アナタを想うアタシのキモチ!
前にやったサクラのキモチに近しい部分があります。サラッと読み進めても大丈夫ですが、サクラが好きな人や物語をしっかり読みたい人は読んでみてください。
――分かんないけど……分かんないけど……!
アタシは明らかに動揺していた。
目の前に陣形を組んでいる四つ足の魔獣どもに目もくれず、一番強い魔力反応を示すリーダー格のもとへ走る。胸の高鳴りは収まらない。
たぶん、アタシは諦められていないのかな。
初めてレン君を見たとき、なんであんな弱そうな人が近衛師団の団長様と訓練しているのか疑問に思って見ていた。案の定フルボッコにされていて、情けない人と思っていた。それでも立ち上がって、立ち向かっていく。最終的にはたおれているけど、競技系活動の剣術部のルールに乗っ取っていると胴に向かって綺麗な一本とっていた。
その時のレン君のまなざしを見てアタシは惚れた。ちっとも強くない男には興味なかったアタシが惚れてしまった。
そして、何とか彼の居場所を突き止めたら魔法技術部だった。一応魔道具の知識はあるからアタシにもできると思っていた。でもレン君は学生が作るような役に立つのかわからない小さなものと違った。実際の大きさは小さかったけど、性能は破格だとすぐわかった。紋章を封印する石、ルナティクスの開発。
悔しくてあの時は意地悪で指摘したけど、彼はその指摘も解決してきた。その諦めない、めげない姿勢がかっこよく感じた。
でも、リコちゃんという強力なライバルがいた。レン君とリコちゃんが仲良く話しているととても心がモヤモヤして決闘も申し込んだっけ?それで、あの二人の絆というものを見て、諦めたはずなのに……。
「あー!もう!優しいから好きになっちゃうじゃない!」
イライラした感情を襲い掛かってくる魔獣にぶつける。そして、リーダー格の魔獣と目が合う。
「あいつだ……。あいつを斃せば!しまっ——」
リーダー格の魔獣はこうなることを予想していたみたい。周囲も上空もどこにも逃げ場のない状況。レン君から受け取った魔道具でもさばききれない。思わずしゃがみ込むとアタシの周りが突然燃え、魔獣を殲滅した。
この魔法はリコちゃんの魔法だ。活路を導き出してもらったアタシは残っていた【加速】魔法の効果を振り絞って、一気に間合いを詰めて、リーダー格の魔獣を焼き切った。統率が取れなくなった魔獣たちは逃げようとするけど、レン君によって無茶苦茶に増殖した紋章をリコちゃんが発動させて、その群れは全滅した。
アタシが二人の元に戻ると、心配して駆け寄ってきた。よく見たら、いつの間にか切り傷のような怪我もしていたみたいで、調合した傷薬を塗られた。レン君は治療の仕方も丁寧で手際が良かった。その握ってくれている手を離して欲しくないなと思う。
「レン君は手当てが上手だね。」
「オレ、よくケガするからうまくなったのかな?てへ。」
自分の失敗を語って照れ隠しで舌を出す……そんなの、ますます好きになるよ。でも、この二人を見ていると、アタシが入るスキなんてない。深くため息をつくと思わず本音がこぼれる。
「アタシにもいつかレン君みたいな旦那さんできたらいいな。」
急いで手で口をふさぐと、彼は少し困った顔をしてたけど、嬉しかったのか尻尾が揺れている。
「うーん、オレなんかよりいい人はいっぱいいるよ?」
「レン君はあげません。でも、サクラさんの見る目は間違いないです。」
このキツネめ。卒業して、ゆっくり、ゆっくりと生涯のパートナー探しもして、宮廷魔術師で名をはせてやろうじゃない。そう心に決めて、アタシは二人に抱きついた。
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