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調査の準備!

 歓迎会のパフォーマンスが終わった日から競技系の部員から決闘を挑まれることがあり、最初の頃は受けて立っていたのだが、勝てないことに焦っているのか、見つけては決闘を挑まれるのだ。次から次へと勝負を挑んでくるので、文字通り日が暮れてしまう。卒業試験の期限があるため、部室まで逃げ込んだ。


「やっと撒けたね。最近目が合ってなくても来るから厄介だよ。」


「私はほとんど決闘に挑まれないので気にもしていなかったです。」


「そりゃ、リコちゃんは歓迎会の時に精霊王の魔法を発動したから、負けが見えているのがわかってるからじゃない?」


「あれは、レン君がいなかったら発動できないものですよ?」


「ということは、リコちゃんは決闘を挑まれたら受けて立つ気はあったの?」


「はい。コテンパンにしてあげます。」


 リコは両手のこぶしをぎゅっと握り、彼女なりのやる気満々のポーズをとっていた。サクラはレンの耳元で、囁く。


「おっそろしー嫁さんだね、レン君。にしし。」


「さ、サクラさん!レン君になんてことを言うんですかー!もうっ!」


「まあまあ、そんなことよりも調査の準備しないといけないよ!」


 

 レンは何も入っていないルナティクスを集め、サクラを手招きした。首をかしげてサクラが行くとリコも一緒についてくる。


「サクラさんには水と火の元素魔法をこのルナティクスに封印してほしいんだ。オレの魔力じゃすぐに尽きちゃうし……。お願いします!」


「ふふーん、いいわよ。アタシに任せなさいな。一月分の量を作ったら、好きに使ってもいい?」


 レンは頷いて了承した。その後リコに向いて、めえから貰った調合書を開き、指をさした。

 

「リコさんは、傷薬の調合を頼みたいのと、【治癒】の魔道具を三つほど作ってもらえないかな?」


「はい。それはいいと思うのですけど、【治癒】の魔法は先生があまり頼らないほうがいいとおっしゃっていたのですが……。それでも作りますか?」


「うん。万が一致命傷になるような傷やケガを負うようなことがあったときには、傷薬じゃ間に合わないからね。最低限一人一つずつの三つにしておこう。」


「わかりました。では作りますね。」


「レン君は何するの?」


「近いとはいえ何日も野宿するから、食材と野営のセットを調達してくるよ。重たいものだしね。」


「なるほどー」


 といってサクラは自分の作業に戻っていった。レンは作業している二人の姿を見て、町へと向かった。




 町に着いたレンはまず、食材調達をするために商店へと向かった。冷却機能のある魔道具を使える環境ではないので干し肉やドライフルーツなどがメインになる。また、国外調査をする調査師団の行きつけの店でもあるので、そういったものはすぐに手に入る。


「とりあえず一週間分を持っていくのが限界だから、魔獣の肉とかを現地調達しながら行くしかないなぁ。」


 レンの背負っている野営用のかばんはすでにパンパンだった。一度学園に戻って荷物を置いてから再び出向こうと思ったが、時間が昼を超えていたこともあり、重さでふらつきながら野営用の道具を選ぶために魔道具屋へと向かった。魔道具屋に入るとレンの目に入ったのは【収納】の魔法が付与されたカバンがあった。しかし、それをとても高く、買うことができる持ち合わせはなく、買いたい気持ちと買えない虚しさに悩まされていた。不審に思った店主がレンの肩をポンポンとたたく。


「ボウズ、このかばんに何か用があるんか?」


「あ、その……収納かばんいいなぁって思ってて、でも持ち合わせがなくて悩んでいたんです。」

 

「随分、大荷物じゃねえか。家出でもするんか?」


「いや、そういうわけじゃなくて……。卒業試験が国外調査なんです。」


 店主は目を見開き驚いていた。少しして、大きな腹を叩きながら笑った。


「はっはっは!ボウズ!冗談はよせやい!学園の卒業試験で国外調査はあるわけないじゃないか!なに、おめぇは何か成果でも挙げたんか?」


 そう言われムッとした表情になり、カウンターの上にルナティクスを置いた。


 「これが研究成果ですっ!」


 レンは腕を組んで鼻息をフンッとしていた。店主はレンの機嫌を損ねているのには気づかず、ヘラヘラしながらルナティクスを手に取った。しっかりと覗き込み、魔力反応を試したりしたがよくわからなかったのか、机に置いた。

 

「なんだこりゃ?ちっとも反応しねえじゃねぇか。」


「それはルナティクスって言って、紋章を封じでいるものです。今その中には【斬撃】の紋章が封じられているので、魔力を込めて詠唱すれば魔法を発動できます。やってみてください。」


「それんだったら、いつもの戦闘用魔道具とかでもいいんじゃねえか?あっちは詠唱がいらねえはずだろ。」


 レンはシメたと思い、営業をかける。


「確かに即時発動するなら今までの魔道具の方が確かに早いです。このルナティクスは今までの魔道具と違って複数個使って組み合わせたり、複合魔法が作れたり、今までよりも長く使える利点があります!詠唱をしないといけないのが難点ではありますが……。」

 

「……なるほど、わからん。とりあえずやってみりゃいいんだろ?……『彼の者にものを切る力を与えん。』」


 詠唱を終え、魔法を発動させ、店主の腕に斬撃が付与されたようだった。ずっと疑いしかなかったが、腕を振ると店の商品が真っ二つに割れた。そして、それには【重撃】もついているので店の一角がズタズタに刻まれた。信用していなかったのか魔力をかなり込めて発動しており部屋も魔道具もかなりの量が破損していたので修復が大変そうであった。


「……。」


「……。ボウズ、お前の発明は間違えていねぇ。こんな小せぇのにこの威力はすげえな。うちの店のもん、どれでも一つと交換してくれ!中々いい発明してくれたじゃねえか!」

 

 レンの作ったルナティクスがこの店主に認められたようで、レンはにんまりとしていた。

 もちろん貰ったのは収納カバンをもらった。肩掛けのカバンで食料一週間分は何とか入る容量だった。重さは収納カバンが肩代わりする魔法を組んでいるらしく、ぱっと見ではどんな魔法化は不明だった。

 レンは魔道具屋をめぐっていたが、野営に使えそうなものが売っておらず、途方に暮れていた。それもそのはず、基本的にはその辺で木材を収集し、洞穴で寝泊まりするのが基本であるため野営道具は火をおこすものや、刃物、調理器具が主である。

 

「あら、この前うちに来てくれた猫の男の子じゃないの?」


「あ、ポチおさんのお嫁さんだ!こんにちは。」


「にゃんでいいわよ。どうしたのとぼとぼ歩いている気がしたけど。」


「実は……。」


 レンは卒業試験の内容とそのために野営道具が必要だということ、それがなくて困ったことを伝えた。にゃんは腕を組んで考えると、ポンと手を打った。


「じゃあ、作ってしまえばいいじゃない!アナタならそれはできるでしょ?それに魔道具として作れば持っていくのは簡単よ!レシピはお店にあるからいらっしゃい。」


 にゃんに工房に連れていかれ、野営道具のレシピの写しをもらった。


「あの人は何でも作るから参考になると思うわ。頑張ってね。」


「はい!ありがとうございます!」

いつもありがとうございます!

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