保健室の先生は強かった!
全ての魔法はレンの重ね掛けで四重の魔法力になっていた。精霊に囲まれたカレンは一瞬だけではあるが狼狽えた。しかし、すぐに目を輝かせてウキウキした気分で持っていた聖剣の握る力をさらに込める。
「うえっ!?これはまずいかも。聖剣解放、剣光八捌き!!」
聖剣の力をさらに解放し光の帯が八本になった。解放された力を使いカレンは全ての攻撃を捌いていた。精霊の攻撃は苛烈で、レンたちに攻撃する余裕を与えず、カレンは防戦一方だった。風と土の精霊の砂の檻で包み込み、水の精霊で渦巻く風と共に小さな水の弾丸を巡らせる。そして、とどめに入るため火の精霊を活性化させる。
「あと、す……こし……!」
リコはさらに力を振り絞った。次の瞬間、彼女はレンに抱きしめられていた。レンは必死に抱き締めており、あっけにとられていると精霊魔法は解除されすべての精霊の実体化が解かれた。
「ダメだ……これ以上は、リコが死んでしまう……!」
「……レン……く……ん?」
レンの行動に理解が追い付かなかったが、血の匂いを感じ、下を見ると血が溜まっていた。手を口に当てて、その手を見ると血まみれになっており、自分の口から出たものと認識する。それに気づいたレンが止めてくれたのだった。
リコは急に力が抜け、座り込むと抱えていたレンも一緒にへたり込んだ。カレンが聖剣を収めてレンたちの元に走ると、カレンは巨大な魔力の塊に横から吹き飛ばされた。
「じゃじゃ、貴様はよくも私の生徒をこんな目に合わせてくれたな。」
めえの殺気はこの前の事件の時とは比較にならないものであった。思わずレンとリコも正座をしてしまう。
「め、めえさま!こ、これには訳がありまして!」
「ほう……私に対して言い訳するのか?聖剣解放を第二段階までしておいてか?おまえはあとで説教だ。」
と言って、リコのところへ向かった。カレンはへたり込み、頭を抱えて絶望的な表情で震えていた。めえは走ってリコの傍に行き治療の準備を始める。
魔力を手に込めて、リコの身体を調べていく。
「まったく、お前は無茶をするような奴ではなかったはずだが……?」
リコを治療しながらため息をついていた。
「レン、といったか。よく止めてくれた。」
レンは髪の毛をくしゃくしゃと撫でられながら褒められたので、照れていた。めえは種族の特性を理解しているのかいとも簡単にレンを手玉に取った。
「しかし……召喚術だけでこんな威力は出せるのか……?聞いたことがないぞ。」
「レン君の魔法で、紋章を増やして大魔法化ができたのです……けほっ。」
リコが小さく咳をすると、その状態が良くないということがレンでもわかる。不安な顔をしていると、めえはリコの腹部に魔力を当てて、診る。そのあとは薬を調合していた。
「レンの魔法のカテゴリは補助魔法か。紋章を増やすなんて聞いたことない魔法だな。条件も厳しいものになりそうだし、判る人に見てもらおう。」
そういって、めえは通信用魔道具で通話し始めた。レンはリコの顔を覗き込むと目が合い、目を逸らされた。するともじもじし始めリコがレンの服の袖をつかんだ。
「レン……君。その……ありがとうございます。おかげで命拾いしました……。」
「ううん、オレ……リコさんを失いたくなくて……。」
「すぐに来るみたいだから治療を続けよう。」
治療を再開した瞬間、強大な魔力がこの場を支配した。声も出すことができないくらい圧倒的な魔力量で、カレンの魔力とは桁が違った。冷や汗が滲むどころか、吹き出るように二人は緊張する。
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