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お風呂の大きい家!

 日差しを感じて目を覚ますと、自分の家ではなく一瞬戸惑った。よく思い出すと、ここはリコの家だということを思い出す。そして昨日の出来事を思い出して体が、顔が火照る。

 隣を見るとリコが眠っており、お互いに服を着ていないことが判明する。よく見ると、リコの胸にある確かな膨らみ。それは呼吸と共に上下する。自分の胸に手を当て、それは筋肉質のもので硬い。ごくりとつばを飲み込み、そおっとつついてみる。


「こ、こんなに……柔らかいのか……!」


 それは弾力もあるが、指で押すと簡単に沈み込み、離すと元に戻る。その感触にハマってしまい、何度もつついていた。

 そして体毛は顔や背中、腕や手の毛並みと違い、白くてとても柔らかく、細い毛であった。リコの腹部へ手を移動させる。腹部は胸の毛と同じように白くて柔らかい毛ではあったが、また肌触りが違う。胸の毛はふわふわで、おなかの毛はさらさらなのである。新たな発見をし、じっくりと見ていると、リコと目が合った。

 レンは一瞬謝ろうとしたが、やることはやっている関係なので、平静を装うことにした。


「あ……お、おはよう。」


 リコはむくりと起き上がり、口に手を当てて小さくあくびをした。


「……おはようございます。」


 レンはうつむき、リコは耳を垂らして無言の時間が生まれる。すると、リコのおなかが「きゅうぅ」と鳴る。それにつられるようにレンのおなかも「グウゥ」と鳴り、お互いおなかを隠す。二人は目を合わすと、照れくさそうに笑いあう。


「ごはんにしよっか?」


「そうですね。その前に、湯あみでもしましょう。」


「あ、オレは水で大丈夫だよ?」


「そんなわけにはいきません。」

 

 そういうとリコは棚からごそごそっと何かを取り出す。


「猫族専用の体洗浄液です。」


「な、なんで持ってるの!?う、うれしいけど。」


 驚いていると、リコはもじもじしながらレンに洗浄液を手渡す。

 

「この前、来てもらったときに、夜暗い中で追い出すのは申し訳ないと思って。それで準備していたのです。狐と猫じゃ使うものも違うと思うので、買わせていただきました。香りは、レンくんに合うかなと思って選びました。」


 浴室は広く、温泉が湧いていた。自分の家よりも大きい浴室に驚き、反響する声を楽しんでいるレンを見て、リコはくすくすと笑う。


「わあ……!広いお風呂だね!温泉までついている!」


「四歳のころまで両親が生きていたので、その名残ですよ。あと、温泉ではなく、ただのお風呂ですよ。魔道具で再現しているだけなので。」


「ご両親、亡くなっていたんだ……。ごめん。」


「あ、謝らないでください!レン君だって、戦災孤児でしょ?お互い様です。」


 レンは桶にお湯を汲み、試しに洗浄液で体を洗ってみた。少し変わった草の匂いのするもので、レンは泡立ちのいい洗浄液を堪能していた。すると、リコが背後に座って背中を撫で始めた。


「かゆいところはないですか?この洗浄液には血を吸う悪い虫さんが逃げる効果があるみたいですよ?」


「それは助かるなぁ。ヒトに洗ってもらえるのってなんだか、気持ちいいな……。」


 一通り背中を洗ってもらったので、今度はリコの背中を洗うことにした。とても柔らかい毛でありながら、芯のしっかりとした毛であり、レンのものと全然違っていた。リコの洗浄液は花のような香りのするもので、いつもほのかに香ってくるにおいであった。洗い終わると泡をお湯で流し、湯船へと入った。レンは温泉のような大きなお風呂には入ったことがないがとてもいい気分で、疲れが取れたような気がした。リコは長い髪を布で巻き上げ、レンの隣に座った。


「きもちいいねぇ。」


「はい。一年前では考えられなかった光景です。」


 レンは少し迷い、考えたが、やはり直接伝えることにした。


「リコさん。昨日のことなんだけどさ……。保健室の先生が、リコさんのこと心配していたんだ。」


 リコはきょとんとしていた。一瞬告げるべきか悩んだが、それでも続けることにしたレン。


「リコさんは、繁殖期に入っている可能性があるって言ってて、それで昨日あんなことになったのかもしれない。首、かみついてゴメンね。」


「……。そうかもしれないのに、来てくれたのですね。私はとてもうれしかったです。レン君、一つ提案があります。」


 レンが首をかしげると、意を決した表情になり、レンの目を見る。


「ここに、私たちの……工房を作りませんか?辺鄙なところでお客さんは少ないかもですが、道具も幸いそろっていますし、嫌でなければ……。」


「ご両親の家、使ってもいいの?」


「その方が喜んでくれます。道具も両親も……。」


「……わかった。もっとも卒業したら一文無しだもんね。」


 二人は笑いながら話していた。お風呂から上がると、リコは事前に洗濯と乾燥の魔道具に入れていたのだろう、乾きたての制服が出ていた。二人は制服を着て、食事をとることにした。リコの作る料理はとても美味しくて、完食したのであった。

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