レンの工作
学園祭までの間レンは自宅で魔道具を作っていた。とはいっても大掛かりな道具は家にはないので、部活動中にパーツを作っておいて家で組み立てていた。
それは個人研究で作っているものを応用したネックレス状の魔道具だった。実験で作った石の中で質のいいものを集め、きれいに輝くよう、配置した。
レンは妄想でリコがつけているイメージを沸かせて、デザインを決めていった。全ての石に紋章を組み込んでいない。レンはどの魔法を組むか迷っているところだった。しばらく悩むと何かを思い出し、魔道具を持って家を出た。
町の中を走った先は『いぬの工房』だった。店の扉を開けるとポチおが魔道具を作っていた。紺色の作務衣を着て、相変わらずフル装備で黒い魔道具の製作をしていた。
「いらっしゃい、ってキミか。元気してた?」
「オレ、レンって言います。あの時はありがとうございました!」
「ええの、当たり前のことをしただけだし。んで、何用かね?」
「あの……今好きな子にプレゼントを考えているんです。それでこれを見てください!」
ポチおはニヤ~と笑みを浮かべると、レンは照れ隠しでそっぽを向く。
レンは見せたいものを思い出し、カバンの中からネックレス状の魔道具を取り出してポチおに見せた。それを手に取りじっくりと観察し、光の角度や魔力を当てて確認していた。
「キミ、本当に学生?宝石のついたアクセサリを作る才能あるかもよ。魔法技術士の観点から見ても結構理想的な石の配置してるね。でも、中身が入ってない。あと、プレゼントなら金属の装飾が少しほしいな。」
「はい、ポチおさんに聞きたいのが、この石の中にオレの魔法とその子の魔法をリンクさせやすい魔法を組みたいのです。」
そう言われポチおはテンションが上がったのか、身を乗り出してレンの話を聞く体勢になった。
「ほう!キミとその子の魔法は?それによって難易度は変わるよ。」
「オレが【重撃】でその子は【召喚】です。」
「……うーん、よし【重撃】はよくわからんな。きっと補助のカテゴリかな?【召喚】については『たまさん』に聞こう。それじゃ、行こうか!」
レンはよくわからないまま、『たまさん』と呼ばれる人に会うこととなった。
外に出ようとすると1人の猫型獣人の女性が店の奥から出てきた。
彼女は全身白い毛並みをしており、服が白色で女王と同じような作りをしていた。ズボンは裾が大きく膨らんだ青色のもので素地は服より硬そうな感じであり、上下でテーマが統一された服装になっている。腰には長い帯が巻いており、先端の金具がチリンと鳴る。そして尻尾にはピンク色のリボンがついており、ポチおの尻尾にも同じものがついていた。
「あ、にゃんさん!今からこの子と『たまさん』のとこ行ってくるわ。もしかしたら遅くなるかも。」
「そうなのね。じゃあ店じまいしておくわ。気を付けて行ってらっしゃい。」
「へい!」
そういって工房を後にした。
「今の人って……。」
「うちの嫁さん。あげないぞ。」
「そういうわけじゃ……。」
「じゃあ転移するよ。手を離すなよ。転移の衝撃で体がズタズタになるから。」
そう脅されると急いでポチおの手を握る。すると目も開けられないほどの光に包まれ、浮遊感に襲われた。
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