新米兵士と学生の戦闘!
演習場には三十名ほどの兵士が訓練をしており、アスランを見かけると訓練の手をやめ、一斉に集まり、整列した。
「ご苦労。今からお前たちに戦ってもらいたいものがいる。この三人だ。」
レンはいきなり紹介され、一瞬ひるんだが、一歩前に出て自己紹介を始める。
「は、はじめまして。フォクノナティア学園のレンと言います。こちらの野狐族はリコ、狸族のサクラで僕たちは同期です。本日はアスランさんに誘われて、模擬戦に参加させていただきます。精一杯戦いますのでよろしくお願いします。」
兵士たちがレンの自己紹介を聞いてざわめく。それもそのはず。三人が学園の生徒であること、アスランが一般人を模擬戦に参加させるという行動に驚いていたからだ。
「静かに。今期新兵の成績上位三人こちらへ。」
アスランがそういうと、列の中から三人の獣人が出てきた。それぞれトラの獣人、クマの獣人、ゾウの獣人で、明らかに体格差で負けていた。レンはその圧力に負けそうになったが、しっかりとこぶしを握り、気持ちを切り替えた。
「いい目だ。この三人は新兵だが、訓練成績が良く、昇進の可能性が高い期待の兵士だ。手加減なぞいらんからな。おい、お前たち。この生徒たちは学園の教師より強い。その意味は分かるな?では位置についてもらおう。」
レンたちと新兵たちは訓練所にある学園の競技場ほど広さのある演習所でお互い自陣に立つ。
「すごいドキドキする。カレンさんの時以来だ。」
「大丈夫です。私が後衛であの人たちをしっかり足止めします。」
「じゃあ、アタシは剣術かじっているから前衛かな?」
「オレは、サクラさんの援護をしつつ、場合によってはリコさんと大魔法を組んでいく中衛ね。」
三人はこぶしを合わせ、新兵の方へ向いた。それを見届けたアスランは、空中に何かを投げ、それは破裂音が鳴って爆発した。それが開始の合図のようだった。
その破裂音にレンは【やんのかステップ】をしてしまった。サクラは破裂音と同時に敵陣に向かって走る。リコも破裂音と同時に紋章を展開し、素早く風の弾丸と水の弾丸で早打ちをしてけん制する。
変質した【召喚】魔法はやはりレンの【重撃】が混ざっており、最初の魔法に対して死角になるところから追い打ちを当てるものだった。トラとクマにそれぞれ弾丸をぶつけていく。よろめいたところにサクラの【幻揺】の魔道具で追撃を入れる。しかしそれはゾウに阻まれ、その刃は硬い皮膚を通ることはなくはじかれた。
剣撃をはじかれたサクラはいつの間にか距離を詰めていたトラの爪で引き裂かれる瞬間、魔力の塊でトラが吹き飛ばされた。なおサクラのすぐそばにはクマとゾウが接近していた。【幻惑】で分身体を生成し、惑わされている間に後ろへと下がった。
「サクラさん!大丈夫!?」
「平気!それよりさっきの攻撃は何だったの!?急に吹っ飛んだんだけど!」
「二人とも!詳細はあとです!三人が向かってきます!『大いなる地の精よ、断崖の牙にて敵を貫け!』」
無数の岩槍がサクラとレンの前から出現し、そのまま三人の兵士に向かって次々に迫る。トラは後ろに飛びのき回避し、クマはその剛腕で岩槍を破壊しながら突き進み、ゾウは何事もなかったような素振りでサクラとレンに向かって歩く。トラの反応速度、クマの攻撃力、ゾウの耐久にリコは驚いていた。
それもそのはず、この攻撃は【障壁】や【守護】ですら吹き飛ばすほどの範囲と攻撃力が高い高等魔法なのだから。簡単に対処されたが、リコは「ふう」と息をつくと、少し微笑んだ。どうやら彼女は自信のある魔法を躱されたが、戦いを楽しんでいる様子であった。
レンは腰袋から魔石とルナティクスを取り出し小刀サイズの魔道具にセットしていく。それをサクラに向かって投げる。サクラは難なくキャッチすると、レンの意図を理解し魔道具に魔力を込める。レンはリコの背後に回り、リンクを開始する。それを見ていたアスランはつぶやく。
「あの猫は魔法技術士候補で前衛も後衛もこなすサポート系か。狐は王族に似ている召喚魔法で後ろからでかい一撃を与えてくる。狸は戦闘技術も魔道具も魔法にも知識のある万能型か。ふふ、面白い組み合わせだ。」
腕を組み笑っていた。
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