなら……二人で……。え?いたっ!痛い痛い!」


 サクラはリコの頬をつねっていた。大粒の涙を流して顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。


「二人ともばか……。大バカ者だよ!アタシたちは親友でしょ?二人が死ぬなら、アタシも連れて行きなさいよ!」


「はは……。ほんとに……二人には、勝てないな……。」


「勝つつもりでいたの?絶対に許さないんだから!」


「レン君。もう、あなたが犠牲になるような道を選ばないでください。何があっても私たちと一緒です。私は、レン君のお嫁さんですよ?」


 レンは目に輝きを取り戻し、ドラゴンを見る。ドラゴンとて腹に風穴があいているので吐血しながらこちらを見ていた。

 レンは思考を巡らせた。ドラゴンを討つ方法がないか周囲を見渡した。【煉獄】で焼き払われた土地には武器になりそうなものはなかった。

その代わり、上空から白くて冷たいものがちらちらと降り注ぐ。

 初めて魔物と戦ったあの日。人型の強い魔物は竜の特徴があった。ポチおとめえのコンビネーションでも硬いうろこに阻まれてダメージを与えられなかった。斃したのはヴォルフとふくの魔法。そして、ふくの言葉を思い出した。


『やつらは寒さに弱いから氷の複合魔法で攻めぬといつまでも戦闘が続くのじゃ』


「今の……アイツなら。この環境も併せて氷漬けにできるかも……。」


「凍ったところをアタシが打ち抜くんだね……!」


「レン君、魔力は大丈夫なのですか……?」


 リコの手をぎゅっと握って、見つめる。その意思を籠った目を見て、リコは頷くと、詠唱を始める。


「『風の精霊、シルフ。水の精霊、ミズチ。我が声に応え、顕現せよ!』」


 レンはシルフとミズチを見て、覚悟を決める。

意識を集中して【氷結】を組み上げていく。失敗は許されない、そんな状況でレンは笑みを浮かべた。突然レンの内側から激痛が走る。ゴボッと大量の血を吐く。


「れ、レン君!?」


「……集中して!これが最後のチャンスなんだ……!」


 リコの心配をよそにレンは魔法を組み上げていく。ドラゴンの気をそらしているサクラはレンのやっていることが不味いことが分かっていた。

 彼に好意を抱いているサクラは今すぐに辞めさせたい気持であった。彼がそれでも残りの力を振り絞って成し遂げようとしていることに賭けるしかない。

 そのような状況に複雑な気持ちになりながら、ドラゴンの相手をしていた。【氷結】が組みあがり、リコに渡す。


「リコ……!やってくれ!」


 レンの気迫に圧され、下唇を噛み、悲壮な表情を浮かべ、ドラゴンの方へと向く。


「……わかりました!『すべてを凍てつかせる冷気よ、白銀の抱擁に抱かれその身を氷像へと変えん!』」


 詠唱し、魔法を発動させた。リコの首にかけていたネックレスから光があふれ、紋章が六つに増えて輪を描く。


「複合魔法が【重撃】で増えた……!?」


 レンは崩れるように倒れた。


——あの小娘!まだそんな力が……!しかもこれは、氷狼と同じ【絶対】の魔法ではないか……!?儂が、このような小さきものに敗れるとは……。


 氷像と化し、ドラゴンの意識は途絶えた。サクラは残りの魔力を振り絞って全力の魔力弾を氷像に打ち込む。頭を吹き飛ばし、衝撃で凍った体は粉々に砕け散った。

 レンたちは見事、ドラゴンを討ち倒すことに成功した。サクラはふらふらの足でレンとリコのもとへ走る。リコはレンを抱きしめて大粒の涙を流して泣いていた。

 サクラはその光景を見て、絶望の表情へと変わる。やっとの思いで二人のもとへ到着し、ルナティクスを取り出し、詠唱を始める。


「『癒しの力よ、彼の者の傷を癒せ!』」


 【治癒】の光がレンを包む。しかし、レンの呼吸は戻らない。【治癒】で外傷は治ったが、意識は戻らず、脈もだんだんゆっくりに、弱弱しくなっていく彼を見て、サクラも泣き崩れる。


「ちょっと、失礼するよ!」


 目にもとまらぬ速さで、レンは兎族に抱えられていた。


「魔力枯渇……。そこのキツネさん!魔石ありったけ頂戴!早くっ!!」


 突然現れた兎族に魔石を急かされ、レンのカバンから魔石を持っていく。

 彼女に渡すと、左手を引っ張られた。腕に着けた番のしるしを見て兎族はリコに指示を出す。

 

「あなたたちはパートナーね?彼の身体に魔力を送ってあげて!」


 レプレは魔石をレンの腹部に乗せて詠唱を始めた。


「『すべての物質よ、巡り巡って元の形へ、力は主のもとへと帰れ!』」


 光に合わせてリコもレンに魔力を送る。光が収まると、レンの顔に生気が戻り、呼吸も安定していた。命の危機は去ったようだ。

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