騒がしくなった王城!
場所は変わって王城。
ヴォルフとふくが執務を行っているところである。ふくが書物を書き上げていると一人の付き人が走ってくる。
付き人は焦った表情でふくに報告書を読み上げていく。
「ふく様。ご報告に上がります。竜の目撃情報が出ました!」
ふくは筆を置き、付き人の方へ目を向ける。その表情は少し楽しそうなものであった。
この世界で竜は強い種族に分類される。故に討伐した時に得られる素材が豊富で性能も高いため、一種の祭りのようなものである。
しかし、町などに出没すると被害が大きいため、できるだけ国外での討伐を目標にしている。
「ふむ、出現地点は予測できそうか?」
地図を広げて付き人にその位置を詳しく問いただす。
「調査師団の目撃情報と照らし合わせると、おおよそですがこのあたりになるかと。まだ国外なので急を要しませんが、近くのアスラン駐在軍に連絡を致しましょうか?」
「まずいのぅ。あそこに向かっておる学生がおるんじゃ。」
ふくがあごに手を当てて唸っていると、めえが走ってふくの元に来た。めえは少し不安な表情で報告をあげる。
「ポチおから聞きました。竜が一頭ほど別地域に飛んでいったとの情報ですが、おそらくその個体だと思われます。」
「駐在軍には関所の守りの強化と民の避難を命ずる。めえ、あの犬っころは他になんか言っておらんかったか?」
「確かガブとうさ子がその地域で遭遇したと言ってました。」
「じゃあ、俺からガブに言っておく。援護に向かうか?」
いつの間にか横に立っていたヴォルフの事には驚かず、ふくは腕を組んで考えたが首を横に振った。
「あやつらも卒業がかかっておる。それにガブがおるなら安心じゃ。まずいと判断すればすぐに救出に向かえと命じておいてくれ。」
「おう、うさ子の魔法も許可出しておくか?」
「……やむを得まい。頼むぞ、ぼるふ。」
ヴォルフは瞬く間に消えた。それは【転移】の魔法ではなく、彼本来の速さで移動をしていた。ふくは机の上に座り、祈るように手を組んだ。
ヴォルフは執務室に着くと、通信用魔道具を使い、連絡を取り始めた。
「よお、俺だ。ドラゴンの目撃情報だ。場所はアスランところから北に三日のところだ。そこにふくの学園の生徒が調査任務で向かっているらしい。そいつらが戦闘に入ったら、しばらく見てやってくれ。ヤバそうになったら救助に向かってくれ。うさ子の魔法は許可が下りた。何があってもそいつらを生かして帰れ。以上だ。」
そういうと、一方的に通信を切った。
「生徒に調査任務やらせるって、結構将来が有望じゃないか?」
そういうとヴォルフは窓から見える尖塔にジャンプし、屋根の上に上がる。鼻でにおいを嗅ぎ、彼のアンテナにかかったところに手を向ける。グッと力を籠めると手を向けた直線状に雪雲が生成され、地面がどんどん白くなっていく。
「オレにできる援護はこんなもんかな?」
そう言い、執務室まで跳んで戻っていった。
放った本人も動きを鈍らせるくらいの援護だと思っているため、ヴォルフの魔法が後に役に立つとは誰も知らなかった。
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