リコの発表!
サクラからバトンタッチされたリコは舞台の真ん中に立つ。
「次に私の作った魔道具をご紹介いたします。」
リコが取り出したものは腕輪と小さい装置であった。会場のざわめきが収まる前に発表する形となるかと思いきや、すぐに静まり返った。
それはリコが学園の中でも美人であり、現在の首席であるということが入学生の中でも有名であるため注目をする。しかし、サクラの魔道具の派手さに比べると小さく、明らかに攻撃用の魔道具の見た目ではない。
「なんか首席にしては派手さがないよな……。」
「さっきの狸の女子の方が面白そうだよな。」
「もっとかっこいいのかと思ったんだけどな。」
そんなことを言われていたが、リコは全然気にしない。
「入学生の皆さん、あなたたちの中で魔法なしと診断された方いらっしゃいますか?」
会場の雰囲気は動揺していた。レンのように魔法なしと診断されるものはかなり少ない。
補助魔法はよっぽどなことがない限りは持つことがなく、そもそも補助魔法というものの認知がほぼされていない。したがって、そのような人がいるわけがないという反応になるのだ。するとレンの担任であるサムが一人の兎型獣人の男の子を連れてきた。おどおどし、震えていた。
「大丈夫。オレも魔法なしって診断された身だから。」
「ほ、ホントなのですか?」
レンはニコッと笑い、男の子の腕に魔道具の腕輪を取り付けた。レンはリコに合図を送ると、魔道具に魔力を流し込む。
男の子は光に包まれ、彼の紋章が浮かび上がり発動しようと彼を包み込む。暴走しないように【反転】の魔法がそれを中和する。光が収まると、レンは腕輪を外し、リコから魔道具を受け取り、舞台の袖に持って行った。
「はい、お疲れ様です。あなたの魔法を解析いたしましたので、結果をお伝えします。」
男の子がゴクリとつばを飲み込む。そしていつの間にか会場は静まり返っており、結果を待ち望んでいた。
「あなたの魔法は、小型の魔獣やオーパーツのような私たちにはよくわからない乗り物に簡単に乗れるようなものみたいです。」
会場が再びざわつき始めた。診断した魔法が強いものではなさそうに見えたこと、そしてリコの診断が本当に正しいものなのか分からないというものだった。
リコはその会場を見て、どう収めようか迷っていると、舞台の一部がゆがむ。
「ふむ、本当にその魔法かわしが確かめてやろう。」
突然壇上に出現した女王の登場で会場が沈黙する。ふくは男の子の額に手をかざすと「ふむ。」といって終わった。本当に一瞬であった。
「たしかにこの者の魔法は【搭乗】の魔法じゃ。リコよ、こやつの魔法の制限はなんじゃ?わしの答えと同じならその魔道具は本物のようじゃ。」
リコは胸に手を当てて一呼吸を置き、自信をもって答える。
「魔獣の場合は魔力が自分より下であること。オーパーツのようなものであれば、そのものを魔力のみで全体を覆うこと。搭乗対象がいなければ発動しない……です!」
「見事じゃ。さすが、わしの見込んだ者じゃ。皆の者、こやつの魔道具は正しく機能しておる。こやつを称えるのじゃ。」
「ふく様!!勝手に表に出られては困ります!」
めえの脇に抱えられて来賓席の方に連れていかれた。
「今の女王様だったよな?」
「本物の女王様ってきれいな方ですね。」
「めっちゃ、おっかないって聞いたことあるぜ。」
「静粛に。」
めえが短く一言で会場を沈黙させた。その後、めえはリコに目配せをすると、リコは頷き、発表を続けることにした。
「え、えぇっとハプニングがありましたが、このように魔法を見分けることができます。もちろんそれだけでなく、発動条件など今まで何となく使っていたということを解消でき、皆さんに使っていただくことで、自分だけの魔法を最高のパフォーマンスで発揮できます。」
会場が「おぉ!?」という声が上がり、再びざわめく。この年頃の子供たちは自分だけの最高の魔法という言葉に弱い。
そこを突いて盛り上げていく。リコはそういうことは得意ではないが、嘘は言っていないので上手く噛み合った。
「学園長——女王様に認めていただいたこの魔道具は今後この学園に寄贈することになっていますので、是非、使ってみてその効果を実感してください。」
会場が拍手に包まれる。その雰囲気の中レンは前に出る。リコはレンとすれ違う時頬にキスをしていった。勿論大勢の前でその光景を見られたので、ザワザワと会場がうなりを上げていた。
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