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関所に到着!

 レンたちが学園をでて数時間後、ポチおは学園に来ていた。目的は魔法技術部でそこに行くためにめえを探している。いくら何でも学園を部外者が歩き回るのはおかしいので保健室を目指していた。保健室に行くとポチおの予想通りにめえがおり、保健室へと入っていく。


「やほー、めえさん元気してた?」


「なんだ、素材集めは終わったのか?」


「そりゃもう。たくさん手に入ったから、魔法技術部に寄付しようと思ってきたんだ。あいつらは元気してる?」


 ポチおは収納カバンから鉱石、魔獣の毛、骨、牙、皮、ドラゴンスケイル、宝珠、竜の爪、牙、翼膜など保健室の一角を埋めるほど出していた。そのどれもが普通には手に入らない程の一級品の素材ばかりであった。めえは椅子から立ち上がり、背伸びをすると腰に手を当ててポチおを見る。


「レンたちは二月ほど帰ってこない。」


「え、どしたの?家出?」


 めえのげんこつがポチおの頭にヒットする。痛みでうずくまっているポチおに向かってため息をつく。


「誰が日付を指定して家出をする馬鹿者がいるものか?レンたちは卒業試験で国外調査に向かっているんだ。それで卒業まで帰ってこないと思われる。」


「はぁ!?卒業試験で国外調査!?なんそれ!?ん……ちょっと待って、竜が一匹逃げたんだけど、あいつらはどこに向かった?」


 ポチおが竜の情報を告げると、保健室の雰囲気が一瞬で緊張に包まれる。めえは険しい顔をした後、速足で壁に張り付けていた地図を手に取り机の上で開く。

 そしてレンたちが向かった場所を指す。ポチおは顎に手を当てて考え込んでいたが「うん」と頷くと、竜の逃げた方向を指でなぞる。


「方角が違うから多分大丈夫かも。レンの向かっているあの辺って今、うさ子とガブさんいたから多分大丈夫でしょ。」


「あの二人は今そんなところにいたのか。」


「生徒が心配か?」


 ポチおがにやにやしながら聞くとめえはそんなポチおの顔を一切見なかった。ポチおに心配している顔を見られたくないためである。しかし、嘘を言っても仕方ないので、本音で話す。


「当たり前だ。確かにあの三人はここの教師陣より十分な戦力がある。しかし、国外は戦力だけでは解決しないことばかりだ。」


「大丈夫でしょ。」


 そんな気楽な発言をするポチおを一喝しようと思ったが、彼は何かを確信している表情にめえは驚いた。


「レンは調査隊志望の魔法技術士ってサムさんに聞いたぜ。調査業務に関しては入念に調べているはずだろう。あいつ、真面目だし。」


「……お前がそういうなら、そうなのかもな。あの時もお前の言ったとおりになったしな。」


「そういうこと。」


 といって、ポチおはお茶を淹れ、めえに渡して自身も飲んだ。めえは淹れられたお茶を飲み、外を眺めた。


「お前が淹れると、渋いな。」


「うるさいやい。」


 ☆

 

 日が暮れる前にレンたちは関所に到着した。予定の時刻より少しだけ早く着いた。この関所はレンたちの住んでいる町より規模は小さいが小さな町となっている。三人は出国手続きのために関所の駐在軍に向かった。関所の門番に話をすると待合室へと案内され、待っていると獅子の獣人が出てきた。


「私の名前はアスラン。君たちのことは学園から聞いている。出国許可は貰っているんだが、開門の手続きに半日ほどかかる。すまないが、その間はゆっくりとしてくれても構わない。そして、明朝には開門の許可が下りるので、それから出発するといい。」


「は、はい。ありがとうございます!」


「さて、時間も空いたことだし聞いてみたいのだがいいかね?」


 三人はアスランにそう尋ねられたので同時にうなずく。立派なタテガミのあごの部分を手櫛で解きながら、ニィっと笑みを浮かべた。レンは思わず戦闘態勢に入る。


「いい反応だ。君たちは学園では相手できるものがいないと聞いているのだが、うちの新米兵士たちと模擬戦してみないかね?」

 

 三人は目を合わせて声を細めていた。顔を近づけ、サクラがアスランを少し見てひそひそ口で口を開く。


「これって、試験の一部じゃないかな……?だって、保健室の先生と女王様しか知らない情報だよ!」


「いわれてみればそうですね。レン君、どうしますか?」


「ここは関所で国外の魔獣や魔物を相手しているってことだし、行く前にいい経験になるかもしれないから挑戦しよう!」


 三人の意見は一致し、アスランに正対した。


「駐在軍様の胸を貸してください!」


「はっはっは!!よく言ったぞ!では、訓練所に案内しよう。着いてきたまえ。」


 アスランの後ろをついて行っていると、カレンほどではないが彼はかなりの実力者であることがわかる。三人が束になってかかっても、軽くひねられそうな、そのような雰囲気を醸し出している。そして腰に下げた幅広の二振りの剣からただならぬ雰囲気があった。


「アスランさん。その剣って普通の剣とは違うのですか?」


「ん?ああ、コレは魔剣になってしまった剣だ。毎日毎日この剣で魔獣や魔物を倒していくと、血と魔力が剣に溜まっていって、いつの間にか魔剣になったんだ。なんでも切れる性質でな、魔力の制御が難しくて魔獣どもを倒していくとどんどんむずかしくなるから、そろそろふく様に浄化してもらおうと思っているんだ。」


「浄化って何ですか?」


「浄化ってのはなぁ……うーん、魔法は得意じゃないんだが、正しい名前は確か【聖清】って魔法だった気がするな。呪いとかを解いてくれる術らしいな。」


「それならたしか、魔物や魔獣、古代の怨念から跳ね除ける魔法だって聞いたことがあるよ。超高難度複合魔法で【浄化】【清光】【聖火】の三つを使った魔法のはず。」


「よく知っているな。私は付与魔法使いで、魔法知識なんてからっきしだしな。」


「サクラさんは宮廷魔術院からスカウトされてますもんね。」


 サクラは胸を張り得意げな顔をして鼻息をフンフンさせていた。アスランは「マジかよ……」と言いながら歩き、訓練所へ到着した。

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