レンの魔法!
翌日レンは授業をすべて終え、部室へと向かった。すると部室の前で見たことのあるような無いようなヒトたちが部室の前に立っていた。そのうちの一人がレンに話しかけた。
「あの、リコちゃんとサクラさんをあまり二人きりにしないほうがいいと思うのだけど……。」
そう言われてレンは急いで部室に入ると、二人の獣人が臨戦態勢だった。リコは一定の距離を取り、今まで見たことのない程怖い顔をしていた。一方サクラは牙をむき出しにして威嚇して唸っている。
「なんであなたがここにいるのかしら?」
「私はここの部員だからです。」
「昨日はいなかったじゃない?先輩たちも出てないみたいだし、あなたも同類じゃないのかしら?」
「昨日は別件で休んでいただけです。」
「ちょっと待ったー!!」
レンは二人の争いを収めに間に割って入る。リコはレンの姿を見て、無理やり手を握りしめて引っ張る。今までの彼女からすれば一番強く引っ張っていた。
「レン君。やっときましたか。行きましょう。」
リコに腕を引かれそのまま部室の外に出た。出る際にサクラを見るとリコに向かって舌を出していた。
外に出るとリコは深呼吸をして歩く。レンが中々ついてこないことに気づきリコは手招きをする。
ケンカしていた理由を聞きたかったが、リコが聞いてほしく無いオーラを出しており、訊くことができずにいた。
レンは黙ってついていくと学園の敷地を出て、町へと向かった。そのまま町の広場を抜けていくとどんどん人や家が少なくなった。そして突き当りに1軒の石造りの家があった。
「ここは?」
「私の家です。中へどうぞ。」
リコは扉を開けて入るように促した。女の子の家に入るなんて初めてなのでレンは緊張しながらリコの家に入っていった。
「お、おじゃましますっ!」
「家は私しか住んでないので挨拶は大丈夫ですよ。ちょっと待っていてくださいね。」
リコが別の部屋に席を外したので、部屋を見渡した。
きれいに整頓された部屋は普段食事等に使っている部屋みたいだった。レンは立派な一軒家で一人暮らしをするには持ち余すのでは無いかと思う。しばらくするとリコは部屋の奥から二つの魔道具を持ってくると、それを机の上に並べ、ミスリルのケーブルでお互いを繋ぎ、準備が完了したようである。
「これは父の研究途中の魔法判別装置です。それを設計しなおして、なんとか再現してみたものです。」
「リコさんのお父さんが……?」
「はい、私の魔法が不明であったころに作ってもらえました。これでレン君もどんな魔法かわかるはずです。」
「う、うん。どうしたらいい?」
レンはついに自分の魔法が判ると思うと緊張して手に汗をかき、肉球がしっとりする。
「はい、まずそこに手を載せて……それから……」
リコの説明のとおり魔道具に手を置いたり、魔力を込めたりした。魔道具とのリンクが完了したのか魔道具側からの魔力を感じた。
「では、始めます。痛くないので緊張しないでくださいね。」
「う、うん。」
リコは目を閉じ小さくつぶやいた。
「大丈夫……私は、暴走しない。暴走させない……。」
レンが何を言っていたのか聞こうとする前にリコが魔力を込めて魔道具を発動させた。すると、彼女の周りに風の鎧ができた気がした。
様子を見ていると、リコの表情が段々と険しくなっていった。不安になったレンはしゃべろうとすると、リコが手合図で制止した。
「大丈夫です、強い魔法の可能性があると精霊が教えてくれただけなので。」
リコはレンが不安にならないよう、魔道具の制御に集中した。
解析が進む中、二人の周りに大量の紋章が出現した。しかも全てが発動待機状態で活性化していた。
それを見たレンは動揺する。リコは咄嗟にレンの頭に手をかざす。
「え、なんだこれ……?」
「こ、これは……シルフ!レン君を守って!!」
瞬く間に二人は爆発に巻き込まれた。煙が家中に覆っていたが、レンについていた風の鎧が送風機の代わりを果たし、充満した煙を晴らした。
レンは煙を吸い咳き込みながら視界が悪く見えにくい中リコを探すと、床で倒れているリコを見つけた。
「ゴホッゴホッ!リ、リコ……!」
「うっ……レン君……大丈夫ですか……?」
「オレは大丈夫。リコさんが守ってくれたから……。」
「よかった……私は、二人分の守りで魔力がほぼ尽きたようです……。」
リコはそのまま意識を失い、倒れた。レンは一瞬慌てたが、彼女が寝息を立てていたのでひとまず安心した。
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