この国の女王様!
リコとレンは恐る恐るその魔力の持ち主を見ると一人の狐型獣人の女性が立っていた。膝裏まである長い黒髪、九本の尻尾、体のラインが見えない見慣れない服装、そして金の瞳と顔の赤い模様があった。二人はその姿に見覚えがあった。
「ふく様。こちらが未知の魔法を身に付けた者となります。」
「ふむ……わしが見てやろう。」
ふく様と呼ばれた女性はレンに近づき、頭に手をかざした。ほんの一瞬かざし終えると、腕を組み悩んでいた。
「あ、あの……。」
「なんじゃ?」
同じ狐のリコと違い彼女の眼は一瞬で逆らってはダメだと分かるほど恐怖を覚えた。それにも頑張って怯まずレンは質問する。
「いったい何をしているのかわからないのですが……。」
「お前の魔法を読み取って、解析したものを書物に書くために整理しておるのじゃ。そしてわしがその魔法にふさわしい名前を付けてやるのじゃ。」
そう答えると再び考え始めた。レンはリコのほうを見るとうつむいていた。リコも気づいており、この女性が九尾の妖狐、そして女王だった。ポンと手を打ち、レンのほうへと向いた。
「お前の魔法は【重撃】を名乗るがよい。効果や条件は、そうじゃの……明日、めえに渡すように手配する。では、帰るのじゃ。」
「待ってください!」
リコが声を上げ、女王を制止した。胸に手を当てて、深呼吸し口を開いた。冷や汗を垂らし、手も体も怯えているよな感じで震えていた。レンはリコの傍に行き、リコの片手を両手で包む。レンの行動にリコは安心したような顔をし、再び女王を見る。
「野狐族の……野狐族との和解は本当なのですか……!?」
一瞬目を見開いたが、ふっと笑い、リコの方へ顔だけ向ける。
「わしの娘、玉藻に感謝するのじゃ。」
そういって一瞬で姿を消した。
「あの方はもう野狐族に対しての粛清はされないと言っているから大丈夫だ。」
「……はい。」
リコは司書の言葉を思い出し、安堵した。レンは顎に手を当てて考えていたが、思いつかなかったのかめえの方へ向き別の質問する。
「女王様って何の魔法使っているんですか……?」
「あの方の魔法は私でもわからない。ただ、どのような魔法もすぐに習得されてどんどん使える魔法が増えていくのだ。紋章も一瞬で組み上げ、どんな魔法かもわからないうえ、詠唱もしたりしなかったり……。とにかく変わった魔法の持ち主なのだよ。」
レンはあっけにとられていた。一人一つの魔法が常識であるこの世界で女王はいくつも使えるということ。少なくとも先ほどのことで【解析】と、【転移】の魔法が見られた。解析魔法も魔道具では再現できていない生得魔法の解析を一人でかつ、超高速で読み取っていた。リコはその魔法の速さと正確さに目を輝かせていた。
「じゃ、じゃあ、王様もすごいんじゃ……。」
「よんだ?」
ひょっこりと現れたカレンはめえに兜の上から思い切り殴られ、地面にめり込んだ。レンとリコはその光景を見て首から上が生き埋めになっているカレンを心配していたが、めえは彼女を放置して再び説明する。
「王は【絶対】の魔法が使える。まあ、絶対零度の空間作るだけでも頭がおかしいのですが。」
「王も女王も格が違うのですね……。」
「王は神ともいえる方で女王はだれも真似できない境遇の方だから、そのような魔法の持ち主なのかもしれないな。」
治療が終わり、地面に埋まっているカレンを引き抜いて学園にもどっていった。
競技場のど真ん中に二人は座り、お互いに今日のことをまとめていた。来る決闘に備え、二人は夜になるまで戦術など話し合いをしたのであった。
そこに今日の試合を見ていた影が立ち去って行った。
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