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必要な素材!

 レンは学園の図書館に向かい、先ほどの紋章を封印する石を調べた。しかし、どれだけ探してもそれについては出てこなかった。レンはそもそも今まで紋章を使った魔法すら発動できなかったはずだったので、それについても疑問に思っていた。あの石を触媒にすることで何かしら魔法を発動させられる機能があると思い、魔道具の専門書を調べていた。

 

「うーん、あの石はなんだろう。やっぱりオーパーツなのかな……?」

 

「ふぉふぉふぉ。おぬしはオーパーツに興味があるのかな?」

 

 突然話しかけられてびっくりし、恐る恐る声のした方に体を向けると白い体毛がびっしり生えている老齢の犬型獣人が立っていた。彼の衣服はこの図書館を管理する司書であるものだった。

 

「オーパーツといいますか……紋章を封じ込める石を探しているのです。」

 

「ほうほう、その話を聞くと確かにオーパーツの可能性が高いようじゃ。」

 

「それだとやっぱり作るのは不可能ですね。」

 

「断定するのは早いと思うぞ?どれ。この本のどの装具になるのじゃ?」

 

 レンは司書に渡された本を見てみると、腕輪の魔法具が記載されているページがあった。書物は古ぼけていたが近しい形の腕輪があった。それの説明を見ると「紋章の記憶能力がある」と書いてあった。

 

「これです!この腕輪です!この腕輪についている石が欲しいです!」

 

「ふうぅむ……この石はのう、たしかどっかに精製方法があったはずじゃ……。」

 

 司書は別の古文書を魔法で引き寄せる。その本には石の精製方法が書いてあった。

 

「クリスタルとミスリル、あとドラゴンスケイルが必要となる。肝心な作り方は……駄目じゃ。その部分が掠れて見えんのう。」

 

 司書は古文書を読み進めていくと、ため息をついた。


「すまんの。製法じゃが、肝心な部分が抜け落ちておっての。製法が抜け落ちとるものを再現はするにはかなりの難度じゃ。様々な古文書から古代の製造方法の辞典を転写しておくが挑戦してみるかの?」

 

「……オレ、挑戦してみます!クリスタルとミスリルは部室にあったから、あとはドラゴンスケイルがあれば……。」

 

「ううむ、ドラゴンスケイルか……。ちと、おぬしには難度が高すぎるのう。素材調達が一番難しいじゃろうて。」

 

 突如「失礼するよ。」と声が響く二人は声をしたほうに目を向けると、鎧を着た馬族の騎士が立っていた。騎士は兜を脱ぎ、素顔があらわになった。黒色の体毛、灰色が少し混じった黒髪、本棚上段にも余裕で手が届く高身長、なにより美人だった。鎧や兜には豪華な装飾が施してあり、位が高いものであるとおもわれた。

 

「ふぉふぉふぉ。じゃじゃ、おぬしか。何しにきたのじゃ?」

 

「じゃじゃは任務時の名前ですってば。私の名前はカレンです。まあそのことについては今いいですが……。任務が終わったので顔を出したのですよ。それよりそこの少年。」

 

じゃじゃ、もといカレンと呼ばれる騎士がレンに近づくと目線が合うように膝をついた。すると、腰袋の中から緑色をした塊を出した。


「これがドラゴンスケイル。君は何のためにこれを欲するのかな?」

 

「魔法の紋章を封印する石を作るためです!それをオレにください!」

 

 レンは正直に伝えると、カレンは目をまん丸にした。しばらくすると、膝を叩きながら笑った。涙を拭きながら口を開いた。

 

「あっはっは……。ごめん、ごめん。正直でいいコだね。でもこれはタダでは渡せないな。これはわたしでもこれだけしか採取できなかった。」

 

「じゃあ、どうしたらもらえますか?」

 

 カレンは腕を組んで天井を見ながら考え込んだ。そして手をポンと打つ。


「今から君とわたしで模擬戦をしよう。条件は三分後に立っていること。よけるなり、耐えるなりして対処すること。また、君は攻撃してもいい。三分間凌ぐかわたしを倒せば、これを譲ろう。これでいいかな?」

 

「わ、わかりました!」

 

「おぬしよ、じゃじゃは近衛騎士団の団長じゃ。手加減するとはいえ気を付けるのじゃ。」

 

 緊張と不安でいっぱいだったが、レンは初めての模擬戦を少し楽しみにしていることに気が付いた。


 競技場に着くとすでに彼女は到着していた。そして噂を聞きつけた者たちが観客席に集まっており、そこには魔法競技部などの競技系の活動をしている人たちも見ていた。目的は近衛師団長のカレンの姿と戦いを見る為である。レンは観客がいることに気圧され、身を縮めながらカレンの元へ歩いた。


「師団長のカレン様だ!ここにいるってことは誰かと決闘するのは本当だったのか!?」

 

「お、多分あの猫族が相手じゃね?……へっぴり腰でなんか弱そうだな。」

 

「代わりに俺が相手してほしいぜ。一撃くらい当てられそうだけどな!」

 

「カレン様だぜ?競技系の俺たちはともかく、あんな奴じゃ絶対無理だろうよ。」

 

「違ぇねぇ。」

 

 カレンと向かい合うと、木剣を差し出されたので受け取った。レンは未だに観客がいる雰囲気に飲まれており、手が震えていた。それを見たカレンはにっこりと笑う。

 

「ちょっとギャラリー、うるさいよね。黙らせるから待っててね。」

 

 カレンは腰に下げた大剣を勢いよく地面に刺した。すると彼女の膨大な魔力が競技場に広がった。

 

「っ!?」

 

 レンは圧倒的な魔力に思わず逃げ出したくなったが、踏ん張ってなんとか耐える。


「うっ……!?」

 

「ひぃっっ!?」

 

「くうぅぅっ……。」

 

 競技場にいるすべての人たちがカレンの魔力に気圧され、口を開くことができなかった。カレンの魔力が競技場を支配した瞬間的ではあるが、ほんの一瞬だけ魔力を解放するだけで学生たちは彼女のプレッシャーで何もいうことはできなくなる。静寂に包まれると解放した魔力を収め、再び大剣を腰に下げた。

 

「さてと、これで君を馬鹿にするものには黙ってもらった。心置きなく勝負ができるね。ルールは覚えている?わたしも木剣を使うし、手加減もする。どんと来なさい。」

 

 レンは頷き、木剣を持つ手に力を入れる。顎に力を入れ、カレンをまっすぐ見る。


「……。では……行きます!」

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