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アスランの実力!

 リコとレンは閉じ込めてもなお魔法を必死に発動し続けた。するとアスランがゾウに向かって飛び出した。二振りの魔剣を手に持ち、水塊を切りつける。

 普通の剣では水を斬ることはできない。魔法を付与した剣でも水を斬ることはできないものである。しかし、彼の持っている魔剣は水を斬っていた。魔剣の能力が『なんでも切る』というもので空気であろうと斬ることができる、破格の性能である。もちろん、破格の能力には相応のリスクが伴うのが前提である。

 彼は水塊を真っ二つに切断し、ゾウは斬らないという芸当を披露していた。その姿に見とれていたレンとリコは、いつの間にか魔法を中断していた。

 ゾウを回収したアスランは、ゾウの背中を魔力が込められた猫パンチ?でたたいた。すると、飲み込んだ水を吐き出して、意識を取り戻した。駆け付けたレンはゾウのところにいくと、頭を下げた。


「ごめんなさい!焦って加減もせず——」


「お前は何も間違えていない。訓練で命を落とすものは珍しくない。しかしそれは本人が実力を見誤っただけであり、奪った者の責任ではない。」


「ですが……!」


 アスランは片手でレンの首根っこを掴み持ち上げる。猫型獣人はこのような持ち方をされると種族の習性で力を出せなくなってしまう。


「うぬぼれるな!あの狸の小娘でも加減せずクマに容赦なく刃を入れていたのだ。この世は弱肉強食。やらなければ今度はお前が死ぬ。」


 彼の大きな声に委縮し、硬直していたレンを見てゆっくりと地面に下ろす。腰が抜け、へたり込んでいるレンの目線に合わせてかがむ。


「そうなればお前の大事にしているものはすべて失うことになる。みな、覚悟を持って挑んでいるのだ。それを愚弄するようなことはするな。」


 そういうと、アスランは立ち上がり、手当てを受けている三人の新兵のところに行くと説教が始まり、全員正座になっていた。


「レン君……大丈夫ですか……?」


「うん……。オレ、まだ覚悟が足らなかったのかな……。」


 落ち込んでいるレンをリコはぎゅっと抱きしめる。そのまま、頭をなで、さらに力を込めてレンの顔を胸に押し込める。

「レン君は優しい人です。相手を思いやれるところ、私は大好きですよ?」


 レンはしっかりと顔面がふさがっていたため何も言えず、じたばたしていると、治療を終えたサクラが歩いてきて、指摘をする。


「リコちゃん、それ、レン君死んじゃう。」


 そう指摘され、レンの方を見ると胸に埋もれて暴れている姿が見えて、すぐに手を離した。解放されたレンは息を整えた。


「レン君、ごめんなさい!あ、あまり大きいものではないので大丈夫と思っていました……。」


「大きくないって……。ごにょごにょ……。」


 サクラの姿が目に入ると、自然と目が胸に行く。彼女の胸には山はおろか丘もない。絶壁である。彼女はそのことにコンプレックスを持っている様子はなく、レンが自分の胸を観察していた行為をニヤ~とした悪い笑みを浮かべた。


「レン君はえっちだね。嫁さんがいるのにー。」


「い、いや!?き、君たちと違ってオレは鼻が高くないし!埋まっちゃうの!」


 サクラは「ふーん?」と言い、からっているそばでリコはサクラと自分のを比べて何かぶつぶつ言っていた。


「お、オレはリコさんのが一番いいので気にしないでください!」


「えっちだわ……。」


「レン君、それは流石にえっち?です。」


 レンのフォローは間違えていたようだった。そのため二人から冷たい視線が注がれ、しょげてしまった。そうしているとアスランがやってきた。

 

「戦いのときは指揮を執っているのに、そうじゃなかったら女の子にしてやられているのか?」


「そ、そんなわけじゃ……!」


 レンはアスランの大きな手でわしゃわしゃと撫でられた。その顔はめえのような慈しみを持った笑みであった。そのことに疑問を持っているとアスランは頭を下げて謝意を示す。


「あいつ等の心配をしてくれて礼を言う。そして先ほどは厳しいことを言ってすまない。12歳のお前にはまだ難しい内容かもしれないが、それでも人の覚悟には必ず応えてやってほしい。私から言えるのはこれだけだ。」


 そういうと、訓練兵の元へと姿を消した。入れ替わりで女性の兵士が三人の元に立ち止まった。


「お疲れ様でございます!学生でありながら、軍の新米三人を倒されるなんてヴォルフ様のおっしゃる通りの実力ですね!宿の手配をいたしますが個室三つでよろしいでしょうか?」


 そう聞かれたのでレンは了承しようとすると、サクラが割って入る。


「アタシは個室で、あの二人は同室でお願いします!」


 その答えに女兵士が少し慌てる。それもそのはず、12歳の学生がしかも異性同士で同じ部屋に泊まることなど考えもしなかったから。


「よ、よろしいのですか?」


「いいのよ。あの二人、番だもん。」


 女兵士は持っていた槍と盾を手から落として唖然としていた。そして、サクラの声が聞こえていたのか奥にいた兵士とアスランも唖然としていた。


「さ、最近の若い子は私の時より全然違うのか……。まじかよ……。」

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